就労ビザで転職・退職したら?外国人が必ず行うべき手続きと注意点【完全ガイド】


1,就労ビザとは?転職・退職時に注意すべき理由

在留資格「技術・人文知識・国際業務」「技能」「企業内転勤」などの就労ビザは、在留資格ごとに認められた活動内容に基づいて在留が許可されるビザです。

つまり、会社と雇用契約を結んでいることを前提として在留資格が認められているため、転職や退職は入管に対して必ず報告義務が発生します。

報告を怠った場合、不法残留や在留資格取消のリスクがあるため注意が必要です。


2,就労ビザの外国人が退職・転職した場合に必要な手続き

(1)契約終了・変更に関する届出義務

出入国管理及び難民認定法第19条の16に基づき、外国人本人は退職・転職の事実を入管に届け出る義務があります。
これは「所属機関に関する届出」と呼ばれ、14日以内に提出しなければなりません。

(2)「所属機関に関する届出」の提出

届出先は地方出入国在留管理局です。提出方法は以下の3通りです。

  • 入管窓口に直接提出
  • 郵送提出
  • オンライン(在留申請オンラインシステム)提出

必要書類

  • 所属機関に関する届出書
  • 在留カード写し
  • 契約終了日が確認できる書類(退職証明書や離職票など)

参考: 所属機関に関する届出手続(出入国在留管理庁)

(3)転職後の在留資格変更・更新手続き

転職先が決まった場合は、次の手続きを行います。

  • 転職先が同じ在留資格で就労可能な場合 → 在留資格の変更は不要。ただし更新時に新しい勤務先情報が必要。
  • 転職先の職種が在留資格と異なる場合 → 在留資格変更許可申請が必要

例:
「技術・人文知識・国際業務ビザ」でSEとして働いていた人が、飲食店スタッフに転職 → 在留資格変更が必要。


3,就労ビザのまま転職できるケースとできないケース

転職できるケース

  • 新しい会社の仕事内容が現在の在留資格と合致している場合
  • 報酬が日本人と同等以上である場合

転職できないケース

  • 就労資格と無関係な職種に転職する場合
  • 資格外活動許可を得ずにアルバイトを始める場合
  • 在留カードの有効期限が切れている場合

4,手続きを怠った場合のリスク

転職・退職後に届出をしない、または不適切な在留活動を行うと、以下のリスクがあります。

  • 在留資格取消(入管法第22条の4)
  • 不法残留扱いとなり、強制退去処分の可能性
  • 永住申請に悪影響(素行不良とみなされる)

5,転職活動中の注意点

外国人が退職後に転職活動を行う場合、次の点に注意が必要です。

  • 在留期間は3か月以内(3か月以降は取り消しの可能性あり)
  • 転職活動中は報酬を得られる活動は不可
  • 生活費の確保(貯金・配偶者の扶養など)が必要

6,行政書士に相談するメリット

外国人本人が転職・退職後の手続きを行うことは可能ですが、以下の理由で行政書士に相談することをおすすめします。

  • 入管への届出や書類不備によるリスクを防げる
  • 転職先に合った在留資格の選択が可能
  • 永住申請を視野に入れたキャリア設計ができる

7,まとめ

  • 就労ビザの外国人は、退職・転職した場合14日以内に所属機関に関する届出が必要
  • 転職先の仕事内容が現在のビザに合致していれば変更不要、異なる場合は在留資格変更が必要
  • 届出を怠ると在留資格取消や永住申請に悪影響

8,Q&A(よくある質問)

Q1:退職してから転職先が決まるまで、どれくらい在留できますか?
A:退職したら直ちに在留資格を失う訳ではありませんが、3か月以上無職の期間がある場合は取り消される可能性があります。

Q2:退職したのに入管に届出しなかった場合どうなりますか?
A:入管法違反となり、在留資格取消や将来の永住申請に不利になります。必ず14日以内に届出しましょう。

Q3:転職先の仕事内容が在留資格に合うかどうか心配です。
A:行政書士など専門家に相談することをおすすめします。誤った判断で就労すると資格外活動となり、処分の対象になる可能性があります。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法