帰化申請中に転職は可能?不許可リスクと法務局への報告義務を徹底解説

はじめに

日本国籍の取得を目指す「帰化申請」は、法務局での厳格な審査を経て許可・不許可が決まります。帰化申請者の多くが気にされるポイントの一つが 「申請中に転職しても問題ないのか?」 という点です。特に、審査期間が1年近くに及ぶこともあるため、その間にキャリアチェンジや転職の機会が訪れることは珍しくありません。

この記事では、帰化申請中の転職が審査に与える影響、注意すべき点、そして転職を考える際の実務的な対応について詳しく解説します。


帰化申請の基本的な流れと審査ポイント

帰化申請の流れ

  1. 法務局での事前相談
  2. 必要書類の準備
  3. 申請書類の提出
  4. 法務局による面接・調査
  5. 法務大臣による審査・決定

この過程は一般的に 10か月〜1年程度 を要します。その間、申請者の生活状況や職業状況に変化があった場合、法務局に必ず報告する必要があります。

主な審査ポイント

  • 安定した収入と生活基盤
  • 日本での継続的な居住状況
  • 納税・年金・社会保険の適正な履行
  • 素行の良好さ(犯罪歴や交通違反など)

特に「安定した職業と収入」は重要視されるため、転職がこの要件にどのように影響するのかが焦点となります。


帰化申請中に転職は可能?

結論から言えば、帰化申請中に転職は可能 です。ただし、以下の条件を満たしていることが重要です。

  1. 転職後も安定した収入が確保できること
    無職や収入が不安定になると「生活の安定性」が疑問視され、審査に悪影響を与えます。
  2. 納税や社会保険の継続が確保されること
    転職によって年金や健康保険の支払いが途切れないよう注意が必要です。
  3. 速やかに法務局へ報告すること
    申請中の身分・職業に変更があった場合は必ず報告義務があります。虚偽や未報告は不許可の大きな要因となります。

転職が審査に与える影響

プラスに働く場合

  • 年収が上がり、生活の安定性が向上する場合
  • より長期的に安定した雇用契約を得られる場合

マイナスに働く場合

  • 転職後すぐで収入や職務が不安定と判断される場合
  • 試用期間中で雇用の継続性が不透明な場合
  • 転職によって納税や年金の支払いに滞納が生じる場合

実務上の注意点

法務局の審査官は「安定した職業と収入が今後も続くか」を重視します。そのため、転職先の会社規模や契約形態(正社員・契約社員など)、勤務条件が審査に影響します。


法務局への報告義務

転職をした場合、速やかに法務局へ以下の書類を提出する必要があります。

  • 新しい勤務先の在職証明書
  • 新しい雇用契約書や給与明細の写し
  • 社会保険加入を証明する書類

報告が遅れたり怠ったりすると、「隠している」と判断され、帰化不許可につながるリスクがあります。


転職を検討している方への実務アドバイス

  1. 転職前に法務局へ相談する
    不安な場合は、担当官に「転職を予定している」と事前に相談しましょう。
  2. 無職期間を作らない
    転職活動は、退職前に次の職を決めてから進めることが望ましいです。
  3. 年収・雇用形態を重視する
    短期契約やアルバイトよりも、安定した正社員雇用が有利です。
  4. 書類をきちんと揃える
    雇用契約書や給与明細などは必ず保管し、法務局に提出できるよう準備しましょう。

Q&A:帰化申請と転職に関するよくある質問

Q1:転職したら必ず不許可になりますか?
A1:いいえ。転職しても、安定した収入と生活基盤が確保されていれば問題ありません。

Q2:転職後すぐに帰化が許可されることはありますか?
A2:転職直後は「安定性」が弱いと判断される場合があります。1〜2か月の給与明細を提出して安定を示すと安心です。

Q3:アルバイトや派遣社員でも帰化申請はできますか?
A3:可能ですが、安定性の面で不利になることがあります。正社員や長期契約の方が審査に有利です。

Q4:転職を隠したらどうなりますか?
A4:虚偽申告と判断され、不許可の可能性が非常に高くなります。必ず報告しましょう。


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参考リンク


まとめ

帰化申請中に転職しても 「安定した収入」と「適切な報告」 があれば基本的には問題ありません。ただし、試用期間中や収入が大きく下がる場合は不許可リスクが高まります。転職を検討している場合は、必ず法務局に相談し、必要書類を揃えて適切に対応することが重要です。

帰化申請は人生の大きな決断です。転職というライフイベントと重なる場合もありますが、正しい知識と準備で審査をスムーズに進めることができます。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法