転職している場合の就労ビザ更新時に注意すべきポイント|在留状況への影響

はじめに

日本で就労ビザを取得して働いている外国人にとって、転職は生活やキャリアを広げる重要な手段です。しかし、就労ビザは特定の在留資格と就労内容に基づいて付与されているため、転職によって在留資格の条件が変わる場合、更新申請や在留状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、転職している場合の就労ビザ更新時に注意すべきポイントを詳しく解説し、在留状況への影響や許可されやすくするための対策を紹介します。


1. 就労ビザ更新と転職の関係

就労ビザ(例:技術・人文知識・国際業務ビザ、経営・管理ビザ、高度専門職ビザ)は、特定の職務内容や雇用先に基づいて発行されます。そのため、転職を行う場合には以下の点が重要です。

  • 在留資格と業務内容の一致
    変更後の職務内容が在留資格で許可されている業務に合致しているか確認する必要があります。
  • 雇用契約の変更
    転職により雇用契約が変わる場合は、ビザの更新申請時に新しい雇用先情報を提出する必要があります。
  • 更新許可の可否
    前職から転職後の勤務先が異なる場合、入管は「新しい勤務先で適正な在留活動が可能か」を審査します。

ポイント:転職した場合でも、在留資格の活動範囲に合致していれば更新は可能ですが、手続きや書類不備で不許可になるケースもあるため注意が必要です。


2. 転職が就労ビザ更新に与える影響

転職が直接、就労ビザ更新に影響する要素は以下の通りです。

2-1. 在留資格の条件違反リスク

転職先の職務内容が在留資格に定められた業務と異なる場合、更新が不許可になる可能性があります。
例:

  • 技術・人文知識・国際業務ビザ → ITエンジニアから販売業への転職
  • 経営・管理ビザ → 管理職から一般社員への変更

2-2. 雇用先の信用情報

入管は企業の事業内容や安定性を確認します。中小企業や新設企業に転職する場合、資本金や事業計画書の提出を求められるケースがあります。

2-3. 在留期間とキャリアの継続性

転職により職歴が途切れた場合、在留期間更新時に「安定した収入があるか」が審査対象となります。収入や雇用形態の変化は更新許可に影響するため、転職前後の給与・契約書の確認が重要です。


3. 在留資格ごとの注意点

3-1. 技術・人文知識・国際業務ビザ

  • 専門的知識や業務内容が明確である必要があります。
  • 転職先の職務内容が前職と大幅に異なる場合は在留資格変更申請が必要なこともあります。

3-2. 経営・管理ビザ

  • 新会社での役職や事業計画が重要です。
  • 雇用人数や資本金が条件を満たしているか確認しましょう。

3-3. 高度専門職ビザ

  • ポイント制で評価されるため、転職による年収や職務内容の変化が影響します。
  • 高度専門職2号の場合、永住申請の前提条件に影響する可能性があります。

4. 更新申請時に必要な書類と準備

転職後の就労ビザ更新では、以下の書類を整えておくことが重要です。

  1. 在留期間更新許可申請書
  2. パスポート・在留カード
  3. 雇用契約書(転職先)
  4. 給与明細や納税証明書
  5. 職務内容説明書(業務の専門性を証明する書類)
  6. 会社の登記簿謄本や事業計画書(必要に応じて)

参考リンク


5. 転職前に確認すべきポイント

  • 業務内容の適合性:在留資格で許可された範囲かどうか
  • 給与や雇用形態:安定した収入が得られるか
  • 会社の信用力:資本金や事業実績、税務状況
  • 在留資格変更の必要性:大幅に業務内容が変わる場合は更新ではなく変更申請

実務上のアドバイス:転職前に行政書士や入管相談窓口で確認すると、不許可リスクを大幅に下げることができます。


6. 転職後の届出と手続き

転職後は、以下の手続きを忘れずに行う必要があります。

  1. 雇用先変更の届出
    • 在留カードの記載内容(勤務先)を更新
    • 14日以内に地方入管へ届け出
  2. 社会保険・税務手続き
    • 健康保険、年金、源泉徴収関連の切替
  3. 次回更新に向けた書類整備
    • 勤務先証明書、給与明細、業務内容確認書を整理

ポイント:転職直後は在留資格の更新申請と同時に必要書類を整備しておくと、審査がスムーズになります。


7. よくあるQ&A

Q1. 転職直後でも就労ビザ更新は可能ですか?

A1. 可能ですが、転職先での業務内容や給与証明などを提出できるかが重要です。入管は安定性を重視します。

Q2. 職務内容が少し異なる場合、在留資格変更は必要ですか?

A2. 小幅な変更(例:同業界内での異なる役割)であれば更新申請で対応可能です。大幅な業務変更の場合は、変更申請を検討してください。

Q3. 転職してから給与が少なくなった場合、更新に影響しますか?

A3. 影響する可能性があります。在留資格更新では「安定した収入」が審査対象となるため、給与や雇用形態を証明できる書類を準備してください。


8. まとめ

転職はキャリアアップのチャンスですが、就労ビザの更新や在留資格に影響する重要な要素でもあります。
ポイントをまとめると以下の通りです。

  • 在留資格に合致した職務内容かを確認
  • 転職先の会社情報や給与の安定性を確認
  • 必要書類を漏れなく準備
  • 転職前に行政書士や入管で相談

事前準備と正確な情報提出が、就労ビザ更新の許可率を大きく高めます。安心して日本でのキャリアを継続するために、転職時の注意点をしっかり押さえましょう。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法