家族滞在ビザの必要収入はいくら?審査で重視される扶養要件を徹底解説

はじめに

日本で働く外国人の家族が日本に滞在するために必要な在留資格として、「家族滞在ビザ」(在留資格「家族滞在」)があります。
家族滞在ビザは、就労ビザや留学ビザを持つ方の配偶者や子どもが日本で生活するための在留資格です。

しかし、家族滞在ビザを取得するには単に家族関係を証明するだけでなく、**十分な生活費を賄える経済力(収入)**があることも重要です。特に、入管局(出入国在留管理庁)は扶養能力を厳しく審査します。

本記事では、家族滞在ビザの必要収入の目安扶養要件の審査ポイント、申請書類、注意点までを詳しく解説します。

※本記事の内容は2025年8月時点の情報をもとに作成しています。最新情報は出入国在留管理庁公式サイトでご確認ください。


1. 家族滞在ビザとは?

家族滞在ビザの対象者

家族滞在ビザは、以下の方々が対象です。

  • 日本で就労する外国人の配偶者(妻・夫)
  • 日本で就労・留学する外国人の子ども(未成年者)

ポイント:
両親や兄弟姉妹など、親族全般は対象ではなく、あくまで配偶者・子どもが対象となります。

家族滞在ビザでできる活動

家族滞在ビザでは、基本的に就労は制限されています。

  • 就労を希望する場合は、資格外活動許可を申請する必要があります。
  • アルバイト程度の活動は許可されることが多いですが、フルタイム就労は原則不可です。

2. 家族滞在ビザ申請で重視される扶養要件とは?

家族滞在ビザの審査で最も重要視されるのが、申請人を経済的に扶養できるかどうかです。

扶養要件とは

扶養要件とは、日本で家族が生活するために十分な収入や資産があるかを意味します。
入管局は以下の点を確認します。

  1. 安定した収入があるか
  2. 生活費や家賃を賄えるか
  3. 家族の人数に応じた資金があるか

具体的に審査される項目

  • 年収や月収の額
  • 勤務先の雇用形態や職歴
  • 貯蓄や資産の有無
  • 居住場所(家賃や住宅状況)

ポイント:
アルバイトのみの収入や不安定な収入は審査で不利になります。正社員での安定した収入が理想です。


3. 家族滞在ビザの必要収入はいくら?

3-1. 一般的な目安

家族滞在ビザの必要収入の目安は以下の通りです。

家族人数年収目安月収目安
申請者本人+配偶者1人約300万円以上約25万円以上
申請者本人+配偶者+子1人約360万円以上約30万円以上
申請者本人+配偶者+子2人約420万円以上約35万円以上

※地域によって生活費は異なります。東京や大阪など生活費が高い都市では、さらに高い収入が求められることがあります。

3-2. 年収以外で考慮されるもの

  • 貯蓄額
    年収が目安に満たない場合でも、貯蓄がある場合は扶養能力が認められることがあります。
  • 資産
    不動産や預金など、生活の安定を裏付ける資産があると有利です。
  • 家族構成
    子どもの人数が増えると、必要収入も増加します。

4. 家族滞在ビザの申請に必要な書類

家族滞在ビザの申請では、収入や扶養能力を証明する書類が重要です。

4-1. 基本書類

  1. 在留資格認定証明書交付申請書
  2. 写真(最近6か月以内の顔写真)
  3. 戸籍謄本・婚姻証明書
  4. パスポートコピー(本人・配偶者)
  5. 住民票(世帯全員記載)

4-2. 扶養能力を証明する書類

  • 所得証明書/源泉徴収票/課税証明書
  • 給与明細(直近3か月以上)
  • 貯蓄通帳のコピー(必要に応じて)
  • 賃貸契約書や住宅証明書(家賃・住居状況の確認用)

4-3. 注意点

  • 書類は原本+コピーが必要な場合があります。
  • 外国語書類は日本語翻訳付きで提出する必要があります。

5. 家族滞在ビザの審査でよくある質問

Q1. 扶養要件が足りない場合はどうなる?

A1. 不足している場合は不許可になる可能性があります。
年収が基準を下回る場合、貯蓄や資産で補うか、就労者の収入を増やす必要があります。

Q2. アルバイト収入でも家族滞在ビザは取れますか?

A2. アルバイト収入のみでは安定性が不足するため、基本的には不可です。正社員として安定した収入があることが望ましいです。

Q3. 日本に家がなくても申請できますか?

A3. 住居の安定性も審査対象です。賃貸契約書や住宅証明があれば、居住環境を証明できます。

Q4. 配偶者が日本で働いていない場合でも申請可能ですか?

A4. 申請者本人の収入で十分に扶養できる場合は可能です。ただし収入不足は不許可の原因になります。


6. 扶養要件をクリアするためのポイント

  1. 年収・給与の安定
    入管局は過去数年分の収入安定性を重視します。契約社員や短期契約より、正社員での勤務が有利です。
  2. 貯蓄・資産の活用
    年収だけで基準に満たない場合、銀行預金や不動産資産で補うことが可能です。
  3. 生活費の合理的な計算
    家族構成に応じた月額生活費を提示できると審査に有利です。
  4. 住居の安定
    賃貸契約書や住宅の確保状況を明確に提出することが重要です。

7. 家族滞在ビザ申請の流れ

  1. 在留資格認定証明書(COE)申請
    日本の入管局に申請します。
  2. 申請書類の準備
    扶養能力を証明する書類、家族関係証明書類などを揃えます。
  3. 入管局による審査
    扶養能力・家族関係・生活環境が審査されます。
  4. 在留資格認定証明書交付
    許可されるとCOEが交付されます。
  5. ビザ申請(在外公館)
    日本国外にいる家族は、日本大使館・領事館でビザ申請を行います。

8. まとめ

家族滞在ビザの取得には、家族を十分に扶養できる収入や資産が重要です。

  • 年収目安は配偶者1人で約300万円、子どもが1人増えるごとに+60万円程度が目安
  • 扶養能力を証明する書類をしっかり揃えることが許可のポイント
  • 不安定な収入の場合は、貯蓄や資産で補う必要がある

家族滞在ビザは、家族と日本で安心して暮らすための在留資格です。正確な書類と十分な収入証明を用意し、計画的に申請しましょう。


Q&A総まとめ

  1. 必要収入はいくら?
    配偶者1人:約300万円/年、子1人追加で+60万円/年
  2. アルバイト収入でも可能?
    安定性が不足するため不利。正社員収入が望ましい
  3. 住居は必要?
    必要。賃貸契約書で居住環境を証明
  4. 扶養能力不足なら?
    貯蓄・資産で補うか収入増が必要

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法