弁護士が取得する法律・会計業務ビザの条件と注意点【完全ガイド】
目次
はじめに
日本で弁護士として活動する外国人が取得する在留資格のひとつに 「法律・会計業務ビザ」 があります。
このビザは、弁護士、公認会計士、税理士、行政書士、司法書士など「法律上の資格を有する専門家」が日本での業務を行う際に必要となります。
本記事では、特に 弁護士が法律・会計業務ビザを取得する場合の条件と注意点 を中心に、申請の流れや不許可リスクの回避策まで徹底解説します。
すでに日本で活躍する外国人弁護士、または日本での活動を希望する法曹関係者にとって役立つ内容となるでしょう。
法律・会計業務ビザとは?
「法律・会計業務ビザ」は、出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、法律上の資格を有する専門家が 独占業務 を行うために付与される在留資格です。
対象となる職種(法律上の資格)
- 弁護士(弁護士法による登録を受けた者)
- 公認会計士
- 税理士
- 司法書士
- 行政書士
- 弁理士
- 社会保険労務士
- 土地家屋調査士
- 海事代理士
- 不動産鑑定士
- 外国法事務弁護士
- 外国公認会計士
このうち、本記事では 弁護士に焦点を当てて解説 します。
弁護士が取得するための基本条件
外国人が日本で「弁護士」として活動するには、単に母国で弁護士資格を持つだけでは不十分です。日本の法律に基づき、以下の条件を満たす必要があります。
1. 日本の司法試験に合格して弁護士登録する場合
- 日本の司法試験に合格
- 司法修習を経て、日本弁護士連合会(日弁連)に登録
- 登録弁護士として活動開始
この場合、日本人弁護士と同等に「弁護士」として活動可能です。
2. 外国法事務弁護士として登録する場合
- 母国での弁護士資格を有すること
- 実務経験が3年以上あること(うち日本での経験1年以上を含むことも可能)
- 日本弁護士連合会の承認を得て「外国法事務弁護士」として登録
※外国法事務弁護士は、自国法や国際法に関する業務 は行えますが、日本法の訴訟代理などはできません。
3. 資格登録後の在留資格申請
- 弁護士として登録した事実を証明
- 受入先法律事務所の存在や業務内容を提示
- 安定した収入・生活基盤を証明
必要書類(弁護士の場合)
法律・会計業務ビザを取得する際に求められる書類の例は以下のとおりです。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- パスポート、在留カード(既に日本に滞在している場合)
- 弁護士登録証明書、または外国法事務弁護士登録証明書
- 雇用契約書や所属法律事務所の概要
- 履歴書・職務経歴書
- 収入証明(給与規程や過去の収入証明)
在留期間
弁護士が取得する法律・会計業務ビザの在留期間は、以下のいずれかが付与されます。
- 5年 / 3年 / 1年 / 3か月
初回は1年となるケースが多いですが、安定した活動実績があれば更新時に3年や5年が認められる可能性があります。
弁護士が申請する際の注意点
弁護士資格を有していても、以下の点を怠ると 不許可リスク につながります。
1. 登録資格の有効性を確認
- 日弁連での弁護士登録、または外国法事務弁護士としての登録が完了しているか
- 有効期限や実務経験年数を証明できるか
2. 所属先事務所の適格性
- 実態のある法律事務所か(ペーパーカンパニーは不可)
- 業務内容が在留資格の範囲に適合しているか
3. 収入と生活基盤の安定
- 弁護士報酬だけで生活できる水準か
- 雇用契約や報酬規程が整っているか
4. 日本法に基づく制限の理解
- 外国法事務弁護士は「日本法の訴訟代理不可」などの制限がある
- 許可範囲を超える活動を行うと 資格外活動違反 になる可能性
よくある不許可ケース
- 弁護士登録前に申請してしまった
- 所属先事務所の実態が不十分だった
- 生活費を支えるだけの報酬が確認できなかった
- 実務経験の証明が不足していた
Q&A:弁護士の法律・会計業務ビザ申請
Q1. 外国法事務弁護士は日本の裁判に出られますか?
A1. 出られません。外国法事務弁護士は日本法に基づく訴訟代理権を持たず、自国法や国際取引に関する業務に限定されます。
Q2. 弁護士ビザを取れば永住申請はできますか?
A2. 可能です。安定した収入や10年以上の在留(高度人材なら短縮あり)など、永住申請の条件を満たすことで申請可能です。
Q3. 所属先が独立開業の法律事務所でも大丈夫ですか?
A3. 可能です。ただし、独立の場合は事務所の実態や顧客基盤、収入見込みを立証する資料が必要になります。
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参考リンク
まとめ
- 弁護士が日本で活動するには「法律・会計業務ビザ」が必要
- 日本の司法試験合格か「外国法事務弁護士」としての登録が条件
- 所属事務所の実態、収入の安定性、資格の有効性が審査のポイント
- 制限を理解し、不許可リスクを避けることが重要
弁護士として日本でキャリアを築くには、ビザの正しい知識と入念な準備が不可欠です。申請の際は、専門の行政書士や弁護士に相談することを強くおすすめします。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |