外国人雇用状況の届出とは?企業が必ず知っておくべき義務と手続き【完全ガイド】
目次
はじめに
日本では年々、外国人労働者の数が増加しており、企業にとって外国人の雇用は重要な経営課題となっています。厚生労働省の統計によると、2023年10月時点で外国人労働者は 約200万人 を超え、過去最多を更新しました。
このような背景から、外国人を雇用する企業に対して義務付けられているのが 「外国人雇用状況の届出」 です。
本記事では、
- 外国人雇用状況の届出とは何か
- 対象となる企業や外国人の範囲
- 届出方法と必要書類
- 罰則や注意点
- よくある質問(Q&A)
をわかりやすく解説します。
関連記事:外国人就労と在留カードの確認方法|企業担当者が知るべきチェックリスト【完全ガイド】
1.外国人雇用状況の届出とは?
「外国人雇用状況の届出」とは、企業が外国人労働者を雇用した際に、その労働者の在留資格や在留期間などの雇用状況を ハローワークに届け出る制度 です。
法的根拠
- 雇用対策法 第28条 に基づき、全ての事業主は外国人を雇用・離職させた場合に届出を行う義務があります。
届出の目的
- 外国人労働者の雇用実態を正確に把握する
- 不法就労を防止する
- 外国人労働者の雇用環境改善や政策立案に活用する
厚生労働省の公式サイトでも、外国人雇用状況届出の重要性が強調されています。
参考:厚生労働省|外国人雇用状況の届出
2.誰が対象になるのか?
(1)届出義務のある事業主
- 法人(株式会社・合同会社・NPO法人など)
- 個人事業主(飲食店、建設業、農業などを営む人)
アルバイト・パートなどの短期雇用でも対象です。
(2)届出対象となる外国人
以下のように、ほぼ全ての外国人労働者が対象となります。
届出対象となる外国人
- 在留資格を持つ外国人(例:技術・人文知識・国際業務ビザ、特定技能ビザ、技能実習など)
- 留学生アルバイト(資格外活動許可あり)
- 永住者・定住者・日本人配偶者などの身分系在留資格を持つ外国人
届出不要のケース
- 特別永住者(韓国籍・台湾籍など戦前からの在日外国人)
- 外国人の派遣労働者を受け入れている企業(派遣元が届出義務を負う)
3.いつ届出をするのか?
事業主は、次の場合に ハローワーク へ届出を行わなければなりません。
- 外国人を新規に雇用したとき
- 外国人が離職したとき(退職・契約終了)
- 雇用形態に変更があったとき
届出は 雇用保険被保険者資格取得届・喪失届の提出と同時に行う のが原則です。
雇用保険に加入しない場合(週20時間未満勤務のアルバイトなど)も、別途「外国人雇用状況届出書」を提出する必要があります。
4.届出方法と必要書類
届出方法
- ハローワーク窓口へ直接提出
- 郵送提出
- オンライン提出(e-Gov電子申請)
近年はオンライン申請の利用が推奨されています。
必要事項(届出書に記載する内容)
- 氏名・生年月日
- 国籍・地域
- 在留資格・在留期間
- 在留カード番号
- 雇用保険の加入有無
- 雇用開始日/離職日
在留カードを確認し、正確に記載することが重要です。
5.届出を怠った場合の罰則
外国人雇用状況の届出を怠ると、事業主には 罰則やペナルティ が科される可能性があります。
- 30万円以下の罰金(雇用対策法第28条)
- 行政指導の対象になる
- 入管や労働局から監視を受けるリスク
- 企業の信頼低下(コンプライアンス違反として取引先から指摘されるケースも)
6.実務上の注意点
- 在留カードの確認を必ず行う
- 不法就労助長罪を防ぐために必須。
- アルバイトも対象
- 週数時間の雇用でも届出義務あり。
- 派遣労働者の場合は派遣元が届出
- 受け入れ先の企業は不要。
- 届出情報は人材活用にも役立つ
- 外国人雇用管理のデータベースとして活用できる。
関連記事:留学生をアルバイトで雇用する場合の注意点と資格外活動許可【完全ガイド】
7.よくある質問(Q&A)
Q1. アルバイトの外国人も届出対象ですか?
はい。雇用保険に入らない短時間勤務でも必ず届出が必要です。
Q2. 特別永住者も対象ですか?
いいえ。特別永住者は届出不要です。
Q3. 届出はどこに提出しますか?
管轄の ハローワーク です。オンライン申請も可能です。
Q4. 届出を忘れてしまった場合、遡って提出できますか?
可能ですが、行政指導や罰則の対象となることもあります。早急に提出しましょう。
Q5. 派遣社員を受け入れた場合、届出は必要ですか?
いいえ。派遣先ではなく、派遣元の会社が届出義務を負います。
まとめ
「外国人雇用状況の届出」は、外国人労働者を雇用する全ての企業に課せられた 法的義務 です。
届出を怠ると罰則や企業の信用低下につながるため、採用時や退職時に必ず確認・提出しましょう。
本記事のポイントを再確認すると:
- 外国人雇用状況の届出は 全ての事業主に義務付けられている
- アルバイト・パートも対象
- 届出は ハローワークまたはオンライン で可能
- 届出を怠ると 30万円以下の罰金 の可能性
- 特別永住者は対象外
外国人を採用する際は、在留資格の確認と届出を徹底し、企業のコンプライアンスを守りましょう。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |