【未成年の子を含む親子同時帰化申請】条件・注意点・手続きの流れを徹底解説
目次
この記事のポイント
- 親子で同時に帰化申請をするメリットと注意点
- 未成年の子どもが申請できる条件と要件の緩和
- 親子同時帰化申請の流れ・必要書類・審査ポイント
- 実務でよくあるトラブルと対策
1.親子同時帰化申請とは?
帰化申請は、外国籍の方が日本国籍を取得するための重要な手続きです。
通常は個人単位で申請しますが、未成年の子を含む親子同時申請を行うことで、申請全体を一体として審査してもらうことができます。
親子同時申請のメリット
- 親と子が一緒に日本国籍を取得できる
- 未成年者に課される「能力要件」が免除される
- 書類提出や面接が一括で行えるため手続きが簡略化
- 家族として統一した在留・国籍管理ができる
たとえば、母親と子どもが一緒に帰化を申請した場合、子どもが18歳未満であっても申請が認められるケースがあります。
これは、国籍法第5条第1項に定める「能力要件」が、親と一緒の申請であれば問われないためです。
参考:法務省「帰化の許可申請」
2.帰化申請の基本要件(親に求められる条件)
親子同時申請の場合でも、**親(代表申請者)**が通常の帰化要件を満たしていなければ、許可は下りません。
法務省および法務局の案内によると、以下の要件が基本です。
要件 | 内容 |
---|---|
住所要件 | 日本に引き続き5年以上住んでいること |
能力要件 | 申請者が成年に達していること |
素行要件 | 犯罪歴がなく、社会的信用を保っていること |
生計要件 | 安定した収入・生活基盤があること |
重国籍防止要件 | 日本国籍取得により元国籍を失うことができること |
憲法遵守要件 | 憲法秩序を尊重し、破壊的活動をしていないこと |
3.未成年の子どもの帰化要件(緩和措置)
3-1.能力要件の免除
通常、帰化には「成年(行為能力)」が必要ですが、未成年者は親と同時に申請することで免除されます。
つまり、18歳未満でも親と一緒に帰化申請が可能です。
15歳未満の子どもについては、法定代理人である親が代わりに申請書へ署名します。
15歳以上の場合は、本人の署名や面接参加が求められるケースがあります。
3-2.住所・居住要件の緩和
未成年者が親と同居している場合、親の住所要件(5年居住)を基準として審査されるため、
子ども個人として5年間の在留実績がなくても問題にならないケースがあります。
ただし、親が途中で転職や転居を繰り返している場合、
「引き続き在留している」と認められないリスクがあるため注意が必要です。
3-3.素行・生活態度の確認
未成年者についても、「素行要件」は完全に免除されるわけではありません。
法務局では以下のような項目を確認します。
- 学校での出席率・生活態度
- 保護者との関係(扶養関係・同居の有無)
- 家庭内での安定した生活状況
特に中学生・高校生の場合、日本語能力や生活適応の度合いが評価の対象となります。
3-4.国籍の喪失と重国籍の注意点
帰化後、元の国籍を放棄することが原則です。
国によっては「国籍離脱」がすぐにできない場合もあるため、在外公館などに事前確認を行っておきましょう。
4.親子同時帰化申請の手続きの流れ
親子同時申請は、個別申請よりも確認書類が多く、審査期間もやや長くなる傾向にあります。
以下のステップで整理しましょう。
ステップ①:法務局への事前相談
まずは、居住地を管轄する法務局の「国籍課(帰化担当)」に相談予約を行います。
親子同時申請が可能か、必要書類の案内を受けます。
ステップ②:必要書類の収集
親と子の両方の書類を揃える必要があります。
親の主な提出書類
- 住民票・在留カード
- 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書)
- 納税証明書・社会保険料納付証明書
- 履歴書・職業証明書
子どもの主な提出書類
- 出生証明書・翻訳文
- 学校在籍証明書・成績証明書
- 親との関係を証明する書類(母国の家族関係証明書など)
ステップ③:申請書類の作成と提出
親と子どもの情報をすべて含めた申請書を作成し、法務局に提出します。
子どもが15歳未満の場合は親が代理署名します。
ステップ④:面接審査
面接では、以下の内容が確認されます。
- 家族構成と日本での生活状況
- 親子の日本語能力
- 帰化の動機・将来の希望
中高生の子どもには簡単な日本語で質問される場合があります。
親だけでなく子の教育・生活安定性も見られるため、家庭全体の信頼性が重視されます。
ステップ⑤:審査期間と結果通知
申請から許可までは、通常10か月~1年半程度かかります。
家族同時申請の場合は、審査内容が多いため、単独申請よりも時間がかかる傾向があります。
許可が出ると「帰化許可通知書」が交付され、市区町村役場で新戸籍を作成します。
5.親子同時申請で注意すべき5つのポイント
- 親の帰化が不許可になれば、子どもの申請も自動的に却下される
- 居住地が別々の場合は同時申請が難しいことがある
- 親子分の書類準備が必要で、翻訳費用が増える
- 未成年でも面接対象になるケースがある
- 元国籍の離脱手続きを忘れると重国籍問題になる
6.よくある質問(Q&A)
Q1. 親が帰化許可を得てから、後から子どもだけ申請できますか?
可能ですが、親と同時に申請する場合より審査が厳しくなります。
特に子が18歳以上の場合、「親の帰化を理由に自動で許可」とはなりません。
Q2. 離婚・再婚している場合でも、親子で申請できますか?
親権を持っている親と同居している場合は、基本的に可能です。
ただし、もう一方の親が外国在住の場合、同意書や出生証明の翻訳が必要となることがあります。
Q3. 子どもが学校を休みがちでも申請できますか?
軽度の欠席程度であれば問題ありませんが、長期欠席・非行歴などがあると素行要件に影響する場合があります。
7.まとめ:親子同時帰化は専門家への相談が安心
親子同時帰化申請は、親の要件+子どもの特例が組み合わさるため、個別事案によって判断が分かれます。
とくに書類準備や翻訳、親権関係の確認は非常に煩雑です。
行政書士など専門家に相談することで、法務局面談前に書類の不備を防ぎ、許可までの時間を短縮できます。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |