永住申請は転職して年収が下がると不利?不許可を避ける対策【完全ガイド】

はじめに

日本で長期的に生活する外国人にとって、**永住ビザ(永住許可)**は非常に大きな目標です。
しかし、永住申請においてしばしば問題となるのが「転職」と「年収の変動」です。特に転職後に年収が下がった場合、審査で不利になるのではないかと不安を抱える方は少なくありません。

本記事では、

  • 転職や年収減少が永住申請に与える影響
  • 不許可を避けるための具体的な対策
  • 申請時に注意すべきポイント
    を専門的に解説します。

永住申請における審査基準とは?

法務省が示す永住許可の基本基準

永住許可は、**出入国在留管理庁(入管)**が法務大臣の裁量により判断します。
基準は「法務省告示(永住許可に関するガイドライン)」に示されており、主に以下の3点が重視されます。

  1. 素行が善良であること(犯罪歴・納税状況・社会的信用)
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  3. その永住が日本国の利益に合すると認められること

特に転職や年収減少が関わるのは 2番目の「生計要件」 です。

参考:出入国在留管理庁| 永住許可に関するガイドライン


転職が永住申請に与える影響

転職自体は必ずしも不利ではない

まず重要な点として、転職したからといって永住申請が自動的に不利になることはありません。
日本の労働市場において転職は一般的であり、入管もそれを理解しています。

問題は「安定性」と「継続性」

ただし、次のようなケースは注意が必要です。

  • 転職後すぐに永住申請をした場合(勤務実績が浅い)
  • 転職によって収入が大幅に下がった場合
  • 業種や在留資格に合わない職種へ移った場合

特に申請時点での勤務年数が短いと、「今の仕事は安定していないのでは?」と疑われるリスクがあります。


年収が下がった場合のリスク

永住申請に必要な年収の目安

入管は明確な年収基準を公開していませんが、一般的には次の水準が目安とされています。

  • 単身者:年収300万円以上
  • 配偶者や子供がいる場合:年収400~500万円以上

世帯収入で判断されることもあり、配偶者の収入がある場合は多少の年収減少でも影響が緩和されます。

年収が下がったときのリスク

  • 継続的に生活できるかどうかを疑問視される
  • 税金や社会保険料の支払い能力に影響すると判断される
  • 将来的な安定性に懸念があるとみなされる

特に**急激な収入減(例:500万円→250万円)**は、マイナス要因となる可能性が高いです。


不許可を避けるための具体的対策

1. 転職後は最低1年働いてから申請する

  • 勤務先での安定性を示すため、転職直後の申請は避ける
  • 少なくとも1年分の源泉徴収票や給与明細を提出できる状態にする

2. 配偶者や世帯収入を補強材料にする

  • 配偶者も働いている場合は世帯合算の収入証明を提出
  • 共働き世帯であれば、入管も「家計は安定している」と判断しやすい

3. 納税証明書を必ず揃える

  • 所得税・住民税・年金・健康保険などの納付状況は非常に重要
  • たとえ収入が減っても、滞納がなければマイナス評価を最小化できる

4. 職歴・転職理由を明確に説明する

  • 申請書類や理由書で「転職はキャリアアップのため」「安定した雇用契約を得たため」と説明
  • 合理的な転職理由を示すことで、不利な印象を和らげられる

5. 補強資料を提出する

  • 雇用契約書(無期雇用や更新の可能性がある契約)
  • 在籍証明書・給与明細
  • 転職エージェントの推薦状や企業の安定性を示す資料

よくある質問(Q&A)

Q1. 転職して半年ですが、永住申請しても大丈夫ですか?

A. 半年程度では「勤務が安定していない」と判断されるリスクが高いです。
最低でも1年以上勤務実績を積んでから申請するのが安全です。


Q2. 年収が350万円に下がりましたが、配偶者が300万円稼いでいます。許可されますか?

A. 世帯収入として650万円あるため、問題ないケースが多いです。
ただし、納税や社会保険の加入状況が正常であることが前提です。


Q3. 年収が下がっても貯金が多ければ有利になりますか?

A. はい。**金融資産(預貯金・株式・不動産など)**も安定性の根拠となります。
提出可能な範囲で資産証明を添付するとプラス要素になります。ただし、安定収入を得ていることが大前提です。


Q4. 転職で職種が変わりました。在留資格との整合性は問題になりますか?

A. はい。たとえば「技術・人文知識・国際業務」の資格で単純労働系に転職すると不適合となり、在留資格自体に影響が出ます。
転職先が在留資格の活動内容に合致しているか必ず確認してください。


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参考リンク


まとめ

  • 転職自体は不利にならないが、安定性と継続性が重要
  • 年収減少はリスクだが、世帯収入や資産で補える
  • 納税・社会保険の正常な履行は必須条件
  • 申請は転職後1年以上の勤務実績がある時期が望ましい

永住申請は一度不許可になると再申請まで時間がかかります。
そのため、申請のタイミングや資料準備を慎重に整え、不利な要因を最小化することが大切です。


結論:転職や年収減少があっても、工夫次第で永住申請は十分に許可されます。
重要なのは、**「安定した生活基盤を客観的に証明すること」**です。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法