駐車禁止違反は帰化申請に影響しますか?

1,駐車禁止違反は帰化申請に影響しますか?

(1)帰化許可要件

 駐車禁止違反が帰化申請に影響するかについて、まずは帰化が許可されるために充たすべき要件について検討します。外国人が日本国籍を取得するためには、原則として以下の要件を充足している必要があります。

「帰化許可要件」

①住所要件
引き続き5年以上日本に住所を有し5年のうち3年以上就労経験があることが要求されています。
「引き続き」とは在留が継続していることを意味します。出国日数が多い場合、具体的には連続して90日以上、連続していない場合でも年間で150日以上出国している場合は、実務上「引き続き」とは認められないと考えられています。
②能力要件
18歳以上であって、能力の準拠法である本国法上も成人に達していることが要求されています。
③素行要件
素行が善良であることが要求されています。いかなる者を素行善良とみるかについては、社会通念によって判断されます。
④生計要件
自己または生計を共にする配偶者やその他の親族の資産や収入によって生計を営めることができることが要求されています。
⑤重国籍防止要件
重国籍防止要件とは、帰化しようとするものが国籍を有せず、又は日本国籍取得によって現国籍を失うべきこととすることが要求されています。
⑥思想要件
日本国憲法施行の日以前において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないことが要求されています。
⑦日本語能力要件
基本的な日本語能力が要求されます。日本の小学校3年生レベル程度の日本語能力が必要です。

(2)駐車禁止違反と素行要件

 駐車禁止違反歴がある場合には、上記「帰化許可要件」で検討した③素行要件との関係で影響が出てきます。

 そこで、駐車禁止違反がある場合には、直ちに素行要件を充足できなくなるのかが問題となります。この点、一度の駐車禁止違反で直ちに素行善良が否定されるわけではありません。しかし、駐車禁止違反その他交通違反を繰り返している場合は、素行善良とは認められなくなります。

 では、どの程度交通違反を繰り返すと、素行善良とは認められなくなるのかが問題となります。この点、明確な基準が公表されているわけではありません。しかし、実務上は過去5年間に5回以上、過去2年間に2回以上、軽微な交通違反がある場合は素行善良とは認められなくなると考えられています。なお、特別永住者の場合は、一般の外国人と比較して交通違反歴について緩く審査されていますが、違反回数が多い場合は審査に不利益に働くことは言うまでもありません。

 よって、駐車禁止違反その他軽微な交通違反をあわせ、過去5年間に5回以上違反がある場合は、帰化申請が不許可となる危険性が大きいと考えます。なお、ここでいう交通違反は軽微な交通違反です。飲酒運転など重大な交通違反の場合は、一度でアウトです。

2,交通違反に関する証明はどうしますか?

 帰化申請において、申請人が運転免許を有している場合は、運転経歴に関する証明書を提出する必要があります。交通違反歴に関しては「運転記録証明書」を取得することによって確認することが出来ます。過去5年間の運転記録証明書を取得して提出する必要があるので、自身の無違反歴や違反の回数を証明することが出来ます。

3,交通違反が多い場合はどうしますか?

 過去5年間に5回以上交通違反歴がある場合は、帰化申請の時期をずらすことが好ましいと考えます。直近5年間に5回以上の交通違反がある場合は、帰化申請が許可される可能性は低いと考えます。申請時期を遅らせ、過去5年間の交通違反歴を少なくしてから申請することがベストであると考えます。

4,まとめ

 外国人が日本国籍を取得するためには、帰化許可要件を充足している必要があります。駐車禁止違反歴がある場合には、素行要件との関係で影響が出てきます。実務上は過去5年間に5回以上、過去2年間に2回以上、軽微な交通違反がある場合は素行善良とは認められなくなると考えられています。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法