【専業主婦(主夫)でも帰化できる?】配偶者の収入で許可される条件を徹底解説【帰化申請完全ガイド】


1.帰化申請とは?

 帰化申請とは、外国籍の方が日本国籍を取得するために行う法務局での手続きです。
帰化が許可されると、外国籍を離脱し、日本人として戸籍が作られます。

法的根拠は国籍法第4条~第10条に定められており、主な要件は以下のとおりです。

  • 日本に5年以上継続して住所を有すること(住所要件)
  • 20歳以上で本国法により行為能力を有すること(能力要件)
  • 素行が善良であること(素行要件)
  • 生計を維持できる資産・技能があること(生計要件)
  • 日本国籍の取得が公共の利益に反しないこと(公衆衛生・安全要件)

このうち、「専業主婦(主夫)」の方が最も気にされるのが、**生計要件(経済的安定性)**です。


2.専業主婦(主夫)でも帰化できる?

結論から言えば、

専業主婦(主夫)でも帰化は可能です。

ただし、配偶者(日本人または永住者)の収入によって生計が維持されていることが明確に証明できる場合に限ります。

帰化審査では、本人の職業や年収よりも「世帯全体としての生活の安定」が重視されます。

したがって、本人が働いていなくても、

  • 日本人の配偶者の収入で生活が安定している
  • 住宅や貯蓄があり、将来的にも生活に支障がない
    といった状況であれば、帰化が許可される可能性が高くなります。

3.帰化申請で審査される「生計要件」とは

(1)生計要件の目的

法務局が「生計要件」を審査する目的は、帰化後に生活保護などの公的扶助に頼ることなく、安定した生活を営めるかを確認するためです。

(2)判断基準

生計要件は次のような観点で判断されます。

  • 現在の収入・支出のバランス
  • 住居(賃貸・持家)の状況
  • 貯蓄・資産の有無
  • 納税状況(住民税・所得税)
  • 扶養関係(誰が家計を支えているか)

つまり、専業主婦(主夫)であっても、家計を支える配偶者が安定収入を得ていることが確認できれば、帰化は認められます。


4.配偶者の収入で帰化が許可されるケース

(1)日本人配偶者が安定した収入を得ている場合

たとえば、日本人の夫が正社員として勤務しており、給与明細・源泉徴収票・納税証明書を提出できる場合は、専業主婦の帰化申請もスムーズに進みます。

必要となる主な証明資料:

  • 日本人配偶者の源泉徴収票または確定申告書
  • 夫婦の住民票
  • 納税証明書(市町村発行・所得課税証明書)
  • 家族全員分の健康保険証

(2)永住者配偶者の収入で生計を維持している場合

永住者の配偶者が申請するケースも同様に、世帯収入の安定性が審査されます。

永住者は長期在留の実績があり、就労制限もないため、安定的な職業があれば帰化の可能性は十分にあります。

(3)不安定な収入でも貯蓄や持家がある場合

年収が低めでも、

  • 住宅ローン完済済みの持家
  • 数百万円以上の預貯金
  • 親族からの定期的な支援
    がある場合は、補完要素としてプラスに評価されることがあります。

5.専業主婦(主夫)が帰化する際に注意すべきポイント

(1)配偶者の納税状況は厳しくチェックされる

配偶者が税金を滞納している場合、帰化申請はほぼ不許可になります。
住民税・所得税・国民健康保険料などの納付記録を必ず確認しましょう。

(2)婚姻の実体が重視される

特に専業主婦(主夫)の場合、「形式的な結婚ではないか?」と疑われることがあります。
そのため、婚姻の実体を証明するために、

  • 家族写真
  • 同居証明
  • 生活費の共有が分かる通帳記録
    などを提出することが推奨されます。

(3)配偶者の転職や離職時期は要注意

申請中に配偶者の職が変わると、再度収入証明や雇用証明の提出を求められます。
申請タイミングは「収入が安定している時期」に合わせるのがポイントです。


6.必要書類と申請の流れ

(1)主な必要書類(専業主婦・主夫の場合)

書類名提出先・取得元
帰化許可申請書法務局で入手
履歴書同上
親族の概要書同上
収入証明書(配偶者分)市役所・勤務先
納税証明書(配偶者分)市役所または税務署
住民票(世帯全員分)市役所
婚姻届受理証明書または戸籍謄本市役所
写真(申請者本人)6か月以内撮影
本国の証明書類(出生証明・国籍証明など)本国機関発行

(2)申請の流れ

  1. 法務局での事前相談(予約制)
  2. 書類準備(2~3か月)
  3. 正式な申請受付
  4. 面接(本人・配偶者同席)
  5. 審査期間(約12か月)
  6. 法務大臣の許可 → 官報告示

7.審査をスムーズに進めるためのポイント

  • 書類の不備を防ぐため、事前に法務局で相談を行う
  • 配偶者の源泉徴収票や課税証明書を最新年度のものにする
  • 家計簿や通帳で「生活の実態」を見える化しておく
  • 申請書類は**行政書士(帰化専門)**に依頼することで、申請成功率を高められます

8.よくある質問Q&A

Q1.専業主婦でも夫の扶養に入っていれば問題ありませんか?
→ はい。扶養関係が明確であり、夫の収入で生活が安定している場合は問題ありません。

Q2.配偶者が自営業の場合、審査は厳しくなりますか?
→ 事業の安定性が重視されます。確定申告書・決算書・納税証明書を整えて提出すれば問題ありません。

Q3.専業主婦で子どもがいても帰化できますか?
→ できます。むしろ家族単位での安定がプラスに評価されます。

Q4.離婚を予定している場合は?
→ 離婚予定がある場合、配偶者の収入に依存していると生計要件が満たせなくなるため、申請は避けるべきです。


9.まとめ:家庭全体の安定した生計がカギ

専業主婦(主夫)でも、

  • 配偶者の安定収入
  • 正しい納税
  • 実体ある婚姻関係
    があれば、十分に帰化申請は可能です。

帰化申請の審査は「本人だけ」でなく、「家族全体の生活状況」を見られるため、夫婦の協力体制が重要になります。


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参考資料


まとめコメント

専業主婦(主夫)の帰化は「本人の収入」ではなく「家庭の経済安定性」で判断されます。
配偶者の収入が安定し、納税・婚姻の実態が確認できれば、帰化許可の可能性は十分にあります。

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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
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 明治大学法科大学院修了
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