飲食業経営者向け|外国人を雇用するためのビザ手続きと注意点【完全ガイド】
目次
1.はじめに|外国人雇用の重要性と増加する「飲食業人材不足」
飲食業界では、慢性的な人手不足が深刻化しています。特にホール・キッチンスタッフの確保は難しく、
外国人材の雇用が事業の継続に欠かせない時代となっています。
法務省によると、外食業分野で就労している外国人は年々増加しており、特に「特定技能」「留学生アルバイト」からのキャリア転換が目立ちます。
ただし、外国人を雇うには必ず在留資格(ビザ)に合った業務内容・雇用契約が必要です。
無許可のまま働かせると「不法就労助長罪」に問われ、事業者側も刑事罰の対象となるおそれがあります。
2.飲食業で外国人を雇用できる在留資格(ビザ)の種類
飲食業で働ける在留資格(ビザ)は、主に次の3つです。
| 在留資格 | 主な対象業務 | 主な要件 | 
|---|---|---|
| 特定技能1号(外食業) | 調理、接客、清掃、管理補助など | 技能試験+日本語試験合格 | 
| 特定活動46号 | 大学卒業の留学生が一般職で就職 | 年収・職務内容が要件を満たすこと | 
| 技能ビザ(調理師) | 各国料理の専門シェフ | 外国料理の実務経験10年以上など | 
それぞれの在留資格によって、雇用できる職種・契約条件が異なります。
次項で詳しく解説します。
3.特定技能ビザ(外食業)での雇用方法と条件
対象職種
「外食業」分野は、ホールスタッフ・キッチンスタッフ・店舗管理補助など、飲食店運営全般に関わる業務が対象です。
必要資格
- 外食業技能測定試験(技能)
- 日本語能力試験N4以上(またはJFT-Basic)
雇用契約の条件
- 日本人と同等以上の給与
- 週40時間以内のフルタイム契約
- 社会保険への加入
受入機関の義務
外食業の事業者は、登録支援機関と連携し、支援計画を作成する必要があります(住居確保・生活支援・日本語学習支援など)。
4.特定活動46号ビザでの雇用(留学生アルバイトから正社員へ)
制度概要
「特定活動46号」とは、日本の大学を卒業した留学生が、一定条件のもとで一般職として就職できる特例です。
飲食店での採用可能例
- 店舗マネジメント職(スタッフ管理、経営補助)
- 外国語を活かした接客(観光客対応など)
- 海外進出の支援業務
単純労働中心の「ホール」や「キッチン補助」のみでは不許可になるため、
職務内容にマネジメント要素や専門性を持たせることがポイントです。
5.技能ビザ(調理師・専門料理人)の採用と要件
対象となる外国料理
中華、フランス、インド、タイ、ベトナム、韓国など「本国特有の料理」を提供する店舗。
要件
- 本国での調理実務経験10年以上
- 日本の飲食店でその国の料理を提供すること
- 専門的な調理スキルが必要
「技能ビザ」は料理人限定のビザのため、ホールスタッフや一般飲食業務には使えません。
6.雇用前に必ず確認すべき「在留カード」と「資格外活動許可」
チェックポイント
- 在留資格の種類
- 在留期間の有効期限
- 資格外活動許可の有無(留学生アルバイトの場合)
留学生は原則、1週間28時間以内の労働しか認められません。
資格外活動許可を超えて働かせると、経営者も「不法就労助長罪」に問われるため注意が必要です。
7.飲食店経営者が気をつけるべき法律上の注意点
- 不法就労者の雇用禁止(入管法第73条の2)
- 労働条件通知書の交付義務(労働基準法第15条)
- 社会保険・雇用保険の加入義務
- 外国人雇用状況の届出(ハローワーク)
とくに、「在留資格に合わない業務内容で雇用」するケースが多発しています。
例:技能ビザ(調理師)で採用したのに、接客業務ばかりをさせるなど。
これも不許可や更新拒否の原因になります。
8.ビザ申請時に必要な書類と実務上の流れ
申請書類の例(特定技能外食業の場合)
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 雇用契約書
- 支援計画書
- 事業計画書・会社概要
- 労働条件通知書
- 登記事項証明書
- 直近の決算書または確定申告書
申請の流れ
- 外食業技能試験+日本語試験合格
- 雇用契約締結
- 支援計画の作成
- 在留資格認定証明書の申請
- 本国の日本大使館でビザ取得
- 入国・在留カード交付
- 労働保険・社会保険の加入
9.よくある不許可事例と対策
| 不許可理由 | 対策 | 
|---|---|
| 仕事内容が在留資格と合っていない | 職務記述書(Job Description)を明確に作成 | 
| 会社の経営状況が悪い | 決算書・資金計画書を整備 | 
| 支援計画が不十分 | 登録支援機関と契約して補完 | 
| 書類不備や虚偽記載 | 専門行政書士によるチェックを依頼 | 
10.まとめ|専門行政書士への相談のすすめ
飲食業で外国人を雇用する場合、在留資格ごとに手続きや要件が異なり、
「知らなかった」では済まされない法的リスクも伴います。
とくに初めて外国人を雇用する経営者は、
入管専門の行政書士に一度相談することで、トラブル防止やスムーズな採用が可能になります。
11.Q&A|よくある質問
Q1. アルバイト留学生をそのまま正社員にできますか?
→ はい。ただし「特定活動46号」や「技術・人文知識・国際業務」など、学歴や職務内容に応じた変更申請が必要です。
Q2. 特定技能1号の更新は何年ごとですか?
→ 原則1年ごとですが、最長5年まで在留可能です。
Q3. 不法就労を防ぐためのチェック方法は?
→ 入社時に必ず「在留カードの原本」を確認し、コピーを保存してください。
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参考リンク
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|  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 | 

