フィリピン人配偶者の帰化申請に必要な要件と準備|配偶者特別帰化(簡易帰化)も解説【完全ガイド】

はじめに

日本人と結婚して日本で生活しているフィリピン人配偶者にとって、将来的に安定した在留資格を得る方法の一つが「帰化申請」です。
特に、日本人の配偶者である場合には「配偶者特別帰化(簡易帰化)」が適用され、一般的な帰化よりも要件が緩和されます。

本記事では、

  • フィリピン人配偶者の帰化申請に必要な要件
  • 準備すべき書類や流れ
  • 特別帰化(簡易帰化)のメリットと注意点
    を徹底解説します。

1.フィリピン人配偶者の帰化申請とは?

「帰化申請」とは、外国人が日本国籍を取得するための手続きです。
通常の帰化には「居住年数」「生計能力」「素行要件」など複数の条件がありますが、日本人の配偶者は「簡易帰化」と呼ばれる特例があり、一般の外国人に比べて大幅に条件が緩和されています。

特にフィリピン人配偶者は「日本人の配偶者等ビザ」で在留しているケースが多く、帰化申請を行うことで永住ビザ以上の安定を得ることができます。


2.フィリピン人配偶者の帰化申請要件(一般帰化と比較)

(1)一般の帰化要件(通常)

通常の帰化申請では、以下の条件が求められます。

  • 日本に 10年以上 継続して住んでいること
  • 生計が安定していること(本人または配偶者の収入)
  • 素行善良であること(犯罪歴や税金の滞納がない)
  • 日本語能力(日常生活レベル以上)

(2)日本人配偶者の特別帰化(簡易帰化)

日本人と結婚している場合には、以下のように要件が大幅に緩和されます。

  • 居住要件:日本に引き続き 3年以上 居住、または婚姻期間が3年以上で、日本に1年以上居住していればOK
  • 生計要件:本人の収入がなくても、日本人配偶者の収入で生活が成り立っていれば可
  • 素行要件:税金・社会保険料をきちんと納付していること
  • 日本語要件:日常会話レベル(簡単な読み書きができる程度)

フィリピン人配偶者は、多くの場合この「配偶者特別帰化」の要件を満たすことになります。


3.フィリピン人配偶者の帰化申請に必要な書類と準備

帰化申請は、法務局で行います。必要な書類は個々の事情で異なりますが、代表的なものを整理します。

(1)本人関係の書類

  • フィリピン大使館発行の出生証明書(PSA発行、翻訳付き)
  • 婚姻証明書(フィリピンおよび日本での婚姻登録証明)
  • パスポートの写し
  • 在留カードの写し

(2)日本人配偶者の書類

  • 戸籍謄本
  • 住民票
  • 納税証明書(所得税・住民税)
  • 勤務先の源泉徴収票や確定申告書

(3)生活関係を示す書類

  • 家計を示す収入証明・預金通帳コピー
  • 賃貸契約書や住宅ローン明細
  • 家族写真(結婚生活の実態を示すため)

(4)日本語能力の確認

  • 日本語能力試験(JLPT)N4程度が目安
  • 小学校レベルの漢字が読めれば十分

書類は法務局で確認しながら揃えるのが重要です。


4.フィリピン人配偶者が帰化申請するメリット

  1. 在留資格の更新が不要
    配偶者ビザや永住ビザの更新手続きが不要になります。
  2. 出入国が自由に
    日本国籍を取得すれば、フィリピンとの二重国籍は原則認められませんが、日本のパスポートで自由に渡航可能です。
  3. 社会的信用の向上
    ローンや就職で有利になることが多いです。
  4. 家族への安定
    日本国籍を持つことで、子供や配偶者の生活基盤も安定します。

5.帰化申請の流れ(フィリピン人配偶者の場合)

  1. 法務局での事前相談(必須)
  2. 必要書類の収集(フィリピン大使館やPSAでの手続きが必要)
  3. 書類作成・翻訳
  4. 帰化申請の正式提出
  5. 法務局での面接(夫婦で出席を求められる場合あり)
  6. 法務大臣の審査(約1年〜1年半)
  7. 官報告示(帰化許可の公告)
  8. 市区町村での戸籍作成・住民登録

申請から許可まで 1年〜程度 かかるのが一般的です。


6.よくある不許可理由(注意点)

  • 税金・社会保険料の未納
  • 婚姻生活の実態が不十分(別居や偽装結婚の疑い)
  • 素行不良(交通違反や軽犯罪の繰り返し)
  • 日本語能力不足

申請前に必ず生活状況を整理し、リスクをなくすことが重要です。


7.Q&A:フィリピン人配偶者の帰化申請でよくある質問

Q1. フィリピン国籍は失いますか?
A. はい。フィリピンは二重国籍を制限していますので、日本国籍を取得する際にフィリピン国籍は原則喪失します。

Q2. 永住ビザと帰化、どちらが良いですか?
A. 永住ビザは更新不要ですが、取り消される可能性があります。一方、帰化は日本国籍を得るため、より安定します。ただし国籍変更のリスクを考える必要があります。

Q3. 日本語が苦手でも申請できますか?
A. 簡単な会話と読み書きができれば大丈夫です。法務局の面接では生活に必要な日本語力を確認されます。

Q4. 手続きは自分でできますか?
A. 可能ですが、書類が複雑なため行政書士などの専門家に依頼する方が多いです。


8.まとめ

フィリピン人配偶者が日本で安定した生活を送るためには、「帰化申請」が有効な選択肢です。
特に「配偶者特別帰化」により要件が大幅に緩和されており、永住ビザよりも強力な安定性を得られます。

ただし、申請には多くの書類が必要で、審査期間も長いため、事前準備と専門家のサポートが成功のカギとなります。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法