在留資格『技術・人文知識・国際業務』とは?取得のポイント3つを徹底解説
目次
はじめに
外国籍のサラリーマンの中で最も多く取得されている就労ビザの一つが、在留資格『技術・人文知識・国際業務』です。日本に在留する外国人の約10%がこのビザを持っています。
この記事では、この在留資格がどのようなものか、誰が取得できるのか、どこでどのように働けるのかを、3つのポイントに分けてわかりやすく解説します。
1. 在留資格とは?基本を押さえよう
「在留資格」とは、外国人が日本に合法的に入国し、滞在・活動できる範囲を示すものです。2024年現在、約29種類あります。
日本で活動するすべての外国人は、必ずいずれかの在留資格を持ち、それに応じた活動内容で生活しています。
例えば、留学生は「留学」ビザ、エンジニアとして就職したら「技術・人文知識・国際業務」ビザに切り替えるなど、活動に合わせて変更します。
詳細は以下の記事も参考にしてください。
▶【専門家監修】在留資格の種類と全一覧|自分に合ったビザを見つける徹底ガイド
2. 在留資格『技術・人文知識・国際業務』とは?
この資格は主に「大学で学んだ専門知識や技術、または外国文化に基づく業務」に従事する外国人が対象です。
ポイント①:どんな外国人が働くのか
- 技術・人文知識の場合
- 関連分野を専攻して大学卒業または同等の教育を受けていること
- 専修学校専門課程の修了(認定校の場合は柔軟に判断)
- 10年以上の実務経験(教育期間含む)
- 国際業務の場合
- 関連業務で3年以上の実務経験があること
- 翻訳・通訳や語学指導の場合は大学卒業以上が必要(専門卒のみで未経験は不可)
専門学校卒業者は2024年2月より関連性の判断基準が緩和されており、認定専修学校を修了した方は実務との関連性を柔軟に評価されます。
詳細は法務省・出入国在留管理庁の公式資料をご確認ください。
▶技術・人文知識・国際業務の在留資格について
ポイント②:どんな会社で働くのか
「本邦の公私の機関」(企業、国・地方自治体、独立行政法人、任意団体など)と継続的な契約(雇用契約、業務委託、派遣契約等)を結んで働く必要があります。
複数の企業と継続的な契約を結ぶフリーランスも該当する場合があります。
契約先企業は法令遵守・営業許可を取得し、経営が安定していることが望まれます。
ポイント③:どんな仕事をするのか
「単純労働」や「マニュアルでできる作業」は対象外です。
代表的な業務例
- 技術分野
- システムエンジニア、研究者、CADオペレーター、設計開発、生産管理
- 人文知識分野
- 法人営業、マーケティング、企画・広報、経理・会計、マネージャー業務
- 国際業務分野
- 翻訳・通訳、語学指導、海外取引業務、外国文化を活かしたデザインや商品開発
また、研修目的の実務経験も一定期間は認められますが、長期の研修の場合は審査が厳しくなるため注意が必要です。
なお、日本人と同等以上の報酬が支払われることが労働基準法により必須条件となっています。
3. 許可・不許可事例で理解する審査ポイント
許可事例(一部抜粋)
- 大学で電気通信工学を専攻し、関連会社でプログラマーとして仕様調整や仕様書作成に従事
- 経営学専攻者が輸入販売会社で本国との取引通訳・翻訳業務に従事
- 観光学専攻者が大型ホテルの総合職(主に通訳・予約管理・コンシェルジュ業務)
不許可事例(一部抜粋)
- 会計事務所の契約を装って料理店で働くケース(虚偽申請は厳禁)
- 弁当箱詰めなどの単純労働での申請
- 日本人従業員より著しく低い報酬での申請(最低賃金・同等報酬義務違反)
4. 留学生からの切替時の注意点
留学生が『技術・人文知識・国際業務』に切替える際は、以下のポイントにも注意が必要です。
- 留学中の出席率が80%未満など著しく低い場合、不許可の可能性が高い
- アルバイトが週28時間を超えている場合は在留管理上問題視される
まとめ
在留資格『技術・人文知識・国際業務』は、大学や専門学校で習得した専門知識や実務経験を活かし、日本企業等と継続的契約のもとで専門性のある業務を行う外国人向けの就労ビザです。
単純労働は認められず、日本人と同等以上の報酬が条件です。業務内容や契約先の実態、報酬水準の審査は厳しいため、申請時には専門家の相談が推奨されます。
参考リンク
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |