特定活動9号ビザ(日本企業インターンシップ)申請で不許可になるケースと対策【完全ガイド】
目次
1.特定活動9号(インターンシップビザ)とは?
特定活動9号ビザとは、日本の大学や企業等でインターンシップ(就業体験)を行う外国人学生に対して認められる在留資格の一つです。
法務省告示によると、教育課程の一環として行われるインターンシップや、大学・大学院での学業と密接に関連する職務体験が対象となります。
このビザは、報酬の有無や実習の性質に応じて審査基準が異なり、適切な条件を満たしていないと不許可となるリスクが高いのが特徴です。
関連記事:【インターンシップビザ(特定活動9号)完全ガイド】許可要件・必要書類・申請の流れを徹底解説
2.特定活動9号ビザが不許可になる主なケース
インターンシップビザは「学生の教育目的」と「企業の労働目的」との線引きが難しく、不許可になるケースも少なくありません。
以下では、実務上よくある不許可事例を紹介します。
① 教育課程との関連性が不十分
最も多い不許可理由が「インターン内容が専攻分野と関連していない」というものです。
例として、経済学専攻の学生が建設現場の作業補助を行う場合、教育目的が認められず不許可になることがあります。
対策:
- 大学側が発行する「指導教員意見書」で、インターン内容と専攻科目の関連性を明確に説明する。
- 実習計画書に「学業との接続性」を具体的に記載する。
② 実質的な労働とみなされる内容
報酬の有無に関わらず、業務内容が通常の従業員と同様である場合、「労働」と判断される恐れがあります。
たとえば、販売・接客・倉庫作業などは教育目的よりも業務性が強いため不許可リスクが高まります。
対策:
- 「教育・訓練・体験」を目的とする内容に限定する。
- 就労時間や責任の程度を抑え、教育担当者の指導体制を明確にする。
- 実習報告書や評価シートの提出を前提としたプログラム構成にする。
③ 受入企業の体制が整っていない
インターンシップ生の指導体制や安全管理体制が不十分な企業も、不許可の原因になります。
特に、過去に外国人労働者関連で入管違反歴がある企業は、厳しく審査されます。
対策:
- 企業側が「インターンシップ受入計画書」を作成し、責任者・担当部署・教育内容を明確化する。
- 就業規則や安全教育に関する資料を添付する。
- 社内で外国人受入実績がある場合は、証拠資料を添付する。
④ 大学側の推薦書・証明書の内容不備
大学や教育機関の推薦が形だけで、内容が抽象的な場合も不許可につながります。
対策:
- 推薦書には、「教育課程の一環」「単位認定の有無」「実施期間」「インターン先との関係性」を明確に記載する。
- 大学がプログラム全体を把握していることを示す。
⑤ 期間・報酬が不適切
インターン期間が長期すぎる、または高額報酬を受ける場合は、「実質就労」とみなされやすくなります。
対策:
- 原則3か月以内を目安に設定。
- 報酬は生活補助や交通費程度にとどめる。
- 長期・有給の場合は「特定活動告示9号(2)」など適用範囲を確認する。
3.不許可を避けるための実践的な対策
(1)申請書類の整合性を徹底する
大学・企業・学生の三者が作成する書類内容が食い違うと、不許可になりやすくなります。
例:大学は「2か月実習」と記載しているのに、企業は「3か月間勤務」としているなど。
ポイント:
- 実習期間・内容・報酬の有無などを統一する。
- 書類の言葉遣いにも注意し、「就労」ではなく「実習」「体験」と表現する。
(2)実習内容を具体的に説明する
審査官は「どのような教育効果があるか」を重視します。
抽象的な内容(例:「ビジネスマナーを学ぶ」)ではなく、実際の体験・目的を具体的に説明することが重要です。
例文:
当社のマーケティング実習では、学生が大学で学ぶ「国際経営戦略論」での知識を実際の企業事例に応用し、市場分析・戦略立案・報告書作成の一連を体験することを目的としています。
(3)受入企業側の信頼性を高める
インターン生の受け入れに慣れていない中小企業の場合、入管に疑義を持たれることがあります。
以下のような資料を添付して信頼性を高めましょう。
- 会社案内・登記簿謄本
- 直近の決算書・雇用管理体制
- 過去のインターン受入実績や大学との連携実績
(4)専門家による事前チェック
ビザ専門行政書士などの専門家に相談することで、書類の整合性や説明不足を事前に防ぐことができます。
実務経験豊富な専門家は、入管が重視するポイントを熟知しています。
4.申請時に注意すべきポイント
チェック項目 | 対応のポイント |
---|---|
実習内容 | 教育目的であることを明確化 |
学業との関連性 | 専攻分野とのつながりを示す |
期間 | 原則3か月以内 |
報酬 | 交通費・昼食代など実費支給が原則 |
大学推薦書 | 教員署名入り・単位認定有無を明記 |
企業計画書 | 受入責任者・教育内容・体制を具体化 |
5.よくある質問(Q&A)
Q1:報酬がある場合は不許可になりますか?
A:報酬があっても教育目的が明確であれば許可されます。ただし高額報酬や成果報酬型は「労働」と判断されやすいです。
Q2:大学の授業がない期間に行うインターンは対象ですか?
A:夏休み・春休み期間中のインターンも認められますが、教育課程と関連づける必要があります。
Q3:外国の大学から日本企業に直接申請できますか?
A:可能です。ただし、大学と企業の間で連携協定書があり、教育目的が明確であることが条件です。
Q4:不許可になった場合、再申請はできますか?
A:できます。再申請の際は、不許可理由を分析し、書類修正・補足説明を行うことで許可の可能性が高まります。
6.まとめ
特定活動9号ビザ(インターンシップビザ)は、「教育目的」と「労働目的」の線引きが審査上の重要ポイントです。
不許可になる多くのケースは、
- 学業との関連性不足
- 実習内容の不明確さ
- 企業体制の不備
に起因しています。
不許可を防ぐには、三者間(大学・企業・学生)の情報共有と、教育的要素を強調した書類作成が欠かせません。
申請に不安がある場合は、入管専門行政書士などのプロに相談することを強くおすすめします。
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参考リンク
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |