【特定活動ビザ完全ガイド】29種類の在留資格の中での位置づけと申請要件をわかりやすく解説
目次
はじめに
外国人を雇用・受け入れる企業や、留学生・高度人材の支援を行う人事担当者の皆さまへ。
「特定活動ビザ(在留資格『特定活動』)」という言葉を耳にしたことはありませんか?
特定活動は、法務大臣が個別に指定する「特例的な在留資格」であり、他の在留資格では対応できない活動をカバーする制度です。
この記事では、法務省告示に基づく特定活動(告示特定活動)から、実務で認められている告示外特定活動まで、全体像・代表例・申請要件・注意点を詳しく解説します。
特定活動とは?
「特定活動」とは、出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条に基づき、法務大臣が「個別に指定する活動」を認める在留資格です。
他の28種類の在留資格に当てはまらない外国人の活動を、個別事情に応じて柔軟に許可するのが特徴です。
特定活動で認められる活動例
- ワーキングホリデー制度の参加者
- 留学生の卒業後就職活動
- 経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護人材
- 高度専門職外国人の両親の呼び寄せ
- 長期観光(ロングステイ)滞在
- 出国準備や人道上の滞在
つまり、「法律で定型化された枠(技術・人文知識・国際業務、留学など)」から外れるケースを救済する、非常に幅広いビザです。
特定活動ビザの位置づけと他の在留資格との違い
日本には現在、在留資格が 29種類 あります。
その中で「特定活動」は、活動内容に基づく在留資格の一つに分類されます。
区分 | 主な在留資格例 |
---|---|
身分・地位に基づく資格 | 永住者、日本人の配偶者等、定住者など |
活動に基づく資格 | 技術・人文知識・国際業務、経営管理、技能など |
特例的な活動資格 | 特定活動(個別指定) |
つまり「特定活動ビザ」は、他の資格では認められない例外的な活動を法務大臣が個別指定で許可する枠です。
ポイント
- 活動内容・就労可否・期間は、個別に「指定書」で明示される。
- 同じ「特定活動」でも、内容がまったく異なる(例:留学生就職活動ビザとロングステイビザ)。
特定活動には「告示特定活動」と「告示外特定活動」がある
告示特定活動とは
法務省告示で正式に定義された特定活動を指します。
番号が付与されており、たとえば以下のような活動が対象です。
告示番号 | 内容 |
---|---|
46号 | 本邦大学等卒業者(日本語能力を活かした業務) |
47号 | 46号取得者の配偶者等 |
34号 | 高度専門職外国人の親の呼び寄せ |
40号 | 観光・保養を目的とする長期滞在者 |
これらは要件が明確で、申請時の見通しも立てやすいのが特徴です。
告示外特定活動とは
法務省の告示には明記されていないが、実務上認められている活動です。
たとえば「卒業後も就職活動を継続する留学生」や「人道上の配慮による滞在」などが該当します。
違いのまとめ
- 告示特定活動:制度として明文化されている
- 告示外特定活動:法務大臣の裁量による個別許可
- 審査の厳しさ:告示外 > 告示(資料の正確性・理由書の重要度が高い)
主な特定活動ビザの代表例と要件
(1)46号:本邦大学等卒業者ビザ(日本語活用型就労)
日本の大学・大学院・専門学校卒業者が、日本語能力を活かして接客・販売などで働ける特定活動です。
主な要件:
- 日本の大学または専門学校を卒業している
- JLPT N1、またはBJT480点以上
- フルタイムの直接雇用(派遣・パート不可)
- 日本語を用いた意思疎通が必要な業務
雇用側のメリット:
- 店舗接客・観光対応など現場業務も可能
- 技術・人文知識・国際業務ビザでは難しいポジションにも対応
(2)34号:高度専門職外国人の親の呼び寄せ
高度専門職ビザを持つ外国人の親や配偶者の親が、孫の養育や介護目的で日本に滞在できる特定活動です。
主な要件:
- 本人の年収が800万円以上
- 同居して生活を共にすること
- 医師診断書や養育証明書など提出
家族帯同支援として利用されるケースが多く、企業の高度人材採用時に重要。
(3)留学生の「就職活動継続ビザ」(告示外)
卒業後すぐに就職が決まらなかった留学生が、最長1年間日本で就職活動を続けられる特定活動。
主な要件:
- 出席率・成績が良好
- 大学・専門学校から推薦を受けている
- 活動実績(企業応募、面接など)を継続報告する
企業側も「就職活動中の外国人を採用予定者として面談・オファー可能」となります。
(4)40号:観光・保養目的の長期滞在(ロングステイ)
資産を持つシニア層が、日本で長期間滞在するための特定活動。
主にマレーシアなどビザ免除国出身者が対象です。
主な要件:
- 18歳以上
- 3,000万円以上の預貯金
- 海外旅行傷害保険加入
- 滞在先住所の明確化
「観光・保養」目的での滞在で、就労は認められません。
(5)人道上の配慮による特定活動
退去強制手続き中や、災害・疾病などで出国できない外国人に対して「一時的な滞在」を認める制度。
就労は原則不可ですが、人道的配慮の下で柔軟に対応されます。
特定活動ビザの申請手続きと必要書類
申請の流れ
- 活動内容に応じて「該当する特定活動」を特定
- 在留資格変更許可申請/更新申請を地方出入国在留管理局へ提出
- 審査後、在留カード発行(指定書に活動内容が記載)
主な必要書類
- 在留資格変更許可申請書
- 写真(4×3cm)
- 在留カード・パスポート
- 雇用契約書・理由書・活動計画書
- 日本語能力証明(46号など)
- 卒業証明書・推薦書(就職活動ビザなど)
特定活動は個別審査のため、活動理由書の質が許可率に直結します。
企業・人事担当者が注意すべきポイント
- 就労可否の確認
特定活動は「就労可能か否か」が個別に指定されます。指定書を必ず確認。 - 報酬水準・雇用形態
日本人と同等以上の給与水準が原則。派遣・短期契約は不可の場合あり。 - 期間管理
初回1年、以降更新可能なケースが多い。更新手続きは期限の3か月前から。 - 雇用トラブル防止
特定活動で働ける業務範囲を超えた就労は不法就労と見なされるリスクあり。
よくある質問(Q&A)
Q1:特定活動ビザは就労ビザと同じですか?
A:就労が許可されるケースもありますが、すべての特定活動で働けるわけではありません。指定書で明示されます。
Q2:在留期間はどのくらいですか?
A:1年・6か月・3か月など、法務大臣が指定します。更新可能なケースも多いです。
Q3:学生の就職活動ビザはどうやって取りますか?
A:学校から推薦書をもらい、就職活動計画書を添付して申請します。
まとめ
特定活動ビザは、他の在留資格に当てはまらない「例外的・個別事情に応じた滞在」を可能にする柔軟な制度です。
外国人を雇用する企業、人事・採用担当者は「どの特定活動に該当するか」「就労が認められるか」を正確に確認することが重要です。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |