ワーキングホリデーから就労ビザへ|変更できる国・できない国の違いを解説


はじめに:ワーキングホリデーから就労ビザへの変更を検討する方へ

「ワーキングホリデーで日本に滞在しているが、このまま日本で働き続けたい」
そう考える外国人の方は年々増えています。

しかし、ワーキングホリデー(以下「ワーホリ」)はあくまで文化交流と一定の就労を認めた一時的制度であり、長期的に働くためには「就労ビザ(在留資格)」への切り替えが必要になります。

この記事では、ワーホリから就労ビザへの変更が可能な国・不可能な国、具体的なビザ種類、手続きの流れ、注意点を行政書士の専門的視点から詳しく解説します。


1.ワーキングホリデー制度とは?【在留資格「特定活動(ワーキングホリデー)」】

ワーキングホリデー制度とは、日本と特定の国との間で締結された協定に基づき、青年(通常18歳〜30歳)に観光・文化交流を目的として一定期間の就労を認める制度です。

日本におけるワーホリ参加者には、**在留資格「特定活動(ワーキングホリデー)」**が付与されます。
この資格の趣旨は「一時的滞在」であり、永続的な就労を前提としたものではありません。

したがって、ワーホリ期間中に継続して日本で働きたいと考えた場合は、**「在留資格変更許可申請」**を行い、就労系在留資格へ切り替える必要があります。

参考リンク:
出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」


2.ワーキングホリデーから就労ビザへの変更は可能?【国籍による違い】

2-1.変更が認められる国籍(5か国)

日本の入管運用では、以下5か国の国籍を持つ方については、ワーホリから国内で就労ビザへ変更することが可能とされています。

  • 韓国
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • カナダ
  • ドイツ

これらの国の方は、帰国せずに日本国内でそのまま「在留資格変更許可申請」を行うことができます。
ただし、申請が許可されるかどうかは、あくまで就労ビザの審査基準を満たしているかどうか
で決まります。


2-2.それ以外の国籍の場合はどうなる?

上記5か国以外の国籍(例:イギリス、フランス、台湾など)の場合は、原則として日本国内での変更は認められていません。

この場合は、いったん母国に帰国し、**「在留資格認定証明書交付申請」**を行ってから改めて就労ビザで入国する必要があります。

参考リンク:
出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」


3.変更可能な就労ビザの種類と要件【代表的2種】

ワーホリからの変更で多いのは、次の2種類の在留資格です。


(1)技術・人文知識・国際業務ビザ(通称:技人国)

ホワイトカラー系の業務(営業、通訳、翻訳、マーケティング、SEなど)に従事する場合に該当します。

主な要件:

  • 大学卒業以上の学歴、または10年以上の実務経験
  • 雇用契約書(日本人と同等の待遇であること)
  • 勤務先が安定した事業体であること(登記・決算書提出など)
  • 職務内容が「技術・人文知識・国際業務」に該当すること

審査ポイント:

  • 学歴と職務内容の関連性(例:経済学専攻+営業職は〇)
  • 雇用主の信頼性(税務・決算面)
  • 日本人従業員と同等の報酬設定

関連記事:技術・人文知識・国際業務ビザの申請要件と審査ポイント【完全ガイド】


(2)特定技能ビザ

特定技能ビザは、16分野(2025年時点)で外国人の中長期就労を認める制度です。
外食業、宿泊業、介護、製造業などでの技能労働に該当する場合、ワーホリからの移行が可能なケースもあります。

主な要件:

  • 対象業種での「特定技能評価試験」合格
  • 日本語能力試験N4以上(または同等)
  • 雇用契約書・支援計画書の提出

関連記事:特定技能ビザ取得の流れ|申請から許可までのステップ完全ガイド


4.在留資格変更の手続きの流れ【ステップ解説】

ステップ1:雇用先の確定

まず、ビザ変更後に勤務する会社を決定します。仕事内容が就労ビザの要件を満たしているかを確認しましょう。

ステップ2:必要書類の準備

雇用先と本人の双方で、必要書類をそろえます。

  • 本人:申請書、履歴書、卒業証明書、雇用理由書など
  • 企業:登記簿謄本、決算書、雇用契約書、納税証明書など

ステップ3:入管へ申請

地方出入国在留管理局にて「在留資格変更許可申請」を行います。
最近ではオンライン申請も可能です。

ステップ4:審査(1〜3か月)

審査では、学歴・職務内容・企業の経営安定性が総合的に判断されます。
不備があると審査が長期化する場合もあります。

ステップ5:許可後の在留カード更新

許可が下りると、新しい在留カードが交付されます。


5.申請の注意点とよくある不許可事例

不許可になりやすいケース

  • 職務内容が学歴と一致しない(例:音楽専攻→営業職)
  • 会社の財務状況が不安定
  • 書類に不備がある
  • 申請理由書が曖昧
  • 在留期間中の不法就労歴・違反歴がある

対策

  • 職務内容と学歴の関連性を明確に説明
  • 雇用理由書・企業概要書を専門家と作成
  • 入管実務に詳しい行政書士への相談を推奨

6.Q&A:よくある質問集

Q1:自分の国は5か国に入っていませんが、変更できますか?
A:原則としてできません。いったん帰国し「在留資格認定証明書交付申請」で再入国する必要があります。

Q2:今の職場で働き続けたいのですが、可能ですか?
A:仕事内容が就労ビザの要件に合致すれば可能です。アルバイト職種のままでは許可されない場合があります。

Q3:申請は本人でも可能ですか?
A:可能ですが、在留資格審査は専門的判断が多いため、行政書士に依頼することが望ましいです。

Q4:不許可の場合はどうなりますか?
A:不許可理由を確認のうえ、再申請または帰国対応が必要です。再申請時は補足資料の提出が効果的です。


7.まとめ:ワーホリから就労ビザ変更を成功させるポイント

ワーキングホリデーから就労ビザへの変更を成功させるには、以下の3点が重要です。

  1. 国籍による変更可否を正確に確認する
  2. 希望する就労ビザの要件を満たす(学歴・職歴・雇用条件)
  3. 書類を万全に整え、専門家のサポートを受ける

入管は「個々のケース」で判断するため、同じ国籍・職種でも結果が異なることがあります。
ビザ変更を確実に進めたい方は、専門行政書士へご相談ください。


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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
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特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
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