高度専門職ビザ(在留資格「高度専門職」)は家事使用人を帯同できますか?
目次
1,高度専門職ビザとはどんなビザですか?
高度専門職ビザは、在留資格「高度専門職」のことで、就労ビザの1つです。高度専門職ビザは1号と2号に分けられ、高度専門職ビザ1号は、学歴や職歴その他年収等の項目ごとにポイントを割り振り、その合計ポイントが70点以上に達した場合に付与されます。そして、高度専門職ビザ1号はさらにイロハの3種類に分けることができます。
高度専門職ビザは、高度な専門能力を有する外国人を受入れることによって、日本の学術研究や経済の発展に寄与することを目的としています。このような背景から、高度専門職ビザは他の就労ビザより活動制限が緩和され、5年の在留期間が付与され複合的な活動が認められるなど、他の就労系の在留資格と比較して優遇されています。
2,高度専門職ビザは家事使用人を帯同できますか?
(1)帯同の可否
高度専門職ビザは、一律に5年の在留期間が認められることや親の帯同が認められるなど、様々な優遇措置が認められています。この優遇措置の1つに、家事使用人の帯同があります。高度専門職ビザは、一定の条件を充たすことによって、外国人家事使用人を帯同することが認められています。
(2)帯同できる家事使用人の種類
高度専門職ビザでは家事使用人の帯同が認められていますが、その家事使用人は「入国帯同型」と「家事事情型」に分けられます。以下では各々検討します。
①「入国帯同型」
入国帯同型家事使用人は、高度専門職外国人と同伴若しくは後から個別に日本に入国する家事使用人を指します。入国帯同型家事使用人は、雇用主である高度専門職外国人と共に帰国することが予定され、日本滞在中に雇用主を変更することは認められていません。
②「家事事情型」
家事事情型家事使用人は、高度専門職外国人に13歳未満の子供がいる場合に認められる家事使用人を指します。高度専門職外国人の配偶者が家事に復帰できるようになった場合や、子供が13歳以上になった場合は、在留期間の更新はできません。なお、雇用主を変えることは認められます。
3,高度専門職ビザで家事使用人を帯同する要件は何ですか?
高度専門職外国人が家事使用人を帯同するための要件は、「入国帯同型」「家事事情型」によって異なってきます。以下では、各々検討します。
(1)「入国帯同型」家事使用人の要件
入国帯同型家事使用人の帯同が認められるためには、以下の要件の全てを充足している必要があります。
「入国帯同型家事使用人の要件」
①高度外国人材に雇用されて、当該雇用主である高度外国人材と共に本邦に入国を予定していること。 ②雇用主である高度外国人材が申請人以外に家事使用人を雇用していないこと ③申請人の入国の時点において、雇用主である高度外国人材の本邦入国後に予定する世帯年収(※1)が1,000万円以上であること。 ④雇用主である高度外国人材が使用する言語により日常の会話を行うことができること。 ⑤月額20万円以上の報酬を受けること。 ⑥18歳以上であること。 ⑦上陸申請を行う直前まで継続して1年以上(※2)当該雇用主である高度外国人材に個人的使用人として雇用されていること。 ※1 「世帯年収」とは、高度外国人材が受ける報酬の年額と、当該外国人の配偶者が受ける報酬の年額を合算したものをいい、配偶者以外の者の報酬などは含まれません。 ※2 「1年以上」の起算日は、申請人の入国日とします。 |
②にあるように、雇用主である高度専門職外国人が申請人以外の家事使用人を雇用することは認められません。つまりは、日本では複数人の家事使用人を雇用することはできません。
また、⑦にあるように、高度専門職外国人と家事使用人との雇用関係は、上陸前1年以上継続していることが必要です。入国前数か月しか雇用されていない家事使用人は帯同が認められません。
(2)「家事事情型」家事使用人の要件
家事事情型家事使用人の帯同が認められるためには、以下の要件の全てを充足している必要があります。
「家事事情型家事使用人の要件」
①雇用主である高度外国人材が申請人以外に家事使用人を雇用していないこと。 ②申請人の入国の時点において、雇用主である高度人材外国人の本邦入国後に予定する世帯年収(※1)が1,000万円以上であること。 ③雇用主である高度外国人材が、申請人の入国の時点において、13歳未満(※2)の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者を有すること。 ④雇用主である高度外国人材が使用する言語により日常の会話を行うことができること。 ⑤月額20万円以上の報酬を受けること。 ⑥18歳以上であること。 ※1 「世帯年収」とは、高度外国人材が受ける報酬の年額と、当該外国人の配偶者が受ける報酬の年額を合算したものをいい、配偶者以外の者の報酬などは含まれません。 ※2 「13歳未満」については、申請人の入国日における年齢とします。 |
③にあるように、「13歳未満の子」又は「病気等により日常の家事に従事することができない配偶者」がいることが必要になります。ただし、入国帯同型とはことなり、継続的な雇用関係は問題となりません。
4,家事使用人のビザ申請の必要書類は何ですか?
家事使用人がビザ申請する際に必要な書類は、「入国帯同型」と「家事事情型」とで異なってきます。以下では、各々検討します。
(1)「入国帯同型」家事使用人の必要書類
「入国帯同型」家事使用人の必要書類は以下の通りです。
①在留資格認定証明書交付申請書(「特定活動」の様式・「17上記以外の在留資格・入国目的」を選択) ②写真(縦4cm×横3cm) ③返信用封筒 ④申請人の活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書 ⑤雇用主である高度外国人材の在留資格認定証明書交付申請の受理票写し又は特定認定証明書写し(※1) ⑥雇用主である高度外国人材の世帯年収(予定)を証する文書 ⑦雇用主である高度外国人材が申請人以外に家事使用人を雇用していない旨を記載した文書 ⑧雇用主である高度外国人材が日常生活において使用する言語について会話力を有することを明らかにする資料 ⑨雇用契約書(写し)及び労働条件を理解したことを証する文書(※2) ⑩雇用主である高度外国人材が出国する場合は、その者の負担により共に出国することが予定されていることを誓約する文書(※3) ⑪上陸申請を行う直前までに継続して1年以上雇用されていることを明らかにする資料(雇用契約のの写し等) ※1 高度外国人材と同時に申請する場合は不要 ※2 高度外国人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度における優遇措置用の雇用契約書を使用 ※3 雇用契約書に当該条項がある場合は不要 |
高度専門職外国人に付随して求められるため、雇用主が高度専門職外国人であることを証明する資料が必要になります。
(2)「家事事情型」家事使用人の必要書類
「家事事情型」家事使用人の必要書類は以下の通りです。
①在留資格認定証明書交付申請書(「特定活動」の様式・「17上記以外の在留資格・入国目的」を選択) ②写真(縦4cm×横3cm) ③返信用封筒 ④申請人の活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書 ⑤雇用主である高度外国人材に係る次のいずれかの資料 (1)高度外国人材の在留カード又はパスポートも写し (2)当該高度外国人材と共に入国する場合は、当該高度外国人材に係る在留資格認定証明書交付申請の受理票写し又は特定認定証明書写し(※1) ⑥雇用主である高度外国人材の世帯年収(予定)を証する文書 ⑦雇用主である高度外国人材が申請人以外に家事使用人を雇用していない旨を記載した文書 ⑧雇用主である高度外国人材が日常生活において使用する言語について会話力を有することを明らかにする資料 ⑨雇用契約書(写し)及び労働条件を理解したことを証する文書(※2) ⑩高度外国人材が13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者を有することを証する文書 ※1 高度外国人材と同時に申請する場合は不要 ※2 高度外国人に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度における優遇措置用の雇用契約書を使用 |
雇用主が高度専門職外国人であることを証明する資料に加え、「高度専門職外国人の世帯に13歳未満の子、もしくは病気等により家事従事が難しい配偶者の存在」を証明していく必要があります。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |