在留資格変更が必要になる転職ケースと不要なケース【完全ガイド】

外国人が日本で働く際、在留資格(ビザ)は働き方や職種によって厳密に定められています。転職や雇用形態の変更がある場合、在留資格の変更が必要かどうかを正しく理解していないと、法令違反となり、最悪の場合は強制退去や再入国拒否のリスクがあります。この記事では、在留資格変更が必要なケースと不要なケースを具体的に解説し、手続きの流れや注意点、よくあるQ&Aも紹介します。


1. 在留資格変更が必要になる転職ケースとは

在留資格は、職種や業務内容に基づいて許可されるため、現行の資格で従事できない職務に転職する場合は必ず在留資格の変更が必要です。代表的なケースは以下の通りです。

(1) 職種が異なる場合

例:

  • 「技術・人文知識・国際業務」ビザでシステム開発 → 飲食店の調理師に転職
  • 「技能」ビザで洋菓子職人 → IT関連職に転職

この場合、現行の在留資格では従事できない職務となるため、必ず在留資格変更申請が必要です。

(2) 雇用形態が大幅に変わる場合

例えば:

  • 雇用契約社員から経営・管理ビザ対象の管理職になる場合

在留資格によっては、雇用形態の変更も資格条件の範囲外となることがあります。

(3) 職務内容など在留資格の要件を満たさなくなる場合

特定の在留資格には「報酬が日本人と同等以上であること」「特定の学歴や資格が必要であること」など条件があります。転職により条件を満たさなくなる場合も、変更申請が必要です。

参考リンク: 出入国在留管理庁 | 在留資格変更許可申請


2. 在留資格変更が不要な転職ケースとは

一方で、以下のようなケースでは在留資格の変更は不要です。

(1) 同じ職種・同じ条件での転職

  • 同じ「技術・人文知識・国際業務」ビザを持つ外国人が、別の会社の同じ業務(例:プログラマー → プログラマー)に転職する場合
  • 条件や職務内容が現行の資格要件を満たしている限り、変更申請は不要です。

(2) 企業内で同一職務内容の異動

  • 現行の在留資格で許可される職務範囲内であれば、部署移動やプロジェクト異動は変更不要です。

(3) 退職して再就職まで短期間の場合

  • 在留資格保持者が失業しても一定期間(通常3か月以内程度)で再就職すれば、変更不要で働ける場合があります。
  • ただし、職種変更は変更申請が必要です。

3. 在留資格変更手続きの流れ

転職に伴い在留資格変更が必要な場合、以下の手順で申請します。

ステップ1:必要書類の準備

  • 在職証明書・雇用契約書
  • 新しい職務内容を証明する書類(業務内容詳細、給与明細)
  • 学歴・資格証明書(必要に応じて)
  • 在留カードのコピー
  • 写真(規定サイズ)

ステップ2:入国管理局への申請

  • 申請窓口: 管轄の地方出入国在留管理局
  • 申請方法: 書面申請またはオンライン申請(法務省の電子申請システム利用可)
  • 申請手数料: 無料

ステップ3:審査と許可

  • 通常1〜3ヶ月で審査
  • 許可されたら、新しい在留資格に基づく就労が可能

4. 転職時の注意点とリスク

(1) 無資格就労のリスク

  • 在留資格に合わない職務に就くと不法就労と見なされます
  • 最悪の場合、在留資格取消・退去強制の可能性あり

(2) 転職時のタイミング

  • 現在の在留資格で可能な職務範囲内かを必ず確認
  • 変更申請が必要な場合は、転職前に申請すること

(3) 社会保険・雇用保険への影響

  • 転職に伴い、社会保険・雇用保険の加入状況や資格喪失・取得タイミングも確認する必要があります

5. 在留資格変更に関するよくあるQ&A

Q1: 転職したら必ず在留資格変更が必要ですか?
A1: いいえ。職種や業務内容が現行資格の範囲内であれば不要です。職務内容が資格要件を超えるかどうかが判断基準です。

Q2: 変更申請中に転職しても大丈夫ですか?
A2: 原則として、変更申請が許可されるまでは現行の職務範囲内で働く必要があります。許可前に新しい職務に従事すると不法就労と見なされる可能性があります。

Q3: 在留資格が不要な転職と判断しても不安です。どう確認すればいいですか?
A3:出入国在留管理庁から就労資格証明書を取得することが推奨されます。また、法的リスクを回避するためには行政書士に確認することが推奨されます。


6. まとめ

転職に伴う在留資格の変更は、外国人労働者の日本での安定就労に直結します。
ポイントを整理すると以下の通りです。

  1. 在留資格変更が必要なケース
    • 職種が資格範囲外
    • 雇用形態が資格要件を満たさなくなる
    • 資格対象外の業務に従事する場合
  2. 在留資格変更が不要なケース
    • 同じ職種・同じ業務内容での転職
    • 同一資格範囲内の部署異動
    • 短期間の無職状態
  3. 手続きの流れ
    • 書類準備 → 入管申請 → 審査・許可
  4. 注意点
    • 不法就労リスク回避
    • 専門家に相談することが安全

転職前に在留資格の条件をしっかり確認し、必要に応じて変更申請を行うことで、法的リスクを回避できます。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
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代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法