定住者ビザ(在留資格「定住者」)の身元保証人とは何ですか?

1,定住者ビザとはどんなビザですか?

(1)概要

 定住者ビザとは、在留資格「定住者」)のことです。定住者ビザについて、出入国管理及び難民認定法は、「法務大臣が申請人の特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して日本での居住を認める」と規定しています。このように法は、定住者ビザについて抽象的に定めています。申請人の特別な理由は、申請人個々人によって異なるため、許可要件も個々人によって異なる部分があります。

(2)種類

 定住者ビザは、法務大臣の告示によって定められた定住者告示と定住者告示に該当しない告示外定住者に大別されます。このうち、定住者告示は1号~8号において具体的な内容が定められています。この法務大臣の告示によって定められた定住者は、各号によって、その内容と許可要件は異なってきます。

2,身元保証人とは何ですか?

 定住者ビザ申請では、身元保証人を立てることが要求されます。そして、定住者ビザ申請の必要書類の1つに身元保証書があります。この身元保証書は、定住者として日本に在留する外国人の身元を明らかにすることを目的としています。また、身元保証人の責任は外国人に対する「滞在費」と「帰国費用」、「法令順守」を保証することが内容となります。

(1)身元保証人になれる人

 誰が定住者の身元保証人となることができるかについては、定住者に種類によって異なってきます。以下では、各々のタイプによって定住者となれる者について検討します。

①日系3世の場合

 日本に居住している日本人又は永住者が身元保証人となります。

②日系2世や3世の配偶者の場合

 配偶者である日系2世や日系3世が身元保証人となります。

③「永住者」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」又は「特別永住者」の扶養を受けて生活する、未成年で未婚の実子である場合

 申請人の扶養者が身元保証人となります。

④「日本人」、「永住者」、「定住者」又は「特別永住者」の扶養を受けて生活する6歳未満の養子である場合

 申請人の扶養者が身元保証人となります。

(2)身元保証人の条件

身元保証人の責任は、「滞在費」や「帰国費用」、「法令順守」を保証することです。よって、身元保証人がこの責任を果たすためには、一定の収入があることや素行善良であることが要求されます。

そのため、身元保証人には職業や収入を証明する資料の提出が要求されます。ただし、日系3世の場合は、本人の収入や経費支弁者の職業や収入の証明書類の提出が必要となるため、身元保証人の職業や収入を証明する資料の提出は必要とされていません。

(3)身元保証人の責任の性質

 身元保証人の責任は、「滞在費」や「帰国費用」、「法令順守」を保証することです。この責任は、あくまで道義的な責任に留まり法的責任ではありません。すなわち、身元保証人の責任を怠った場合でも、法的に支払いを強制される又は刑罰を科せられるといったことはありません。せいぜい入管からの指導が入る程度となります。

 道義的な責任とは、滞在費や帰国費用が必要になった場合や外国人の生活上の法令順守について、保証することを法務大臣に約束するといった責任になります。このように、法的な責任ではないといっても、身元保証人の責任を怠った場合は、全く不利益がないわけではありません。道義的責任とは言え、身元保証人の責任を怠った場合は、身元保証人としての適格性がないと判断されます。この場合は、以後身元保証人となれないなど社会的信用を低下させる不利益があると考えられます。

日本人や永住者に身元保証人を依頼する際には、この身元保証人の責任の性質について説明しておくことが好ましいと考えます。これによって、身元保証人を引き受けてくれやすくなるでしょう。

 (4)身元保証人の必要書類

 身元保証人は滞在費や帰国費用の保証といった帰任を負うため、以下の書類が必要になります

「身元保証人の必要書類」

・身元保証書
・収入や職業を証明する書類
 在職証明書や納税証明書など

(5)身元保証人を用意できない場合

 どうしても身元保証人を用意できない場合は、身元保証書の代わりに身元保証人を立てられない旨を記載した理由書を提出します。ただし、身元保証人を立てられない場合は、審査との関係では非常に不利です。申請自体はできますが、不許可の可能性が高いと考えます。

3,まとめ

 定住者ビザ申請では、身元保証人を立てることが要求されます。身元保証人の責任は、「滞在費」や「帰国費用」、「法令順守」を保証することです。よって、身元保証人がこの責任を果たすためには、一定の収入があることや素行善良であることが要求されます。また、身元保証人の責任は、あくまで道義的な責任に留まり法的責任ではありません。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法