【短期滞在(親族訪問)ビザ】招へい理由書の書き方と例文|審査を通すための実務ポイントを解説


1.はじめに:親族訪問ビザで求められる「招へい理由書」とは

短期滞在ビザ(親族訪問)を申請する際、**「招へい理由書」**は最も重要な書類の一つです。
この書類は、なぜ日本に呼ぶ必要があるのかどのような関係なのかを説明する目的で提出します。

日本の出入国在留管理庁は、親族訪問ビザの審査において「滞在目的の明確性」「親族関係の真実性」「短期滞在にふさわしい内容か」を重視しています。
したがって、単に「会いたいから」「観光を兼ねて来てもらう」という記載だけでは不十分です。


2.招へい理由書の役割と重視されるポイント

(1)「滞在目的の正当性」を示す

短期滞在(親族訪問)は観光・親族訪問・知人訪問などを目的とする一時的な滞在であり、就労目的ではないことを明確にしなければなりません。
理由書には、訪問の具体的な理由(例:出産見舞い、結婚式、法要、病気見舞いなど)を記載することで、正当な滞在理由を説明します。

(2)「親族関係の明確化」

親族訪問ビザの審査では、「どのような続柄か」「普段から交流があるのか」が重要です。
関係性を裏付けるために、戸籍謄本、出生証明書、写真、通信履歴などを添付すると説得力が増します。

(3)「短期滞在で完結する目的」

入管庁は、「将来的に長期滞在目的があるのでは?」という疑念を持たないように審査します。
したがって、「〇月〇日から〇月〇日まで滞在」「帰国後は勤務・学業を再開する予定」など、帰国意思を示す記載も重要です。


3.招へい理由書の書き方【構成と具体例】

(1)基本構成

招へい理由書には、次の5要素を明確に記載するのが理想です。

項目内容
① 招へい者の情報氏名、住所、職業、訪問者との関係
② 被招へい者の情報氏名、国籍、生年月日、職業
③ 招へいの目的親族訪問の具体的な理由(例:出産、法要など)
④ 招へい期間・滞在予定滞在期間、滞在先住所、スケジュール概要
⑤ 招へいの背景招へいに至った経緯、これまでの関係

(2)例文①:親の訪日(孫の誕生見学)

招へい理由書(例)

招へい者:田中太郎(東京都新宿区○丁目○番地、会社員)
被招へい者:王美花(中国籍、1958年生まれ、無職)

このたび、私の妻が第一子を出産いたしました。出産後の育児支援および孫との面会を目的として、妻の母である王美花を日本に短期間招へいしたく、申請いたします。

滞在期間は令和7年1月5日から令和7年2月5日までの1か月を予定しております。期間中は、当方の自宅(東京都新宿区○丁目)に宿泊し、私が生活費・滞在費を全て負担いたします。

王美花は、中国で夫と共に生活しており、滞在終了後は帰国して夫と同居を再開する予定です。

招へいの目的は純粋な親族訪問であり、就労や永住を目的とするものではありません。

令和7年1月1日
招へい者:田中太郎 印

(3)例文②:法要への出席

招へい理由書(例)

招へい者:佐藤花子(東京都世田谷区在住、主婦)
被招へい者:キム・ジフン(韓国籍、兄、会社員)

私たちの父が令和6年12月に逝去しました。令和7年3月に四十九日法要を行うため、兄であるキム・ジフンを短期滞在で招へいしたく申請いたします。

滞在期間は令和7年3月1日から令和7年3月10日までを予定しております。滞在中は私の自宅に宿泊し、費用は全て当方が負担いたします。

招へい目的は父の法要出席のためであり、短期滞在後は韓国へ帰国します。


4.親族訪問目的別の書き方例

目的記載のポイント
出産・育児支援出産日、サポート内容、滞在期間を具体的に
結婚式参加結婚式の日程・場所・新郎新婦との関係を明示
病気見舞い医師の診断書や入院証明など客観資料を添付
法要・葬儀日程・宗派・場所を明確に記載
家族交流・観光を兼ねる「観光を兼ねて親族と過ごす」など自然な表現で

5.審査で不許可にならないための注意点

(1)滞在目的をあいまいにしない

「観光も兼ねて」などの曖昧な表現だけでは、審査官に就労目的の疑念を与える可能性があります。
具体的な目的・期間・関係性を丁寧に説明しましょう。

(2)滞在期間は現実的に設定する

親族訪問ビザの標準滞在期間は15日〜90日以内です。
目的に比して期間が長すぎる場合、「長期滞在目的では?」と疑われます。

(3)招へい者・身元保証人の信用性

保証人の年収・職業・居住状況も審査に影響します。
収入が安定していない場合は、貯金残高証明や源泉徴収票を添付しましょう。


6.よくある質問(Q&A)

Q1:招へい理由書は英語で書いても大丈夫ですか?
A:原則として日本語で作成します。

Q2:家族全員を同時に招へいする場合、理由書は1通で良いですか?
A:訪問目的・期間が同じ場合は1通でも構いません。ただし、人数が多い場合は家族構成一覧を別紙に添付すると良いです。

Q3:理由書に虚偽記載があるとどうなりますか?
A:虚偽申請が発覚した場合、ビザが不許可となるだけでなく、将来の申請にも悪影響を及ぼします。必ず事実に基づいて記載してください。

Q4:親族訪問ビザと知人訪問ビザの違いは?
A:親族(配偶者・子・親・兄弟姉妹など)を訪問する場合は「親族訪問」、それ以外は「知人訪問」となります。
知人訪問は審査が厳しく、理由書の説得力がより重視されます。


7.まとめ:真実性と明確性が審査通過の鍵

短期滞在(親族訪問)ビザの招へい理由書は、審査官が「この訪問は正当だ」と納得できる内容であることが最重要です。
特に次の3点を意識して作成しましょう。

  1. 招へいの目的を具体的に書く(出産・法要・見舞いなど)
  2. 滞在期間と帰国予定を明確に示す
  3. 親族関係を証明する書類を添付する

また、身元保証書・滞在予定表・招へい状など、関連書類との整合性も重要です。
招へい理由書だけでなく、全体の書類構成が審査の信頼性を左右します。

専門家からのアドバイス

行政書士などの専門家が作成する場合は、依頼人の状況(家族構成・目的・時期)に合わせて内容を調整します。
実務上、**「形式よりも内容の真実性」**が最も重視されます。
不許可リスクを減らすには、行政書士によるチェックを受けることもおすすめです。


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参考リンク


まとめ:

短期滞在(親族訪問)ビザの招へい理由書は、「なぜ」「誰を」「どのくらい」呼ぶのかを誠実に説明する書類です。形式的ではなく、心のこもった内容が審査官に伝わるよう丁寧に作成しましょう。

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 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
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