未成年者の帰化申請と保護者の不利益事由

1. 未成年者の帰化申請とは

未成年者(18歳未満)が日本国籍を取得する方法の一つに帰化申請があります。
一般的に、未成年者は単独で帰化申請を行うことはできず、親と同時に申請することが必要です。

未成年者の帰化申請は主に以下のケースで行われます。

  • 両親または片親が帰化申請する際に、子供も同時に申請する場合
  • 両親がすでに日本国籍を取得しており、子供のみが外国籍のままの場合
  • 片親が日本人で、もう片方の親の国籍を有している子供が日本国籍を希望する場

参考:法務省「帰化許可申請」公式ページ


2. 未成年者帰化申請の要件

未成年者の帰化申請では、成人の申請と異なる点があります。

基本要件

  1. 能力要件(行為能力がある(成人している)こと)
  2. 住所要件の緩和(日本での居住期間が短くても認められる場合がある)
  3. 素行善良要件(未成年でも素行は審査対象)

特例

日本国籍を持つ親の子供は、居住年数が短くても帰化が許可されやすくなります。
特に出生後から日本に在住している場合は、滞在期間が1年程度でも許可される例があります。


3. 保護者の不利益事由とは?

未成年者の帰化申請で重要なのは、保護者の状況が審査に大きく影響するという点です。
「保護者の不利益事由」とは、親権者が法律上・社会的に問題を抱えている状態を指します。

典型的な不利益事由の例

  • 税金の未納(所得税、住民税、国民健康保険料など)
  • 社会保険料の滞納
  • 重大な交通違反や前科
  • 安定した収入がない
  • 在留資格に関する違反(オーバーステイや偽装婚姻等)

なぜ影響するのか?

未成年者は自己責任で生計を立てられないため、保護者の経済状況・素行・法令遵守状況が直接的に審査対象となります。
例えば、親が税金を滞納している場合、子供の帰化申請も同時に不許可になる可能性があります。


4. 不利益事由がある場合の対応策

(1)税金や保険料の完納

帰化申請前に、未納分をすべて納付し、完納証明書を取得して添付します。

(2)違反歴の解消

過去の交通違反や軽微な前科でも、申請直前では不利になる場合があります。
一定期間(5~10年)を経過し、再犯がないことを証明することが重要です。

(3)安定収入の確保

保護者が安定した就労や事業を行っていることが、未成年者の生活基盤として評価されます。
雇用証明書や確定申告書を提出しましょう。


5. 実務ポイント(専門家視点)

  • 親だけでなく同居家族全員の状況を確認
  • 申請書類は正確性と一貫性が重要(住所や職歴の不一致は減点要因)
  • 保護者が外国籍の場合も、日本での在留状況と素行は厳しく見られる

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8. Q&A(よくある質問)

Q1. 保護者が税金を滞納している場合、子供だけ帰化申請できますか?
A. 原則難しいです。未成年者の帰化申請では保護者の経済状況が重視されるため、まずは滞納を解消してから申請するのが安全です。

Q2. 保護者が外国人でも帰化は可能ですか?
A. 可能です。ただし、一方の親が日本人又は親と一緒に同時申請する必要があります。保護者が素行善良であることが求められます。

Q3. 未成年者だけが先に帰化することはできますか?
A. 一方の親が日本人の場合は可能です。両親が外国人の場合は、一般的には保護者と同時申請します。


まとめ

未成年者の帰化申請は、本人の要件だけでなく保護者の状況が審査結果を左右します。
特に税金・社会保険料の未納や違反歴は不利益事由となりやすいため、申請前に必ず解消しましょう。
専門家のサポートを受ければ、必要書類や不利益事由の整理がスムーズになります。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法