外国人従業員が退職した場合の会社手続き完全ガイド|社会保険・ハローワーク・入管対応まで徹底解説
目次
1.外国人従業員が退職した場合の会社の責任とは
外国人従業員が退職した際、日本人従業員と同様に労働基準法・社会保険関連法令に基づき手続きを行う必要があります。さらに在留資格に関する届出など、外国人特有の追加手続きも発生します。
適切に手続きを行わないと、以下のようなリスクが発生します。
- 行政指導や罰則(入管法違反の場合)
- 外国人従業員本人の在留資格トラブル
- 企業の信用低下・採用活動への影響
2.社会保険・雇用保険の手続き
(1)健康保険・厚生年金の資格喪失手続き
退職日の翌日を資格喪失日として、資格喪失届を年金事務所へ提出します。
- 提出先:年金事務所
- 提出期限:退職日から5日以内
- 必要書類:健康保険・厚生年金保険資格喪失届、被保険者証
(2)雇用保険の資格喪失手続き
外国人従業員も雇用保険の対象です。退職に伴い雇用保険被保険者資格喪失届を提出します。
- 提出先:ハローワーク
- 提出期限:退職日翌日から10日以内
- 必要書類:資格喪失届、離職票(本人希望時)
3.ハローワークへの離職票交付と注意点
離職票は退職後に失業給付を受けるために必要です。外国人従業員から希望があれば必ず発行します。
- 離職理由を正しく記載(自己都合退職・会社都合退職の区別は重要)
- 日本語が不十分な従業員には、翻訳サポートを行うとトラブル防止になります
4.入管(出入国在留管理庁)への届出義務
外国人が退職した場合、雇用していた会社にも入管への届出義務があります。
- 提出先:出入国在留管理庁
- 提出期限:退職から14日以内
- 提出方法:オンライン届出(入管オンラインシステム)または郵送
提出を怠ると会社に不利益が生じる可能性があります。
出入国在留管理庁:所属機関による届出手続
5.退職証明書・源泉徴収票の発行
外国人従業員にも、日本人同様に以下を発行する必要があります。
- 退職証明書(労働基準法第22条に基づき、請求があれば発行義務あり)
- 源泉徴収票(退職後1か月以内に交付)
これらは母国での手続きや、再就職先で必要となるケースが多いため迅速に対応しましょう。
6.会社が行うべきその他の対応
- 社宅・寮の退去手続き
- 会社貸与品(制服・パソコン・携帯電話)の返却確認
- 未払い賃金・残業代・退職金の清算
- 外国人従業員が帰国する場合のサポート(航空券・住民税清算など)
7.外国人従業員の退職後に企業が注意すべきポイント
- 在留資格更新の影響
外国人が在留資格を維持するには就労先が必要です。退職後、速やかに新しい雇用先が決まらない場合、在留資格が取り消される可能性があります。 - 不法滞在防止
手続き遅れによる不法滞在を防ぐため、入管届出は確実に行う必要があります。 - 雇用状況届出制度の遵守
労働施策総合推進法に基づき、ハローワークへの雇用状況届出も必要です。
8.Q&A:外国人退職手続きでよくある質問
Q1:外国人従業員が突然辞めて連絡が取れない場合でも届出が必要ですか?
A1:はい。実際に退職した事実がある場合は、会社側で入管・ハローワークに届出を行う必要があります。
Q2:退職後に母国へ帰国する場合、会社は航空券を手配する義務がありますか?
A2:通常は義務ありません。ただし、技能実習生など一部制度では規定があるため確認が必要です。
Q3:退職証明書は外国語で発行する必要がありますか?
A3:法的には日本語で問題ありません。ただし、再就職や帰国手続きのために英語併記を求められるケースもあります。
9.専門家に依頼すべきケースとまとめ
外国人従業員の退職手続きは、社会保険・雇用保険・入管届出と多岐にわたります。特に入管関連は不備があると企業側にリスクが及ぶため、行政書士や社会保険労務士に相談することをおすすめします。
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まとめ
外国人従業員が退職した場合、会社は以下の流れで手続きを進める必要があります。
- 社会保険・雇用保険の資格喪失届
- 離職票発行(希望時)
- 入管への退職届出(14日以内)
- 退職証明書・源泉徴収票の発行
- 社宅・備品返却や給与清算
正しい対応を行うことで、企業の法令遵守と外国人従業員の円滑な再就職・帰国をサポートできます。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |