特定技能外国人が退職・転職した場合の手続き|14日以内の届出と義務を徹底解説
特定技能1号・2号で働く外国人にとって、退職・転職時の「14日以内の届出」 は、在留資格の維持に直結する非常に重要な手続きです。届出を怠ると、最悪の場合は 在留資格取消し や 更新不許可 につながる可能性があります。
本記事では、専門行政書士が、
- 特定技能外国人本人の義務(14日以内の届出)
- 受入れ企業(所属機関)の義務
- 登録支援機関の義務
- 退職〜転職の流れ・注意点
- よくある不許可事例と対策
まで、詳しく解説します。
目次
1|特定技能外国人が退職・転職したときの「14日以内の届出」とは
特定技能外国人が退職や転職を行った場合、
外国人本人・受入れ企業(所属機関)・登録支援機関
の3者に、それぞれ別の届出義務が課されています。
主要な届出の提出先
- 出入国在留管理庁(オンライン手続き可)
- 書面提出も可能
具体的には、退職・契約終了・転職の事実発生日から14日以内に届け出る必要があります。
なぜ14日以内の届出が重要なのか?
- 在留状況を適切に把握するため
- 不法就労や失踪を防ぐため
- 在留資格「特定技能」の適正な運用のため
届出は単なる“義務”ではなく、特定技能の在留資格を維持するための“重要な管理ポイント”です。
2|【外国人本人】特定技能外国人が行う届出
特定技能外国人本人が14日以内に行う届出は2つあります。
(1) 所属機関に関する届出(退職時)
届出が必要となるタイミング
- 自己都合退職
- 会社から契約終了を告げられた
- 契約期間満了で更新しない
- 登録支援機関との契約終了
提出期限
事実発生日から14日以内
提出方法
- オンライン届出
- 書面提出(入管へ郵送)
提出内容
- 退職日
- 退職理由
- 新しい転職先の有無
- 支援に関する情報
(2) 転職した場合の届出(新規契約)
新しい会社で特定技能契約を結んだ場合、以下を14日以内に提出します。
- 新所属機関の情報
- 業務内容
- 支援計画の概要
注意点
・ 転職先が特定技能の対象分野であること
・ 適正な支援計画があること
・職務内容が在留資格と一致すること
これらが不十分だと転職しても「不適切な活動」と見なされる危険があります。
3|【企業(所属機関)】受入れ企業が行う届出義務
特定技能外国人を受け入れていた企業は、退職や契約終了の際に次の届出が必要です。
(1)所属外国人に関する届出(14日以内)
提出内容:
- 契約終了日
- 終了理由(事業縮小、能力不足など)
- 未払い賃金の有無
- 支援状況
法人としての義務
- 届出をしないと行政指導
- 悪質な場合は“特定技能受入れの停止”もあり得る
(2) 外国人を新規採用した場合の届出
転職後の受け入れ企業にも、
14日以内に外国人との新規契約の届出義務
があります。
特に注意すべき点:
- 特定技能1号で採用する業務が対象分野と一致しているか
- 週28時間のパート雇用は不可
- 支援計画の内容が適切か
4|【登録支援機関】退職・転職時の届出義務
登録支援機関にも届出義務があります。
以下の事実が発生した場合に届出が必要
- 支援委託契約の終了
- 支援拒否・中止
- 特定技能外国人の退職
- 新規契約
支援機関の責任
- 届出遅延は登録取り消しの原因
- 受入れ企業へ「義務的支援8項目」の指導が必要
登録支援機関は行政から最も厳しく監督されるため、確実な届出が求められます。
5|届出を怠った場合のペナルティ
① 外国人本人の場合
- 在留資格取消し
- 更新不許可
- 転職先での在留資格変更許可が下りない
② 企業(所属機関)の場合
- 行政指導
- 特定技能受入れの停止
- 公表の可能性
③ 登録支援機関の場合
- 登録取消し
- 事業停止
特定技能制度は「適正性」が非常に重視されるため、届出義務違反は重大です。
6|退職〜転職までの流れ(ケース別)
【ケース1】自己都合退職の場合
- 退職が決まる
- 外国人本人が14日以内に届出
- 受入れ企業が14日以内に契約終了届
- 求職活動(最大3ヶ月程度が目安)
- 新しい受入れ企業が決定する
- 新企業と登録支援機関が支援計画を作成
- 在留資格変更・更新(必要に応じて)
- 新規契約の届出(本人・企業)
【ケース2】企業側都合(解雇・縮小)
- 外国人が急に不利益を受けるケース
- 適法性の判断が必要
- 労働基準法との関係も重要
企業側には失業後の「支援」が義務として課されるため、登録支援機関と協力して対応する必要があります。
【ケース3】無職期間が長くなった場合
「就労活動を行っていない」と判断されると
在留資格取消しの可能性があります。
無職期間の目安
→ 3ヶ月以上は要注意
そのため、退職直後に職探しを開始することが重要です。
7|転職先が特定技能の業種ではない場合はどうなる?
特定技能1号は 14分野(※外食は2号対象化) のみで就労可能です。
よくある誤解
- コンビニ
- カフェ
- 清掃
- 物流倉庫の軽作業
これらは特定技能では働けません。
転職先が対象分野でない場合
→ 在留資格変更申請が必要(例:技人国、介護、技能など)
8|特定技能2号の注意点
2025年より特定技能2号の対象が拡大し、
外食業・飲食料品製造業などでも2号が可能になりました。
2号の特徴
- 在留期間の更新は「無期限」
- 家族帯同が可能
- 転職は自由だが「14日以内の届出」は義務
特に転職時のルールは1号と共通しているため注意が必要です。
9|【よくある質問Q&A】
Q1. 退職後に14日以内の届出を忘れたらどうなりますか?
A. 遅れても必ず提出してください。悪質な場合を除き、即取消しにはなりませんが、更新時に不利になる可能性があります。
Q2. 無職期間が長くなると特定技能は取り消されますか?
A. 約3ヶ月以上の求職活動が続くと「就労意思がない」と判断される危険があります。職探しの記録を残しておきましょう。
Q3. 特定技能で転職先を変えるのは難しいですか?
A. 在留資格と業務内容が一致していれば問題ありません。支援計画の作成が必要です。
Q4. 転職すると在留カードは変更になりますか?
A. 在留資格変更が生じない場合(同じ分野内の転職)は在留カードの変更は不要です。ただし届出は義務です。
Q5. 外国人が退職すると会社に罰則はありますか?
A. 罰則というより、届出義務違反に行政指導が入る可能性があります。
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参考リンク
まとめ
特定技能外国人が退職・転職する場合、
本人・企業・登録支援機関の3者が「14日以内の届出」を行うことが義務です。
特に外国人本人は、
- 無職期間が長期化
- 転職先が特定技能分野外
- 届出を失念
これらにより 更新不許可・取り消し のリスクがあるため注意してください。
特定技能制度は“適正運用”が重視されるため、
実務を理解した専門家への相談も重要です。
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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