永住ビザのガイドラインとは何ですか?
目次
1.永住ビザのガイドラインとは何ですか?
永住ビザ(在留資格「永住者」)を取得するためには、出入国在留管理庁が公表している「永住許可に関するガイドライン」に基づいて審査が行われます。
このガイドラインは、永住許可申請を行う外国人にとって「どのような基準で審査されるのか」を明確に示したものであり、永住ビザ取得の可否を左右する重要な資料です。
ガイドラインの内容は、出入国在留管理庁の公式サイト(出入国在留管理庁:永住許可に関するガイドライン)で確認できます。
ここでは、実際に申請を行う際に理解しておくべき「3つの永住許可要件」について詳しく解説していきます。
2.永住許可要件とは?3つの基本条件を解説
永住ビザを取得するためには、出入国在留管理庁が定める「永住許可要件」を満たす必要があります。
ガイドライン上では、永住許可要件は次の3つに分類されています。
区分 | 要件内容 | 審査ポイント |
---|---|---|
① 素行要件 | 素行が善良であること | 法令遵守・税金納付・社会保険加入状況など |
② 生計要件 | 独立した生計を営む能力があること | 年収・資産・職業の安定性など |
③ 国益要件 | 日本の利益に合すると認められること | 在留年数・在留資格の種類・社会貢献など |
それぞれの要件は、単に形式を満たすだけではなく、具体的な証明書類や生活実態に基づいて総合的に判断されます。以下で順に詳しく見ていきましょう。
(1)素行が善良であること(素行要件)
素行要件とは、日本で法律や社会ルールを守り、社会的に非難されることのない生活を送っているかを判断するものです。
審査では以下の点が重点的に確認されます。
- 前科・前歴がないこと
- 交通違反歴が少ないこと
- 税金(住民税・所得税など)を期限内に納付していること
- 社会保険料・年金の支払いを怠っていないこと
たとえば、軽微な交通違反でも5年間で5回以上ある場合、または飲酒運転など重大な違反を1回でも行った場合には、素行善良とは認められない可能性があります。
また、税金や年金の未納・滞納は厳しくチェックされるため、永住申請前3年分の納税証明書や年金記録を必ず整えておくことが重要です。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(生計要件)
生計要件とは、安定的に生活できる経済的基盤を持っているかを判断する基準です。
国の負担になることなく、将来にわたって自立した生活を送れることが求められます。
生計要件の目安
- 単身者の場合:年収300万円以上
- 扶養家族がいる場合:扶養者1人につき+約50万円
例えば、配偶者と子1人を扶養している場合、おおむね400万円以上の年収が必要になります。
また、判断は個人単位ではなく世帯単位で行われるため、配偶者も働いている場合は、世帯収入を合算して審査されます。
会社員の場合は「源泉徴収票」や「課税証明書」、個人事業主であれば「確定申告書控え」が重要な証明資料となります。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)
国益要件とは、申請者の永住が日本社会にとって有益かどうかを判断するものです。
この要件には、主に以下の条件が含まれます。
- 引き続き10年以上日本に在留していること
(うち5年以上は就労資格または居住資格で在留している必要あり) - 罰金刑・懲役刑を受けていないこと
- 在留資格で認められた最長の在留期間を有していること
- 公衆衛生上問題がないこと
「引き続き10年以上在留」とは?
注意が必要なのは「引き続き」という点です。
単に合計で10年滞在していればよいわけではなく、長期出国がないことが条件になります。
具体的には以下のようなケースでは「引き続き」とは認められません。
- 一度の出国が連続3か月以上
- 1年間の合計出国日数が120日以上
これを超える出国がある場合、居住の継続性が途切れたと判断される可能性があります。
ただし、日本人や永住者の配偶者、または定住者の場合は、この居住要件が一部緩和されて
3.永住ビザ申請に向けて準備すべきこと
ガイドラインを満たしていても、実際の申請では「証明できるかどうか」が重要です。
以下のような書類を揃え、提出前に不備がないか確認しましょう。
- 直近3年分の課税証明書・納税証明書
- 年金・社会保険加入記録
- 在留カード・パスポートコピー
- 雇用証明書や事業証明書
- 居住状況を確認できる書類(住民票・賃貸契約書など)
また、行政書士などの専門家に依頼することで、ガイドラインを踏まえた申請戦略を立てることができます。
4.まとめ:永住ビザガイドラインを理解して確実な申請を
永住ビザのガイドラインは、永住許可の可否を左右する非常に重要な基準です。
「素行」「生計」「国益」の3要件をバランスよく満たし、証明書類を整えて提出することが、許可取得への第一歩となります。
特に、税金・年金の納付状況、安定した収入、在留の継続性は重視されます。
不安がある場合は、専門の行政書士に相談することで、リスクを最小限に抑えることができます。
Q&A:永住ビザガイドラインに関するよくある質問
Q1:永住ビザのガイドラインは毎年更新されますか?
A:内容は必要に応じて改定されます。法改正や社会情勢の変化に応じて見直されるため、最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイトで確認してください。
Q2:交通違反が1回ある場合でも永住申請はできますか?
A:軽微な違反1~2回であれば問題ない場合もありますが、飲酒運転や重大な違反は永住申請が難しくなります。
Q3:収入が300万円に満たない年がある場合はどうなりますか?
A:一時的な減収であれば、世帯年収などで補うことが可能です。安定した生計を総合的に判断されます。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |