特定技能ビザを取得する為に外国人に求められる要件は何でしょうか?
【完全解説】特定技能ビザ取得の全要件と外国人材採用の重要ポイント
日本の深刻な人手不足を解消する切り札として注目される「特定技能ビザ」。外国人材の採用を検討している企業にとって、特定技能ビザの取得要件を正確に理解することは、スムーズな採用活動の鍵となります。
この記事では、特定技能外国人として日本で働くために必要な要件を、詳しく、そして分かりやすく解説します。外国人材の採用を成功させるために、ぜひ最後までお読みください。
特定技能外国人として認められるための9つの重要要件
特定技能ビザを取得し、日本で就労するためには、以下の9つの要件をすべて満たす必要があります。
- 18歳以上であること
- 健康状態が良好であること
- 技能水準を満たしていること
- 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
- 保証金の徴収等をされていないこと
- 外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
- 送出し国で順守すべき手続きが定められている場合は、その手続きを経ていること
- 食費、居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解したうえで合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されていること
- 分野に特有の基準に適合すること(分野所轄省庁の定める告示で規定)
これらの要件を一つずつ掘り下げて見ていきましょう。
要件詳細:外国人材が満たすべき条件
① 18歳以上であること
特定技能外国人として日本で就労するには、日本への上陸時点で18歳に達している必要があります。ビザ申請時点では18歳未満でも申請は可能ですが、日本の労働法制における若年労働者の保護規定に基づき、実際に就労する際には18歳以上であることが求められます。
② 健康状態が良好であること
特定技能外国人は、特定技能に係る活動を安定的かつ継続的に行うために、健康状態が良好であることが不可欠です。ビザ申請時には、雇用する外国人の「健康診断個人票」の提出が義務付けられています。
③ 技能水準を満たしていること
特定技能外国人として認められるためには、以下のいずれかの方法で技能水準を満たす必要があります。
- 各特定産業分野の技能試験に合格していること
- 特定技能1号ビザの場合は、これに加えて日本語試験にも合格している必要があります。
- 技能実習2号を良好に修了しており、従事予定の業務と技能実習2号での業務に関連性が認められること
- 技能実習2号を修了している場合、特定の条件下で試験が免除されるケースがあります。
④ 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
特定技能外国人が所持する旅券の発行国が、日本の退去強制令書の円滑な執行に協力する外国政府であることが求められます。現在、イラン・イスラム共和国は協力しない国・地域として告示で定められています。
⑤ 保証金の徴収等をされていないこと
特定技能外国人やその家族が、保証金の徴収や財産の管理、不当な違約金に関する契約を締結させられていないことが重要です。これは、特定技能制度の適正な運用を阻害する行為として厳しく制限されています。
⑥ 外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
来日する外国人が本国の送出し機関に準備費用などを支払っている場合、その費用額や内訳を十分に理解し、合意していることが必要です。これは、不当に高額な費用を支払わされ、多額の借金を背負って来日することを防ぐための措置です。
⑦ 送出し国で順守すべき手続きが定められている場合は、その手続きを経ていること
日本政府と送出し国政府との間で「二国間取決め」が作成されている場合、その取決めに定められた「遵守すべき手続き」を経ていることが要件となります。これは、悪質な仲介業者の排除や、外国政府との情報共有を目的としています。
⑧ 食費、居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解したうえで合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されていること
特定技能外国人が日本での在留中に定期的に負担する費用(例:社員寮の食費・居住費、水道光熱費など)について、外国人がその内容を理解し、納得した上で合意していることが求められます。費用額は実費相当額など適正な額であり、明細書などの書面が提示されている必要があります。
⑨ 分野に特有の基準に適合すること(分野所轄省庁の定める告示で規定)
特定技能ビザは、特定の産業分野で人手不足を補うための在留資格です。そのため、従事する分野ごとに定められた、その分野特有の基準を満たしている必要があります。これらの基準は、各分野を所轄する省庁の告示によって詳細に規定されています。
まとめ:外国人材採用を成功させるために
特定技能ビザの取得要件は多岐にわたりますが、これらはすべて、外国人材が安心して日本で働き、企業が適正に外国人材を受け入れるための重要なルールです。
これらの要件をしっかりと理解し、適切な手続きを踏むことで、外国人材の採用をスムーズに進め、企業の持続的な成長に繋げることができるでしょう。
ご不明な点や具体的な手続きについては、特定技能制度に詳しい専門家への相談もご検討ください。
![]() | 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |