ワーキングホリデー(在留資格「特定活動5号・5号の2」)でも社会保険は必要?健康保険・年金・雇用保険の完全ガイド
目次
1,ワーキングホリデー(特定活動5号・5号の2)とは
ワーキングホリデーは、日本と協定を結んだ国・地域の若者が 文化交流・観光を目的に最長1年間(国によっては延長あり)滞在できる在留資格 です。
- 在留資格名:特定活動(5号または5号の2)
- 主目的は観光や文化交流だが、就労可能
- 更新は基本的に不可
- 対象年齢:18〜30歳(国によっては25歳まで、または35歳まで)
詳細は 出入国在留管理庁公式サイト を参照。
2,ワーキングホリデーで働く場合の社会保険加入義務
「ワーホリだから保険は不要」というのは誤解です。
日本で労働者として働く以上、日本人と同じ社会保険制度が適用されます。
加入の有無は、在留資格ではなく 雇用契約(勤務時間・雇用期間・雇用形態) によって判断されます。
3,健康保険の加入条件
会社員・アルバイトの場合
- 週20時間以上 & 雇用期間2か月以上 → 健康保険加入義務あり
- フルタイム雇用なら必ず加入
個人事業・短期労働の場合
- 社会保険に入れない場合は、市区町村役場で 国民健康保険に加入
医療費自己負担は3割(未加入だと全額負担)。
4,年金(厚生年金・国民年金)の扱い
外国人でも日本に住所がある以上、20歳以上60歳未満は年金加入義務があります。
- 会社で社会保険に加入 → 厚生年金
- パートタイムやフリーランス的な働き方 → 国民年金
「短期滞在だから年金は不要」というのは誤りです。ただし、帰国時には 脱退一時金制度 を使って払い戻しを受けられる可能性があります(後述)。
詳細は 日本年金機構公式サイト を確認。
5,雇用保険はワーホリでも入るのか?
ここが誤解されやすいポイントです。
制度上の原則
- 週20時間以上勤務
- 31日以上の雇用見込み
これらを満たせば 外国人でも雇用保険加入対象 です。
ワーホリの実態
- ワーホリは「短期アルバイト」が多く、31日以上の雇用見込みを満たさない契約が多い
- 在留期間が1年以内であり、雇用保険の 失業給付要件(被保険者期間12か月以上) を満たせない
そのため、実務上は雇用保険に加入しないケースが大半 です。
ただし、フルタイムで長期契約する場合は例外的に加入義務が発生します。
6,アルバイトと扶養控除の関係
ワーホリ中に親族の扶養に入れるかどうかは、年間所得額で決まります。
基準を超える収入を得ると、扶養から外れて本人に税金・保険料の負担が発生します。
7,社会保険未加入で起こり得るリスク
- 医療費が全額自己負担になる
- 年金未納で将来の脱退一時金も受け取れない
- 雇用主が法違反となり、監督署から是正指導を受ける可能性
8,雇用主が守るべき社会保険手続き
外国人だからといって社会保険を免除することはできません。
- 健康保険・厚生年金の加入手続き
- 雇用保険(条件を満たす場合)
- 源泉徴収票の発行と税務処理
適切な手続きを怠ると、会社に行政指導や罰則のリスクがあります。
9,社会保険料を取り戻す「脱退一時金制度」
ワーホリで年金を払った後、本国に帰国した場合は 脱退一時金制度 を利用できます。
条件
- 日本に住所がなくなる
- 日本国籍を持たない
- 年金加入期間が6か月以上
- 年金受給資格を持たない
この条件を満たせば、厚生年金の保険料の一部が払い戻されます。
10,よくある質問Q&A
Q1:アルバイトだけでも社会保険に入りますか?
→ 週20時間以上かつ2か月以上の契約なら健康保険・年金加入対象です。
Q2:雇用保険には必ず入りますか?
→ 制度上は加入条件を満たせば対象ですが、ワーホリでは短期雇用が多く、実務上は加入しないケースがほとんどです。
Q3:年金を払ったら損ですか?
→ 損ではありません。帰国後に脱退一時金として払い戻しを受けられる場合があります。
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まとめ
- ワーホリでも労働者として働く以上、日本の社会保険の対象になる
- 健康保険・厚生年金は条件を満たせば加入義務あり
- 国民年金も外国人に加入義務あり(短期滞在でも例外なし)
- 雇用保険は制度上加入可能だが、実務上は対象外になることが多い
- 年金は帰国後に脱退一時金で払い戻しを受けられる
「ワーホリだから社会保険不要」という思い込みは誤りです。本人・雇用主双方がルールを理解し、適切な手続きを行うことが大切です。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |