留学ビザからの永住申請は可能?要件・注意点・親子同時申請のポイント徹底解説


1.留学ビザから直接永住申請は可能か

結論から言うと、留学ビザから直接永住申請を行うことはほぼ不可能です。

  • 留学ビザは「学習」を目的とした在留資格であり、安定した収入や社会的基盤の証明が困難
  • 永住許可の要件にある 独立生計要件就労実績 を満たせないことがほとんど

そのため、留学ビザのまま永住を目指すよりも、就労ビザや配偶者ビザへ変更した上で永住申請を行うのが現実的です。


2.永住申請の基本要件

永住申請を許可するための基準は、入管法および「永住許可に関するガイドライン」に基づきます。

(1)素行善良要件

  • 日本の法律を遵守していること
  • 納税や社会保険加入など、社会的義務を適切に履行していること

(2)独立生計要件

  • 安定した収入を有し、生活保護に頼らず生活できること
  • 一般的に年収300万円以上が目安(家族がいる場合は加算)

(3)居住要件

  • 原則として10年以上日本に継続居住していること
  • そのうち5年以上は就労資格または居住資格であることが必要
  • 日本人配偶者や高度専門職の場合は短縮可能

参考リンク:「永住許可に関するガイドライン」


3.留学ビザ単独で永住申請が難しい理由

  1. 居住要件の不足
    • 留学ビザは就労資格ではないため、10年中5年以上の就労実績を満たせない
  2. 収入の安定性が証明できない
    • 留学中のアルバイトは週28時間までに制限されており、独立生計要件を満たせない
  3. 社会的基盤の不十分さ
    • 留学ビザは勉学を目的とした滞在であり、社会的に独立した生活基盤があるとは評価されにくい

4.留学ビザから就労ビザ・配偶者ビザを経て永住に至る流れ

ステップ1:留学ビザで日本に滞在

  • 大学・専門学校を卒業する

ステップ2:就労ビザまたは配偶者ビザへ変更

  • 「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職ビザ」など
  • 日本人や永住者と結婚した場合は「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」に変更

ステップ3:就労または婚姻生活を継続

  • 就労ビザで5年以上就労実績を積む
  • 配偶者ビザで3年以上婚姻関係を継続

ステップ4:永住申請

  • 収入、納税、社会保険加入、素行を含め条件を満たしたうえで申請

5.親と同時申請の場合の可能性

留学ビザ本人が未成年や学生で、親が永住者である場合、子どもは「永住者の子」として永住申請が可能です。

条件

  1. 親が永住者で安定した生活基盤を有すること
  2. 子どもが未成年または学生で扶養下にあること
  3. 親子同居や扶養関係を証明できる書類があること

必要書類例

  • 子どもの在留カード、パスポート
  • 住民票(親子同居)
  • 学校在学証明書
  • 親の永住許可証明
  • 親の所得証明・納税証明

成人留学生の場合は独立生計が求められる場合があり、同時申請でもハードルが上がります


6.永住申請の必要書類と準備ポイント

  • 永住許可申請書
  • 理由書
  • 在留カード、パスポート写し
  • 住民票、身元保証書
  • 源泉徴収票、課税証明書、納税証明書
  • 勤務先の在職証明書(就労ビザの場合)
  • 健康保険証の写し
  • 配偶者・親子同伴の場合は戸籍謄本や婚姻・親子関係証明書

参考リンク:出入国在留管理庁 |永住許可申請


7.永住申請が不許可になりやすいケース

  • 留学ビザ単独で申請(就労資格不足)
  • 納税や年金未納
  • 短期間で転職を繰り返している
  • 配偶者ビザでも婚姻実態が不十分
  • 成人留学生が親と同時申請する場合、扶養関係が不明確

8.【Q&A】留学ビザから永住申請に関するよくある質問

Q1:留学ビザで10年以上日本にいても単独で永住できますか?
A:できません。就労資格5年以上の実績が必要です。

Q2:親が永住者であれば、留学ビザの子どもも永住申請可能ですか?
A:はい。未成年・学生で親の扶養下にある場合は「永住者の子」として申請可能です。

Q3:留学後すぐ高度専門職ビザに変更すれば永住が早く取得できますか?
A:はい。高度専門職ビザの場合、最短1年で永住申請が可能になる条件があります。

Q4:成人留学生は親と同時申請できますか?
A:成人の場合、扶養関係の認定が厳しくなるため、独立生計の証明が必要になる場合があります。


9.まとめ:留学ビザから永住を目指す現実的ステップ

  • 留学ビザから直接永住申請は困難
  • 就職や結婚を経て、就労ビザ・配偶者ビザへ変更するのが現実的
  • 納税・社会保険加入・安定収入を確保することが必須
  • 親が永住者の場合は、未成年・学生は親と同時申請で永住可能
  • 高度専門職や配偶者ビザで永住許可の短縮も可能

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法