就労ビザの審査ポイントを徹底解説|不許可を避けるための完全ガイド
目次
はじめに
外国人が日本で働くためには「就労ビザ(就労が認められている在留資格)」の取得が必要です。しかし、すべての申請が許可されるわけではなく、出入国在留管理庁(入管)は厳格な審査を行います。
この記事では、就労ビザの審査で特に重視されるポイントを専門家の視点から徹底解説し、企業担当者や外国人本人が失敗しないための具体的な対策を紹介します。
1.就労ビザとは?
就労ビザとは、日本で合法的に働くために必要な在留資格の総称です。代表的なものには以下があります。
- 技術・人文知識・国際業務ビザ
- 高度専門職ビザ
- 経営管理ビザ
- 特定技能ビザ など
これらは、学歴・職務内容・企業規模・収入水準など、複数の条件を満たす必要があります。
関連記事:「
在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)」とは?専門性・要件・注意点をわかりやすく解説」
2.就労ビザ審査の基本ポイント
出入国在留管理庁が審査で確認する主な項目は次のとおりです。
(1)職務内容と在留資格の適合性
就労ビザごとに認められる活動内容は法律で定められています。例えば「技術・人文知識・国際業務ビザ」で認められるのは、
- 翻訳・通訳
- ITエンジニア
- 経理・人事
- 海外営業
などの「ホワイトカラー業務」です。単純労働は認められません。
ポイント:実際の業務内容とビザの種類が合致しているかが最大の審査ポイントです。
(2)学歴・職歴の裏付け
申請人の学歴や職歴が、職務にふさわしいかを審査されます。
- 大学・専門学校の専攻が職務内容に関連しているか
- 職務経験が実務に直結しているか
例:ITエンジニアの場合、情報処理専攻の学位や、3年以上の実務経験が求められる場合があります。
(3)雇用企業の信頼性
就労先企業が安定しているかも重要です。
- 資本金・売上高・従業員数
- 適正な納税履歴
- 社会保険の整備状況
ブラック企業やペーパーカンパニーと判断されると、申請は不許可になりやすいです。
(4)給与水準の妥当性
申請人の給与が日本人と同等以上であることが必要です。
例:フルタイム正社員であれば、月額20万円以上が一つの目安とされています。
「最低賃金すれすれ」の給与だと、入管から「外国人を安く使い捨てしているのではないか」と疑われます。
(5)在留歴・素行の適正性
- 日本での在留状況(オーバーステイや不法就労歴がないか)
- 納税・年金・社会保険料の納付状況
- 犯罪歴の有無
生活の安定性も含めた「素行の良好性」が確認されます。
3.審査で不許可になりやすいケース
- 学歴や職歴が職務内容と無関係
- 職務内容が単純労働に該当
- 会社が赤字続きで雇用の安定性がない
- 給与が極端に低い
- 納税・年金未納がある
4.就労ビザ申請の流れ
- 企業が在留資格認定証明書(COE)を申請
- 入管による審査(1~3か月程度)
- 証明書発行後、外国人が査証申請
- 入国・在留カード取得
5.許可を得るための具体的対策
- 職務内容と学歴・職歴の一致を示す資料を準備
→ 職務経歴書や卒業証明書を丁寧に作成 - 会社の安定性をアピール
→ 決算書・納税証明書・就業規則を添付 - 給与水準を適正化
→ 日本人社員と同等以上であることを証明 - 納税・年金を未納なく整備
6.よくあるQ&A
Q1:専門学校卒でも就労ビザは取れますか?
A:専攻分野が職務内容に関連していれば可能です。例:ビジネス専門学校卒で営業職。
Q2:アルバイトから正社員になった場合、就労ビザは出ますか?
A:業務内容・給与・雇用契約がビザ要件を満たせば可能です。
Q3:会社が設立間もない場合でも就労ビザは取れますか?
A:可能ですが、事業計画書や資金証明が求められ、審査は厳格になります。
Q4:年収が低いと就労ビザは不許可になりますか?
A:必ずしも不許可ではありませんが、日本人と同等水準でない場合は不利になります。
7.まとめ
就労ビザの審査は「職務内容の適合性」「学歴・職歴の裏付け」「会社の安定性」「給与水準」「在留状況」の5つが柱となります。
適切な準備と資料の整備を行えば、許可の可能性は高まります。
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参考リンク
この記事のポイント
- 就労ビザは「業務内容と資格の適合性」が最大の焦点
- 学歴・職歴・企業の信頼性・給与水準も審査対象
- 不許可を避けるには「十分な裏付け資料」が不可欠
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |