退職後の就労ビザはどうなる?在留資格取消を避けるためのポイント
日本で就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザなど)を持つ外国人が退職した場合、退職によって在留資格の前提条件が消滅するため、適切な手続きを行わないと在留資格取消や将来の更新申請でトラブルが発生する可能性があります。
本記事では、退職後の手続きの流れ、資格内転職・資格外転職における対応、就労資格証明書の活用方法、転職先未定の場合のリスクを詳しく解説します。
目次
1. 就労ビザとは
就労ビザとは、外国人が日本で特定の職務に従事することを認める在留資格です。代表的なものには以下があります。
- 技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)
- 経営管理ビザ
- 高度専門職ビザ
- 技能ビザ
就労ビザは特定の職務に従事することを前提としているため、退職や転職が発生した場合には、適切な手続きを行う必要があります。
2. 退職後の届出(所属機関に関する届出)の義務
- 就労ビザで在留する外国人が退職した場合、退職後14日以内に所属機関に関する届出(退職届出)を入管へ提出する義務があります。
- これは資格そのものを失う手続きではなく、入管に「所属先が変更または退職した」ことを報告する手続きです。
- 届出を怠ると、在留資格の管理上不明確となり、更新や転職時に不利になる可能性があります。
3. 転職先未定の場合の対応とリスク
- 内定先が未定の場合は、就労資格証明書の交付はできません
- この場合でも、退職後14日以内に**所属機関に関する届出(退職届出)**は必須
- 注意点
- 退職後、3か月以内に転職先が決まらなかった場合、資格の目的が失われたと見なされ、在留資格取消のリスクがあります
- 実務上は、3か月以内に資格内で就労可能な企業への転職を目安にすることが安全策です。
4. 転職先がある場合の手続き
転職先が決まった場合は、現資格で従事可能かどうかで手続きが分かれます。
4-1. 資格内転職
- 現在の在留資格で新しい職務に従事可能な場合
- 手続き
- 退職
- 所属機関に関する届出(退職届出)提出
- 就労資格証明書交付申請
- 前職終了と新職場で現資格で就労可能であることを証明
- 変更申請は不要
- ポイント
- 就労資格証明書は更新申請や次回の転職時に必要な証明として活用可能
- 在留資格の取消リスクを回避
4-2. 資格外転職
- 新しい職務が現資格で認められない場合
- 手続き
- 退職
- 所属機関に関する届出(退職届出)提出
- 在留資格変更申請
- 次職の職務が現資格で認められるかを入管が審査
- 変更申請を行わずに就労すると資格違反となるリスク
- ポイント
- 変更申請が却下された場合、別の資格への切替や出国が必要
- 退職届出と合わせて適切に手続きを行うことが重要
5. 在留資格取消を避けるための注意点
- 所属機関に関する届出は必ず提出(14日以内)
- 転職先未定の場合
- 届出のみで対応
- 3か月以内に転職先を決めないと取消リスク
- 転職先ありの場合
- 資格内転職 → 就労資格証明書で対応、変更申請不要
- 資格外転職 → 在留資格変更申請必須
6. Q&A:退職後の手続きでよくある質問
Q1. 資格内転職でも変更申請は必要ですか?
A1. 不要です。内定先が決まっている場合は就労資格証明書で対応できます。
Q2. 退職後すぐに出国する必要はありますか?
A2. 退職届出を14日以内に行えば、直ちに出国する必要はありません。
Q3. 次の就職先が未定の場合はどうすればよいですか?
A3. 届出のみで対応しますが、3か月以内に転職先を決めないと在留資格取消リスクがあります。
Q4. 資格外転職の場合は?
A4. 在留資格変更申請が必須です。変更申請をせずに就労すると資格違反となります。
7. まとめ
- 所属機関に関する届出は必ず提出(14日以内)
- 転職先未定 → 届出のみ、3か月以内に転職先を決めないと取消リスク
- 資格内転職 → 就労資格証明書で対応、変更申請不要
- 資格外転職 → 在留資格変更申請必須
- 適切な届出と証明書・変更申請で、在留資格の安全を確保
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |