配偶者ビザ申請で年齢差が大きい場合に、注意すべき点は何でしょうか?

1,なぜ年齢差が大きい場合、注意しなければならないのでしょうか?

 年齢差が大きい国際結婚の場合、配偶者ビザの取得後に婚姻の実態がなくなる例が多いという実情があります。つまり、偽装結婚の割合が高いという傾向があります。残念ながら、戸籍売りをする日本人もいます。配偶者ビザは就労制限がありません。就労ビザでは風営関係で就労することは認められませんが、配偶者ビザでは風営関係で就労することも可能です。このように就労制限がないことから、偽装結婚の多くは就労を目的としています。このような実情から、年齢差が大きい配偶者ビザ申請に対しては、入管に慎重に審査されることになります。

 では、どの程度の年齢差があった場合に注意が必要か、が問題となりますが、年齢差15歳以上の場合は注意してください。さらにそれ以上、20歳以上の差があった場合は要注意です。 

2,年齢差が大きい場合、どのように対処すべきでしょうか?

 配偶者ビザ申請においては、自分たちの結婚が偽装結婚ではなく、真摯な婚姻意思に基づく婚姻であることを証明しなければなりません。この立証責任は申請人側にあります。この婚姻の信ぴょう性の立証において、大きな影響を持つのが必須書類である質問状です。質問状の質問事項のうち、特に婚姻に至った経緯に関する質問は、婚姻の信ぴょう性の立証において最も重要な質問事項となりますので、特に注意してください。そして質問状に記載した事項を証明する写真等の立証資料はかならず提出して、説得力を持たせてください。以下に年齢差が大きい場合に注意すべき4点ご紹介します。

(1)外国人配偶者と出会いの説明(年月日、場所、どのような形で出会ったか)

 配偶者ビザ申請に必要な質問状の結婚に至った経緯の質問事項には、出会った経緯、出会いから交際までの経緯、交際から結婚に至った経緯を時系列に記載していくこととなります。いずれも重要な点ですが、年齢差が大きい場合は、特に出会いの経緯を慎重に説明してください。

 例えば、友人の紹介の場合その友人はどのような人物か、結婚当事者2人とはどのような関係か、詳しく説明してください。飲食店で出会った場合、その飲食店の名称や場所、どのような飲食店か、客と店員として出会ったのか、客同士で出会ったのか、親しくなったきっかけなど詳しく説明してください。SNSやマッチングサイト等のインターネット上での出会いの場合、どのようなサイトか、サイトのアドレス、サイトでのやり取りの経緯や実際に会うこととなった経緯を詳しく説明してください。結婚相談所で出会った場合は、どのような結婚相談所か、運営会社のHPアドレス等を記載して詳しく説明してください。

(2)質問状に記載した事項を裏付ける立証資料の提出

 質問状において説明した事項を立証する証拠の提出は不可欠です。デートに行った時の写真、メールの交信履歴、通話記録などです。

 交際中に電話やメールを一切しておらず、メールの交信履歴や通話記録すら提出できないというのであれば、偽装結婚と疑われてしまいます。日本と海外の遠距離であったとしても、SNSの交信、メールや電話等での連絡も一切せずに結婚に至ったという事は、常識的に考えられないと思います。

 交際期間中に遊びに行った公園や遊園地で撮影した写真がある場合には、必ず提出してください。あくまで個人的見解ですが、デートや旅行の写真以上に婚姻の信ぴょう性の立証に有効なものはないと思っています。

 (3)結婚相手のご両親に挨拶すること

 結婚する相手のご両親に挨拶しているか否かは、婚姻の信ぴょう性を持たせるうえで重要な点となります。まだ挨拶していないという方は相手のご両親に会いに行ってください。配偶者ビザを取得し日本で生活する為には、年齢差を気にしている場合ではありません。

 相手方のご両親とともに食事等をすることとなると思いますが、必ず写真を撮ってください。相手のご両親に受け入れられているという点は、婚姻の信ぴょう性の立証において、とても重要です。双方の親族と一緒に写っている写真は必ず提出してください。

(4)相手方とのコミュニケーション言語や方法の説明

 外国人配偶者は全く日本語を理解できない、一方で日本人配偶者も外国語を理解できない、年齢差もありこのような状態では、偽装結婚と疑われても不思議ではありません。お互いのコミュニケーション言語、日本語で話しているのか、相手方母国語で話しているのか、英語で話しているのか、コミュニケーションの言語や方法は明示してください。外国人配偶者が日本語を修得している場合は、どのような経緯で日本語を取得したか、日本人配偶者が相手方母国語を修得している場合は、その修得過程を説明することも有効と思います。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法