医療滞在ビザと短期滞在ビザの違いとは?治療目的ならどちらが適切?
「日本で治療を受けたいが、短期滞在ビザで問題ないのか?」
この疑問は、多くの外国人患者や支援者が直面する重要なポイントです。
結論から言えば──
軽い診察や健康診断であれば短期滞在ビザでも可能ですが、
本格的・計画的な治療を目的とする場合は医療滞在ビザが必要です。
この記事では、両ビザの違いと使い分けを徹底解説します。
目次
医療滞在ビザ(特定活動)とは?
医療滞在ビザとは、日本の医療機関で本格的な治療や高度な医療サービスを受ける外国人向けの在留資格です。
法務省が定めた「特定活動(告示25号・26号)」に分類されます。
▼ 特徴
項目 | 内容 |
---|---|
対象 | 治療・先進医療等を目的とする患者およびその同伴者 |
在留資格 | 特定活動(告示25号:患者、26号:同伴者) |
滞在期間 | 3月、6月、1年、2年、3年、4年、5年又は5年を超えない範囲で法務大臣が個々に指定する期間(条件により延長可) |
必要書類 | 医療機関の受入証明書、身元保証書、治療計画書等 |
▼ 対象となる医療内容
- がん治療、再生医療、手術など高度医療
- 長期の入院治療・リハビリ
- その他入院が必要な医療
参考:出入国在留管理庁|在留資格「特定活動」(医療滞在及びその同伴者)
短期滞在ビザとは?
短期滞在ビザは、観光・商用・親族訪問など一時的な滞在を目的としたビザです。
▼ 特徴
項目 | 内容 |
---|---|
対象 | 観光、会議参加、親族訪問、短期滞在 |
滞在期間 | 15日、30日、90日(延長不可) |
医療行為 | 軽度の診察・急病時の治療のみ可 |
使用例 | 旅行中の健康診断、人間ドック、歯科検診など(短期滞在の一環として) |
【重要】短期滞在ビザで治療は可能か?
受けられる医療(合法)
- 旅行中に風邪をひいて病院を受診
- 健康診断・人間ドックを受ける(観光の一部として)
- 急病やけがなど緊急の治療
許可されないケース(違法または不適切)
- 入国目的が「治療」である場合(がん治療・手術など)
- 滞在中に入院や長期療養が必要なケース
- 医療費補助や支援を目的とした渡航
短期滞在ビザでの来日が治療を目的としていると判断された場合、入国拒否のリスクがあります。
比較一覧:医療滞在ビザと短期滞在ビザの違い
比較項目 | 医療滞在ビザ(特定活動) | 短期滞在ビザ |
---|---|---|
渡航目的 | 治療・検査・療養 | 観光・訪問・商用等 |
医療内容 | 計画的・高度な医療OK | 軽度の診察のみ |
滞在期間 | 最長6か月(延長可) | 最長90日(延長不可) |
同伴者 | 同伴者ビザ(26号)あり | 同伴者としての滞在は難しい |
書類要件 | 医療機関の証明書、保証人等 | 滞在予定表、資金証明等 |
医療滞在ビザが必要なケースとは?
以下のいずれかに該当する場合、短期滞在ビザではなく医療滞在ビザが適切です。
ケース | 医療滞在ビザが必要 |
---|---|
手術やがん治療などを受ける | ✅ |
受診・通院を複数回予定している | ✅ |
家族が付き添う必要がある | ✅ |
滞在期間が90日を超える | ✅ |
同伴者向けビザ(特定活動告示26号)も用意
治療を受ける患者に付き添う家族や介助者も、**医療滞在同伴者ビザ(特定活動26号)**を申請できます。
- 滞在期間:患者のビザに準じる
- 就労不可・単独活動不可
関連記事:医療滞在同伴者ビザ(特定活動告示26号)申請の全手順と必要書類ガイド
よくある質問(FAQ)
Q. 健康診断だけなら短期滞在ビザで大丈夫?
はい。観光の一環として健康診断や人間ドックを受けることは可能です。
Q. 日本滞在中に病気が見つかった場合は?
緊急性のある治療は可能です。長期治療となる場合は在留資格変更申請をし、医療滞在ビザを取得し直す必要があります。
まとめ|「診察OK=治療もOK」ではない
短期滞在ビザでも診察や健康診断は可能。
しかし計画的な治療目的での入国には医療滞在ビザが必須です。
入国目的と実際の行動が一致しないと、ビザ違反と見なされるリスクもあります。
正しいビザを選択することが、日本滞在と治療を成功させる第一歩です。
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参考リンク
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |