【技術・人文知識・国際業務ビザ/国際業務編】国際業務でできる仕事とは?完全ガイド
目次
1.国際業務とはどんな業務を指すのか
在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」は、外国人が日本で専門的・技術的な業務を行うための就労ビザです。
その中の「国際業務」とは、外国語や外国の文化に基づいた業務を行う職種を指します。
たとえば、日本企業が海外との取引・交渉を行う際に、外国語のスキルや国際的な知識を活かして行う仕事が典型です。
法務省の運用基準によれば、次のように定義されています。
「国際業務」とは、外国語の能力や外国文化の理解など、国際的な感覚を必要とする業務であること。
つまり、単に英語を話せるだけではなく、「外国語を用いた実務」「海外との取引・連携」「外国人向けサービス提供」など、外国との橋渡し役となる業務が求められます。
2.「国際業務」に該当する主な仕事の具体例
国際業務に該当する具体的な職種・業務内容は次のとおりです。
(1)通訳・翻訳業務
- 日本企業と海外取引先との商談や契約書翻訳
- 会議や展示会での逐次・同時通訳
- 外国語マニュアル・ウェブサイトの翻訳・ローカライズ
(2)海外取引・貿易業務
- 輸出入取引に関する契約、インボイス、船積書類の作成
- 貿易管理・通関業務
- 海外顧客との折衝、マーケット調査
(3)外国人向け営業・マーケティング
- 外国人観光客・留学生向けの営業活動
- 外国語SNS運用、海外向け商品プロモーション
- 外国人向け不動産・金融・教育サービス提供
(4)海外事業・国際広報
- 外資系企業の日本支社での渉外業務
- 国際会議・展示会の運営
- 海外メディア対応、国際広報活動
(5)外国語教育関連(例:企業内語学研修など)
- 外国語研修プログラム企画・運営
- 語学教材の開発・翻訳
3.国際業務ビザを取得できる条件
(1)学歴要件
- 原則として**大学卒業(学士)又は日本の専門学校**で、専攻が業務内容に関連していること。
例:外国語学科・国際関係学科など。
(2)実務経験要件
- 大学又は日本の専門学校を卒業していない場合は、3年以上の実務経験が必要です。
(3)雇用先の条件
- 雇用契約を結ぶ会社が日本法人であること
- 給与水準が日本人と同等以上であること
- 業務内容が「国際業務」の範囲に含まれること
単に英会話スクールの受付や販売業務では「国際業務」に該当しない場合があります。
外国語を使うこと自体よりも、「専門性を伴う業務」であることが重要です。
4.国際業務ビザで働ける業種と働けない業種
区分 | 働ける業務例 | 働けない業務例 |
---|---|---|
通訳・翻訳 | 契約書翻訳、会議通訳 | 一般事務での簡易翻訳 |
海外営業 | 海外取引先との折衝 | 国内営業・販売員 |
貿易事務 | 船積書類作成、貿易契約 | 倉庫での梱包作業 |
国際広報 | 海外メディア対応 | SNS更新のみ |
外国人向けサービス | 外国人観光客向け案内・契約 | 飲食店ホールスタッフ |
5.国際業務ビザの申請に必要な書類とポイント
主な提出書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 雇用契約書の写し
- 会社案内・登記簿謄本
- 業務内容を説明する資料(業務フロー、職務記述書など)
- 申請人の卒業証明書または職歴証明書
- 給与明細・就業規則(給与水準確認のため)
審査のポイント
- 学歴・職歴と業務内容の関連性
- 業務内容が「国際業務」として専門性を有するか
- 雇用先の事業の安定性・継続性
- 申請人の給与が日本人と同等水準か
ポイント:
国際業務ビザの審査では、「外国語を使うだけの仕事」では不許可になることがあります。
そのため、**外国語+専門性(貿易・国際取引・マーケティング等)**を証明する資料を添付することが重要です。
6.国際業務ビザ取得の注意点(留学ビザ・ワーホリとの違い)
項目 | 国際業務ビザ | 留学ビザ | ワーホリビザ |
---|---|---|---|
就労目的 | 専門業務での就労 | 学業が主目的 | 一時的な就労可 |
契約形態 | 雇用契約が必要 | アルバイト限定 | 雇用自由(短期) |
期間 | 1〜5年(更新可) | 在学期間中 | 原則1年 |
永住への道 | 永住申請につながる | 難しい | 原則不可 |
7.国際業務ビザの更新・変更手続き
国際業務ビザの在留期間は1年・3年・5年などがあり、期間満了前に更新手続きが必要です。
更新時の主な提出書類
- 在留期間更新許可申請書
- 直近の給与明細・源泉徴収票
- 会社の納税証明書・決算書
- 雇用契約書の写し
また、留学ビザやワーホリビザから「国際業務」へ変更する場合は、学歴・職務内容の関連性が最も重視されます。
例:大学で国際関係学を学び、通訳会社に就職 → 変更許可されやすい。
例:理系専攻で翻訳業務 → 関連性が薄く不許可の可能性。
8.【Q&A】よくある質問まとめ
Q1.英語が得意なら誰でも国際業務ビザを取れますか?
A.いいえ。英語力だけでなく、「外国語を用いた専門的業務」であることが条件です。通訳・翻訳・海外営業など、専門性が必要です。
Q2.外国人観光客対応のホテル勤務は国際業務ビザでできますか?
A.マーケティング・通訳業務などは該当する場合がありますが、清掃や飲食接客中心の場合は対象外です。
Q3.契約社員でも申請できますか?
A.はい。雇用形態は問いませんが、継続的な雇用契約と安定した収入見込みが必要です。
Q4.国際業務ビザで永住申請は可能ですか?
A.可能です。一般的に10年以上の在留(うち5年以上の就労)が目安ですが、高度専門職ビザへ移行すれば短縮も可能です。
9.専門行政書士に相談するメリット
国際業務ビザは、申請書類の書き方や業務説明の内容で審査結果が大きく変わります。
専門の行政書士に依頼することで、
- 不許可リスクを大幅に低減
- 職務内容説明書・理由書の最適化
- 入管担当官への的確な説明
が可能になります。
専門家のサポートにより「業務内容の専門性」や「学歴との関連性」を的確にアピールできる点が大きなメリットです。
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参考リンク
【まとめ】
「国際業務ビザ」は、外国語能力や国際的な感覚を活かして、日本企業と海外をつなぐ重要な在留資格です。
しかし、その許可には「学歴・職歴・業務内容の専門性」の3点が揃っていることが必要です。
不明点がある場合や、自身の職務が該当するか判断が難しい場合は、行政書士など専門家への相談を強くおすすめします。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |