外国人就労と在留カードの確認方法|企業担当者が知るべきチェックリスト【完全ガイド】

はじめに

日本で働く外国人労働者の数は年々増加しており、企業にとって外国人雇用は重要な経営課題となっています。
しかし、適切な在留資格(ビザ)を持たない外国人を雇用すると「不法就労助長罪」に問われ、企業も厳しい処分を受けるリスクがあります。

そのため、在留カードの確認は、外国人雇用の第一歩として企業担当者が絶対に押さえておくべきポイントです。
本記事では、企業が外国人を採用・雇用する際に必要となる在留カード確認方法とチェックリストを、実務に役立つ形で解説します。


1. 外国人雇用における在留カードの重要性

1-1 在留カードとは?

在留カードとは、日本に中長期滞在する外国人に交付される身分証明書であり、氏名・国籍・在留資格・在留期限・就労可否などが記載されています。
在留カードは、外国人が日本で合法的に就労できるかどうかを判断する最も重要な資料です。

1-2 なぜ確認が必要なのか?

  • 不法就労防止:在留カードを確認せずに雇用すると、本人が不法滞在・不法就労である可能性がある。
  • 企業側のリスク:不法就労助長罪で「懲役刑」や「罰金刑」が科される場合がある。
  • コンプライアンス強化:企業の社会的信用を守るため、確認体制の整備は不可欠。

2. 在留カード確認の基本手順

2-1 確認するタイミング

  1. 採用選考時(履歴書・面接時に確認)
  2. 内定通知前(在留資格の有効性をチェック)
  3. 雇用契約締結時(コピーを取得して保存)
  4. 在留期間更新時(期限切れ防止のため随時確認)

2-2 確認すべき項目

在留カード確認では、以下の項目を必ずチェックしてください。

  • 氏名・国籍・生年月日
  • 在留資格(例:技術・人文知識・国際業務、特定技能、留学など)
  • 在留期間(満了日)
  • 就労制限の有無(資格外活動許可の有無)
  • 在留カード番号
  • 交付年月日

3. 在留カードの真偽確認方法

3-1 目視で確認するポイント

  • ICチップ付きかどうか(偽造カードはICがない場合が多い)
  • ホログラム加工が正しく施されているか
  • フォントの違和感(偽造は文字間隔や印字が不自然な場合がある)

3-2 オンラインでの確認方法

出入国在留管理庁が提供する在留カード等番号失効情報照会サイトを活用すると、カード番号を入力するだけで有効性を確認できます。

参考リンク:


4. 企業担当者のための在留カード確認チェックリスト

採用前に必ず在留資格を確認する
在留期間満了日を記録し、更新スケジュールを管理する
在留カードのコピーを保管する(個人情報保護を遵守)
定期的に在留カードの有効性を再確認する
偽造防止チェックを行い、必要に応じて専門家に相談する


5. 在留資格別の就労可否

在留カードには「就労可否」が明記されており、資格によって働ける範囲が異なります。

在留資格就労の可否代表的な職種例
技術・人文知識・国際業務就労可ITエンジニア、通訳、営業職
特定技能1号・2号就労可介護、外食業、建設、農業など
留学原則不可(資格外活動許可があればアルバイト可)コンビニ、飲食店など
家族滞在原則不可(資格外活動許可で週28時間まで可)パート・アルバイト
短期滞在就労不可観光、親族訪問、商談など

6. 違反した場合の企業リスク

6-1 法的リスク

  • 不法就労助長罪(入管法第73条の2)に該当し、懲役3年以下または300万円以下の罰金
  • 企業の信用失墜や取引停止の可能性。

6-2 実務上のリスク

  • 労働基準監督署や入管からの監査対象となる。
  • 外国人本人の強制退去により人材確保が困難になる。

参考リンク:


7. 企業が取るべき実務対応

  1. 雇用契約書に在留資格条項を盛り込む
    • 在留資格に基づく就労であることを明記。
  2. 定期的な在留資格チェック体制を構築
    • 年1回の全社員チェックを推奨。
  3. 専門家(行政書士など)への相談
    • 更新・変更のサポートを依頼できる。

8. よくある質問(Q&A)

Q1:外国人アルバイトの在留カードも確認が必要ですか?
A:はい。留学生や家族滞在の場合、資格外活動許可がないとアルバイトはできません。必ず確認が必要です。

Q2:在留カードのコピーを取っても問題ありませんか?
A:はい。ただし、個人情報保護法に基づき、利用目的を明示し、厳重に管理してください。

Q3:在留期限切れに気づかず雇用してしまった場合どうなりますか?
A:企業が責任を問われる可能性があります。定期的なチェックと期限管理が不可欠です。


まとめ

外国人を雇用する企業担当者にとって、在留カードの確認は必須業務です。
不法就労を防ぐためには、以下の3点が特に重要です。

  1. 採用前・雇用中に必ず在留カードを確認する
  2. 在留期限の管理を徹底する
  3. 就労資格に合った業務で雇用する

外国人雇用は人材確保のチャンスですが、同時に入管法違反のリスクも伴います。
万全の確認体制を整え、必要に応じて専門家に相談することで、安心して外国人雇用を進めることができます。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
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代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法