特定技能ビザを「外食業」分野で取得するための要件は何でしょうか?
目次
1,特定技能1号「外食業」とは、どんな制度でしょうか?
現在、外食業分野においては人手不足が深刻化しています。特定技能1号は、このような人手不足に対応するため、一定の専門性・技術性を持った外国人を受け入れることによって、外食業分野の存続・発展を図り、日本経済や社会基盤の持続可能性を維持することを目的としています。
特定技能分野別運用要綱(外食業)
2,外食業分野での1号特定技能外国人の受入見込数はどの程度でしょうか?
外食業では、2023年までに29万人の人手不足が推計されています。この人手不足に対応するためには、特定技能外国人を受入れることは避けられないと考えられています。毎年0.5%の生産性向上や追加的な国内人材確保によって、5年間で11万8000人程度の確保が見込まれていますが、なお人手が不足すると見込まれています。このような推計に基づき、外食分野における受入見込数は、2023年までに最大53,000人とされています。またこれを受入れの上限としていますので、過大な受入見込数とはなっていません。
3,特定技能「外食業」では、どんな業務に従事できるでしょうか?
特定技能「外食業」では、以下の主たる業務と関連業務に従事することが認められています。
①主たる業務
特定技能「外食業」では、飲食物調理、接客、店舗管理といった外食業全般に係る業務に従事することが認められています。
飲食物調理には、客に提供する飲食料品の調理、調整、製造を行う業務が含まれます。具体的には、食材の仕込み、加熱・非加熱調理、盛付けといった行為が挙げられます。
接客とは、客に提供するために必要な行為を意味し、多くの業務が含まれます。
店舗管理には、店舗の衛生管理、従業員のシフト管理、メニュー・ポップ等の作成、マニュアルの作成といった業務が含まれます。
②関連業務
関連業務のみに専ら従事することは認められません。もっとも、主たる業務と合わせて付随的に従事する場合には、関連業務に従事することが認められます。
4、特定技能「外食業」で外国人を雇用するための要件は何でしょか?
(1)外国人が特定技能「外食業」の在留資格を取得していること
在留資格とは、外国人が日本に在留し、一定の活動を行うことができる資格をいいます。
特定技能「外食業」の在留資格を取得するための要件は以下の通りです。
ア、技能水準(試験区分)
外食業特定技能1号技能測定試験に合格する必要があります。
イ、日本語能力水準
国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上)のどちらかに合格する必要があります。
ウ、医療・福祉施設給食製造職種、医療・福祉施設給食製造作業に係る第2号技能実習を良好に修了した者は上記ア、イの試験を免除されます。
(2)フルタイムの直接雇用であること
雇用形態はフルタイムの直接雇用に限られます。
派遣雇用は認められません。
(3)受入機関に対して特に課す条件を満たしていること
受入機関一般に課される条件の他、特定技能「外食業」において特に課される条件は以下の通りです。
ア、就労させる事業所が所定の要件を満たしていること
(ア)受入企業は、以下の①~④いずれかの事業を行っている事業所に特定技能外国人を就労させる必要があります。
①客の注文に応じ調理した飲食料品をその場で飲食させる飲食サービス業(例えば、食堂、レストラン、喫茶店など)
②客の注文に応じ調理した飲食料品を客の求める場所に届ける飲食サービス業(例えば、宅配弁当屋、配食サービスなど)
③客の求める場所で飲食料品の調理を行い、提供する飲食サービス業(例えば、ケータリング、給食事業者など)
④いわゆる持ち帰り専門店
(イ)受入企業は、風俗営業(風営法2条1項)、性風俗関連特殊営業(風営法2条5項)を営む事業所で特定技能外国人を就労させてはなりません。
このような施設においては、仮に従事する業務が飲食物調理、接客、店舗管理であったとしても就労させることは出来ません。また、風営法上の「接待」(風営法2条3項)も同様に行わせることは出来ません。
(ウ)事業所要件を満たさない事業所で特定技能外国人を就労させた場合は、資格外活動罪や不法就労助長罪といった犯罪が成立しますのでご注意下さい。
また、1号特定技能外国人を受入れた後に事業所が変更になった場合は、14日以内に届出が必要です。これを怠ると刑事罰に処される可能性があります。
イ、協議会の構成員であること
受入企業は、農林水産省・関係業界団体・登録支援機関その他の関係者で構成される食品産業特定技能協議会に加入する必要があります。特に、外食業分野の特定技能外国人をはじめて受け入れる場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に協議会に加入しなければなりません。
協議会に加入せずに特定技能外国人を就労させた場合には、不法就労助長罪に処されます。
ウ、協議会に対し必要な協力を行うこと
受入企業は、上記イの協議会に対し、必要な協力を行わなければなりません。協議会に対し必要な協力を行わない場合は、不法就労助長罪に処されます。
エ、農林水産省に対し必要な協力を行うこと
受入企業は農林水産省が行う調査・指導・その他の活動に対し必要な協力を行わなければなりません。必要な協力を行わない場合には、不法就労助長罪に処されます。
オ、登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託する場合には、協議会に必要な協力を行う登録支援機関に委託すること
受入企業が、1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には、当該登録支援機関は上記イ・ウ・エを満たしている必要があります。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |