特別永住者と永住者の違いとは?|在留資格・権利・義務を徹底比較
はじめに
日本には「永住者」と「特別永住者」という2つの在留資格があります。
どちらも長期的に日本に住むことが可能ですが、取得方法・権利・義務・更新の有無など、法律上の扱いに大きな違いがあります。
この記事では、出入国管理及び難民認定法や特別永住者に関する法律をもとに、両者の違いをわかりやすく解説します。
1. 永住者とは
永住者は、出入国管理及び難民認定法第22条に基づく在留資格です。
- 取得方法:法務大臣の許可(永住許可申請)
- 対象者:日本で長期間在留し、素行が善良で、独立生計を営める者
- 在留期間:無期限
- 更新:在留カードの更新(7年ごと)が必要
- 権利:就労制限なし、在留活動の制限なし
- 義務:住民登録・在留カード携帯義務あり
詳しくは以下の記事も参考にしてください。
➡ 永住ビザの条件を徹底解説|今すぐ知りたい取得要件・申請方法
2. 特別永住者とは
特別永住者は、「特別永住者に関する法律」に基づく資格で、主に戦前から日本に居住していた朝鮮半島・台湾出身者とその子孫が対象です。
- 取得方法:該当者は出生や届出により自動的に取得
- 対象者:日本国籍を失った旧植民地出身者とその子孫
- 在留期間:無期限
- 更新:在留カードの更新(7年ごと)が必要
- 権利:就労制限なし、活動制限なし
- 義務:一般の外国人に比べて退去強制の要件が極めて限定的
3. 永住者と特別永住者の比較表
項目 | 永住者 | 特別永住者 |
---|---|---|
法的根拠 | 出入国管理及び難民認定法第22条 | 特別永住者に関する法律 |
対象 | 永住許可を受けた外国人 | 旧植民地出身者とその子孫 |
取得方法 | 法務大臣への許可申請 | 出生・届出 |
在留期間 | 無期限 | 無期限 |
在留カード更新 | 7年ごと | 7年ごと |
就労制限 | なし | なし |
退去強制の対象 | 一定の犯罪等で可能 | ごく限られた場合のみ |
4. 法律上の大きな違い
- 取得経緯
- 永住者:申請が必要
- 特別永住者:歴史的経緯による付与
- 退去強制の要件
- 永住者:刑事罰などで退去の可能性あり
- 特別永住者:極めて限定的(政治犯等は対象外)
- 国際法的背景
- 特別永住者制度は戦後処理と国際約束に基づく特例措置
5. 申請・更新時の注意点
- 永住者は永住許可申請時に収入・納税・素行善良の証明が必須
- 特別永住者は原則申請不要だが、在留カード更新時に手続きが必要
- 両者とも在留カードを常時携帯する義務があります
6. 参考リンク
7. Q&A
Q1. 特別永住者は永住者に変更できますか?
A. 可能ですが、特別永住者の方が法的保護が強いため、変更するメリットはほぼありません。
Q2. 永住者は国籍取得(帰化)しやすいですか?
A. 他の在留資格よりは条件が緩くなる場合がありますが、別途帰化申請の審査が必要です。
Q3. 特別永住者はビザの更新は必要ですか?
A. 在留カードの更新は必要ですが、ビザ更新という形ではありません。
まとめ
- 永住者は申請によって法務大臣の許可を受けた外国人で、退去強制の対象になる場合があります。
- 特別永住者は歴史的経緯による特例資格で、法的保護が強く、退去強制はごく限定的です。
- いずれも日本で無期限に生活できますが、取得経緯や法的扱いは大きく異なります。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |