永住者の配偶者ビザ(在留資格「永住者の配偶者等」)の許可要件とは?【完全ガイド】


1.永住者の配偶者ビザとは?

永住者の配偶者ビザとは、正式には在留資格「永住者の配偶者等」と呼ばれる在留資格です。永住者と結婚している外国人配偶者や、その子供(実子・養子など)が日本に滞在するために必要となります。いわゆる「日本人の配偶者ビザ」と似ていますが、対象となるのは日本国籍者ではなく永住者の配偶者や実子である点が大きな違いです。

出入国在留管理庁によると、この在留資格は「永住者との身分関係を根拠とする」ため、就労制限がなく、幅広い活動が認められるというメリットがあります。(出入国在留管理庁公式サイト)


2.永住者の配偶者ビザの許可要件

(1)真実の婚姻関係があること

永住者の配偶者ビザ申請では、形式的な婚姻ではなく、真実の夫婦関係が存在することが最も重要な審査ポイントです。以下の点が確認されます。

  • 婚姻届が正式に受理されているか
  • 夫婦の同居実態があるか
  • 結婚に至った経緯(交際期間や出会いの経緯など)
  • 写真やメール履歴など、交際・婚姻の実態を示す資料

偽装結婚を防ぐため、入管は非常に慎重に審査します。そのため、結婚の真実性を客観的に示す証拠を十分に提出することが重要です。

(2)安定した生活基盤があること

生活基盤の安定性も大きな審査基準です。永住者本人または配偶者に、日本で生活していける十分な収入や資産があるかどうかが審査されます。

  • 年収が200万円以上あることが望ましい
  • 夫婦合算での収入も考慮される
  • 雇用証明書、源泉徴収票、確定申告書などが必要

安定した住居があることも重要で、賃貸契約書や住宅ローンの契約書が添付資料として提出されることも多いです。

(3)素行が善良であること

過去に重大な犯罪歴や入管法違反がある場合、許可が難しくなります。軽微な交通違反などは直ちに不許可になるわけではありませんが、繰り返し違反をしていると「素行不良」と判断される可能性があります。

(4)在留資格該当性の要件

在留資格「永住者の配偶者等」に該当するかどうかも審査されます。対象となるのは以下です。

  • 永住者の外国人配偶者
  • 永住者の実子(日本国外で出生した場合は「定住者」との整理も必要)
  • 特別養子縁組による養子

この範囲外の場合は不許可となります。


3.許可要件を満たすために必要な書類

  • 婚姻証明書(戸籍謄本、婚姻届受理証明書)
  • 配偶者の住民票
  • 永住者の在留カードの写し
  • 収入証明(源泉徴収票、課税証明書、確定申告書)
  • 賃貸契約書や住宅ローン契約書
  • 夫婦の写真、結婚式の写真、旅行記録
  • 交際の経緯を記した質問書

4.不許可になりやすいケースと対策

  • 婚姻の実態が乏しい(別居、短期間の交際など)
  • 収入が低すぎる(無職・アルバイトのみなど)
  • 必要書類の不足や虚偽申請
  • 過去の在留資格違反やオーバーステイ歴

対策としては、婚姻の実態を丁寧に立証し、生活基盤を示す資料を十分に揃えることが最も重要です。


5.永住者の配偶者ビザの在留期間

許可される在留期間は以下の通りです。

  • 6か月
  • 1年
  • 3年
  • 5年

初回申請では1年が多く、婚姻生活が安定していれば3年や5年が付与されることもあります。


6.永住者の配偶者ビザから永住申請への流れ

永住者の配偶者ビザは、将来的に永住申請につなげることも可能です。婚姻から3年以上日本で生活している場合、永住申請の要件を満たしやすくなります。


7.永住者の配偶者ビザに関するよくあるQ&A

Q1. 日本人の配偶者ビザと何が違いますか?
A. 日本人と結婚している場合は「日本人の配偶者等」、永住者と結婚している場合は「永住者の配偶者等」となります。対象者が異なるだけで、審査基準は似ています。

Q2. 無職でも許可されますか?
A. 収入がゼロの場合は難しいですが、貯蓄や永住者側の収入で生活可能であることを証明できれば許可されるケースもあります。

Q3. 別居中でも許可されますか?
A. 原則として別居中は難しいです。特別な事情(単身赴任など)がある場合は、その理由をしっかり説明する必要があります。

Q4. 子供も一緒に申請できますか?
A. 永住者の実子であれば一緒に申請可能です。特別養子縁組の場合も対象となります。


8.まとめ

永住者の配偶者ビザ(在留資格「永住者の配偶者等」)の許可要件は、

  1. 真実の婚姻関係
  2. 安定した生活基盤
  3. 素行善良
  4. 在留資格の該当性

これらを満たしているかが厳しく審査されます。特に「婚姻の真実性」と「収入の安定性」が重要なポイントです。

申請の際には、結婚の実態を証明する資料や収入証明を十分に準備し、不許可リスクを避けることが大切です。将来的に永住申請を目指す場合も、このビザを安定的に取得・更新することが第一歩となります。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
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代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法