【専門家監修】留学ビザ申請における「経費支弁者」とは?必要書類・注意点を徹底解説


はじめに

日本の学校(大学・専門学校・日本語学校など)に留学するためには、「在留資格『留学』」を取得する必要があります。
この申請において非常に重要となるのが、**「経費支弁者(けいひしべんしゃ)」**です。

経費支弁者とは、留学生が日本で生活・学習をするために必要な費用を支える人のこと。
ビザ審査では、この支弁者が安定した経済力を持っているか、そして申請人との関係が明確であるかが重視されます。

本記事では、行政書士監修のもと、「経費支弁者とは何か」「誰がなれるのか」「必要書類と注意点」について詳しく解説します。


1.経費支弁者とは?

経費支弁者とは、留学生の学費や生活費を実際に負担する人のことを指します。
入管庁の審査では、「日本での生活を継続できるだけの資金的裏付け」があるかどうかが重要な審査基準の一つです。

例えば、大学や日本語学校の入学時に提出する「経費支弁書(所定様式)」には、以下の内容を明記する必要があります。

  • 支弁者の氏名・住所・職業
  • 申請人との関係(親・兄弟など)
  • 支弁の内容(授業料・生活費など)
  • 支弁方法(送金・仕送りなど)

参考資料:法務省|経費支弁書フォーマット(PDF)


2.経費支弁者が必要な理由

(1)ビザ審査で最重要ポイントの一つ

「経費支弁能力」は、留学ビザ審査で最も重視される要素の一つです。
経済的に不安定な申請は、「滞在中の生活維持が困難」とみなされ、在留資格認定証明書(COE)の交付が不許可となるリスクがあります。

(2)留学の継続性・安定性を示すため

学費・生活費を安定して支えられる体制があることは、「日本で学業を継続できる信頼性」を示すものです。
親族など明確な支弁者がいれば、審査はスムーズに進みます。

(3)不自然な支弁関係はマイナス評価

支弁者と申請人の関係が不明確な場合や、短期間で大金が預金されているなどのケースでは「見せ金」や「虚偽申請」と疑われることがあります。


3.経費支弁者になれる人・なれない人

経費支弁者になれる人

  • 留学生の父母(最も一般的)
  • 兄弟姉妹・祖父母など3親等以内の親族
  • 本人自身(十分な資金がある場合)
  • 奨学金団体・企業などの法人(正式契約がある場合)

経費支弁者として認められにくい人

  • 知人・恋人・友人など、親族関係が薄い個人
  • 収入・預金が不安定な支弁者
  • 一時的に預けた「見せ金」口座を使うケース
  • **貸与契約(返済前提)**で支弁する場合

親族以外を支弁者とする場合は、支弁の経緯や関係性の説明書を添付する必要があります。
関係が不自然と判断されると、不許可となる可能性があります。


4.経費支弁者に関する必要書類一覧

書類名内容・目的
経費支弁書法務省指定書式に支弁内容・関係を明記(法務省様式PDF
預金残高証明書支弁者名義の銀行残高を証明(過去数か月分の通帳コピーも添付推奨)
納税証明書・課税証明書年間所得や納税実績の証明(市区町村役場で発行)
在職証明書勤務先・職種・年収を証明(会社員の場合)
事業証明書・確定申告書自営業者・会社経営者の場合に提出
親族関係証明書・戸籍謄本支弁者と申請人の関係を立証
資金形成経緯の説明資料預金の出所・形成過程を明示する資料(通帳・送金履歴など)

書類作成時のポイント

  • 金額・期間・支弁方法を具体的に書く(「毎月10万円を送金予定」など)
  • 翻訳が必要な場合は日本語翻訳文を添付
  • 入管では「預金残高」よりも「安定収入・納税実績」を重視

5.よくある不許可ケースとその回避策

不許可原因対策方法
支弁者の年収が低い(例:100万円未満)家族全体の収入・預金を合算して証明/共同支弁も可
預金が直前に大幅入金(見せ金扱い)資金形成の経緯を説明(給与・退職金・貯金履歴を添付)
支弁者が友人・恋人支弁の経緯書を詳細に作成(支援理由・関係経緯)
提出書類に不備すべての証明書は発行3か月以内・原本または公的コピー提出

不許可の多くは「説明不足」や「支弁根拠の不明瞭さ」が原因です。
入管審査では「合理的で継続可能な支弁体制」が何より重要です。


6.支弁者のタイプ別ポイント

A.親が支弁者

最も一般的な形です。親の収入・預金・納税証明を提出します。
もし親が無職・年金受給者の場合は、預金残高と年金証明書で補強しましょう。

B.申請者本人が支弁

本人名義の口座に十分な残高があれば自己支弁も可能です。
ただし「安定収入」よりも「蓄積資産(残高証明)」を重視されます。

C.祖父母・兄弟姉妹

親が高齢や病気の場合に多いパターン。
支弁者との関係説明文を添付すると審査がスムーズです。

D.企業・団体が支弁

奨学金や企業研修で留学する場合、支弁契約書・奨学金証明書が必要です。
正式な法人契約があれば、信頼度は高くなります。


7.Q&A(よくある質問)

Q1. 経費支弁者は日本在住でなければなりませんか?
A. 海外在住でも可能ですが、送金方法・継続性が明確でなければ審査が厳しくなります。

Q2. 経費支弁書は手書きでも良いですか?
A. 手書き・パソコン入力どちらでも構いませんが、法務省指定様式を使用してください。

Q3. 支弁者が複数いても良いですか?
A. 可能です。例えば「父が学費、母が生活費」という形も認められます。

Q4. 支弁者が失業中でも認められますか?
A. 預金残高や過去の貯蓄・不動産収入等で支弁能力が証明できれば許可される場合もあります。


8.専門家に相談すべきケース

次のような場合は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。

  • 親族以外を支弁者とする
  • 預金残高が少ない・収入が不安定
  • 過去に不許可歴がある
  • 留学目的・支弁関係を文章化するのが難しい

専門家に依頼することで、入管の審査基準に沿った説明文・証拠資料を整えられ、不許可リスクを大幅に減らせます。


9.関連記事・参考リンク

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参考リンク


まとめ

留学ビザ申請における「経費支弁者」は、単なる書類上の存在ではなく、審査の合否を左右する重要要素です。
「誰が支えるのか」「その人に十分な支弁能力があるのか」を、具体的な証拠とともに示すことが何より大切です。

特に、親族以外の支弁者や資金形成経緯が複雑な場合は、専門家のサポートを受けることで、確実な申請書類作成が可能となります。

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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法