短期滞在ビザで働くとどうなる?不法就労リスクと対策法【完全ガイド】

はじめに

日本を訪れる外国人の多くは「短期滞在ビザ(観光ビザ)」を利用しています。しかし、短期滞在ビザでの就労は一切認められていません。それにもかかわらず、観光や親族訪問の名目で入国し、アルバイトや就労を行うケースが後を絶ちません。
本記事では、短期滞在ビザで働いた場合に発生するリスク、不法就労による処罰、日本に滞在しながら適法に働くための方法を、わかりやすく解説します。


1.短期滞在ビザとは?

短期滞在ビザ(Short-Term Stay Visa)は、日本に90日以内の短期間滞在を目的とする外国人に発給される在留資格です。

主な目的

  • 観光(例:日本観光、友人訪問)
  • 親族・知人訪問
  • 商用(会議出席、契約交渉など)
  • 短期の研修や視察

重要:短期滞在ビザは「就労不可」の在留資格に分類されます。


2.短期滞在ビザで働けない理由

日本の入管法(出入国管理及び難民認定法)では、在留資格ごとに活動範囲が厳格に決められています。
短期滞在ビザは 「報酬を伴う活動」 が禁止されており、アルバイト・パート・正社員いずれも許されません。

例外的に資格外活動許可を受けることによって、就労が認められる場合もあります。


3.短期滞在ビザで働いた場合のリスク

3-1. 不法就労による強制退去

短期滞在ビザで働いた場合、不法就労者として入管法違反に該当します。摘発された場合は、強制退去処分となり、日本での生活基盤を失うことになります。

3-2. 再入国禁止措置

強制退去処分を受けると、最長5年間、日本への入国が禁止されます。悪質な場合は10年間入国できなくなることもあります。

3-3. 雇用主への罰則

外国人を不法に雇用した企業や個人事業主には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります(入管法第73条の2)。


4.実際に多い不法就労の事例

  • 観光目的で入国後、飲食店でアルバイト
  • 短期滞在で入国した後、建設現場で日雇い労働
  • 親族訪問名目で来日し、家族経営の店舗で働く

こうした事例は入管当局に把握されやすく、摘発の対象となります。


5.短期滞在ビザから就労可能な在留資格へ変更できるのか?

結論として、短期滞在ビザから直接就労ビザへの変更は極めて困難です。
原則として、一度出国してから改めて現地の日本大使館・領事館で就労ビザを申請する必要があります。

ただし、以下のような「特別な事情」がある場合には変更が認められるケースもあります。

  • 日本人と結婚して「日本人の配偶者等」ビザへ変更
  • 留学中の学業を終えてから就労ビザへ切り替え
  • 人道上やむを得ない特別な理由がある場合

6.不法就労を避けるための対策

  • 短期滞在ビザでは絶対に働かない
  • 日本で働く予定がある場合は、渡日前に就労ビザを取得する
  • 配偶者や親族を頼って滞在する場合でも、在留資格を正しく申請する
  • 企業側も「在留カード」を必ず確認し、雇用契約前に資格外活動の有無を確認する

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7.適法に日本で働くための就労ビザ一覧

日本で合法的に働くには、活動内容に応じた就労ビザを取得する必要があります。

主な就労ビザの種類

  • 技術・人文知識・国際業務ビザ:企業勤務(IT、経理、通訳など)
  • 技能ビザ:料理人、大工、パイロットなど特定技能を持つ人材
  • 高度専門職ビザ:高度な知識・実務経験を持つ専門家
  • 特定技能ビザ:介護、外食、建設など人手不足分野(現在は16分野)
  • 経営管理ビザ:日本で会社を設立・経営する場合

8.まとめ:正しい在留資格で安心して働くために

短期滞在ビザでの就労は、日本の入管法で明確に禁止されており、強制退去や再入国禁止といった重大なリスクを伴います。
日本で働くことを希望する場合は、事前に適切な就労ビザを取得し、合法的に活動することが何より大切です。

不法就労は本人だけでなく、雇用主や家族にまで悪影響を及ぼします。将来のキャリアや生活基盤を守るためにも、必ず正規の手続きを踏んで滞在資格を選びましょう。


9.よくあるQ&A

Q1. 短期滞在ビザでアルバイトを1日だけした場合も不法就労ですか?
A. はい。1日でも報酬を得た時点で不法就労に該当します。

Q2. 不法就労が発覚した場合、本人だけでなく雇用主も罰せられますか?
A. はい。雇用主は入管法違反で処罰対象となり、企業の信用失墜にもつながります。

Q3. 観光目的で来日中に、日本で就職先を探すことは可能ですか?
A. 就職活動自体は可能ですが、就労はできません。採用が決まった場合は一度帰国し、現地の大使館で就労ビザを取得するのが原則です。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法