永住者の海外転出届と帰国後の手続き完全ガイド|永住権は失うのか?


1. はじめに

日本の**永住者ビザ(永住権)**を持つ方が、長期間海外に滞在する場合、役所での「海外転出届」や入管での「再入国許可」などの手続きが必要です。
本記事では、海外転出届の提出方法、永住権が失われるケース、帰国後の住民登録手続きまでを、実務経験に基づいてわかりやすく解説します。


2. 永住者が海外に行く際に必要な手続き

2-1. 海外転出届とは?

  • 提出先:市区町村役場
  • 提出時期:海外へ出発する日の14日前から
  • 対象者:1年以上海外に滞在予定の人(永住者・日本国籍者ともに対象)

海外転出届を提出すると、日本の住民票は消除されますが、永住者の在留資格自体はこの時点では失われません


2-2. 再入国許可の取得

永住者が日本を出国する場合、**再入国許可(特別再入国許可を含む)**を取らないと、帰国時に永住権が失われる可能性があります。

種類有効期間手続き方法
みなし再入国許可最長1年出国審査時に「再入国出国記録」にチェック
通常再入国許可最長5年(永住者)出国前に入管で申請

参考:出入国在留管理庁|再入国許可申請


3. 永住権は失われるのか?

3-1. 失う可能性があるケース

  • 再入国許可の有効期限を過ぎて帰国
  • 海外滞在が長期化し、生活拠点が日本にないと判断される場合

特に、みなし再入国許可は1年以内の帰国が条件なので注意が必要です。期限を過ぎると、永住権は自動的に消滅します。


3-2. 永住権維持のポイント

  • 出国前に再入国許可を必ず取得
  • 日本での住所・納税・資産関係を維持
  • 可能であれば年1回以上帰国して日本との生活実態を証明

4. 帰国後の手続き

  1. 住民登録(転入届)
    • 海外転出届を出していた場合、帰国後14日以内に市区町村で転入届を提出
  2. 健康保険・年金の再加入
    • 国民健康保険、国民年金の再加入が必要(会社員は勤務先で社会保険手続き)
  3. マイナンバーカード再発行
    • 海外転出で失効している場合は再発行

5. 実務でよくある失敗例

  • 出国時に再入国許可を忘れ、帰国時に永住権を失った
  • 特別再入国許可の期限を1日過ぎて失効
  • 海外転出届を出さずに住民税や保険料が発生し続けた

6. Q&A(よくある質問)

Q1. 海外転出届を出すと永住権は失われますか?
A. いいえ。海外転出届は住民登録の手続きであり、永住資格とは別です。ただし、再入国許可を取らない場合は永住権を失う可能性があります。

Q2. みなし再入国許可で1年以上海外にいるとどうなりますか?
A. 永住資格は自動的に消滅します。やむを得ない理由があっても、原則延長はできません。

Q3. 永住権を失った場合、再取得はできますか?
A. 可能ですが、最初から永住申請手続きをやり直す必要があり、審査は厳しくなります。


7. まとめ

  • 永住者が海外に行く場合は再入国許可の取得が必須
  • 海外転出届は住民登録の抹消手続きであり、永住権とは別
  • 帰国後は住民登録・保険・年金の再加入が必要
  • 永住権を維持するには、日本との生活実態を継続的に保つことが重要

関連記事

無料相談

まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。
 
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法