永住申請で源泉徴収票は必要?提出が求められるケースと注意点【完全ガイド】
日本で安定して生活してきた外国人の方にとって、**永住申請(永住ビザ申請)**は最終目標の一つです。
しかし、申請にあたっては「源泉徴収票を提出すべきかどうか」で迷う方が多いのも事実です。
特に 1月〜5月に申請する場合は、最新の課税・納税証明書が役所で取得できないため、源泉徴収票を提出するのが実務上の必須対応 となります。
この記事では、行政書士の実務経験に基づき、以下の点をわかりやすく解説します。
- 永住申請で収入証明が重要な理由
- 源泉徴収票の役割と提出が必要なケース
- 1〜5月に申請する際の特別事情
- 提出のメリット・注意点
- Q&A形式でのよくある疑問解消
目次
1. 永住申請で収入証明が重視される理由
永住申請の審査では、独立生計要件が特に重視されます。
これは「申請人が安定した収入で生活できること」を示す要件であり、入管は次の観点を確認します。
- 毎年安定した収入があるか
- 納税義務を果たしているか
- 家族を養える生活基盤があるか
そのため、申請時には 収入と納税状況を証明する書類 を必ず提出しなければなりません。
2. 源泉徴収票とは?基礎知識
源泉徴収票は、勤務先の会社が従業員に対して毎年発行する「給与所得の年間証明書」です。
記載内容は以下の通り:
- その年の総支給額(年収)
- 社会保険料控除や扶養控除の内容
- 所得税の源泉徴収額
- 住民税の算出根拠
つまり、勤務先からの給与収入を証明する最も直接的な書類のひとつです。
3. 永住申請で必須となる課税証明書・納税証明書
永住申請において、入管庁が必ず確認するのは以下の2種類です。
- 課税(所得)証明書:前年の所得金額と課税状況を証明
- 納税証明書:実際に住民税を納付していることを証明
これらは市区町村が発行する公的書類であり、永住申請では必須提出書類です。
ただし、1月〜5月は前年分の課税・納税証明書がまだ発行されないという制度上の空白期間があるため、その時期は源泉徴収票の提出が重要になります。
4. 1〜5月は源泉徴収票の提出が重要
日本の住民税は「前年の所得」を基準に算定され、課税は6月から翌年5月までです。
したがって:
- 1月〜5月 → 前年分の課税・納税証明書が役所で取得できない
- 6月以降 → 最新の証明書が入手可能
このため、1〜5月に永住申請する方は、課税・納税証明書に代えて源泉徴収票を提出することになります。
さらに、直近の給与明細や雇用契約書を添付して、収入の継続性を示すことも推奨されます。
5. その他、源泉徴収票を提出すべきケース
源泉徴収票が役立つのは1〜5月だけではありません。次のケースでも提出が推奨されます。
(1)直近で転職した場合
課税証明書は前年分しか反映されないため、直近の収入を示すには源泉徴収票が有効です。
(2)扶養家族がいる場合
扶養状況を詳細に証明でき、家族を支えていることを入管に示せます。
(3)収入が安定していることを強調したい場合
継続的な給与収入をアピールすることで、審査を有利に進められます。
(4)年途中に就労を開始した場合
その年の課税証明書に収入が反映されないため、補足として源泉徴収票を添付すると安心です。
6. 源泉徴収票を提出するメリット
- 最新の収入状況を入管に示せる
- 扶養状況を具体的に証明できる
- 書類の透明性を高め、誠実な印象を与えられる
- 追加資料として提出してもデメリットはない
7. 提出しなくても良いケース
一方で、次のようなケースでは提出が不要です。
- 自営業者:確定申告書の控えで十分
- 長期勤続者:課税証明書と納税証明書だけで十分な場合が多い
- 不動産収入や投資収入中心:課税証明書で網羅可能
8. 永住申請でよくある質問(Q&A)
Q1. 源泉徴収票は必ず必要ですか?
A. 必須ではありません。ただし 1〜5月の申請や転職直後は実質的に必須です。
Q2. 何年分提出すればいいですか?
A. 通常は直近1年分で十分です。複数年必要なのは課税証明書の方です。
Q3. 会社からもらえない場合は?
A. 再発行を依頼できます。それが難しい場合は給与明細で代用できることもあります。
Q4. 自営業ですが、源泉徴収票はありますか?
A. 自営業者には発行されません。その場合は 確定申告書+課税証明書 を提出します。
Q5. 源泉徴収票を出さないと不許可になりますか?
A. 原則として不許可にはなりません。ただし提出すれば審査でプラス材料となります。
9. まとめ
- 永住申請で必須なのは「課税証明書」と「納税証明書」
- ただし 1〜5月はこれらが取得できないため、源泉徴収票が実質的に必須
- 転職直後や扶養家族がいる場合も、源泉徴収票の提出が望ましい
- 自営業者は確定申告書で対応すればよい
- 「できるだけプラス資料を出す」ことが永住審査を有利に進めるポイント
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |