企業内転勤ビザ(在留資格「企業内転勤」)と経営管理ビザの違いは何ですか?

1,外国人の法人代表に必要なビザは何ですか?

 外国人を日本法人の代表者とする場合に必要なビザは、その権限や役割の性質によって、以下の2つのいずれかの在留資格が必要になります。

(1)企業内転勤ビザ

 企業内転勤ビザとは、在留資格「企業内転勤」のことです。企業内転勤ビザは、企業内の人事異動により外国の事業所から日本の事業所に転勤する専門技術者を受け入れ、国際展開する企業活動に対応することを目的としています。「外国の事業所」とは、日本企業の事業所又は外資企業の事業所のどちらでも問題ありません。また、株式会社などの民間企業にとどまらず、独立行政法人等の公的法人も含まれます。

(2)経営管理ビザ

経営管理ビザとは、在留資格「経営・管理」のことで、就労ビザの1つです。入管法は経営管理ビザについて「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」(入管法別表1の2)と定め、外国人が日本で事業の経営や管理を行うことを認めています。経営管理には、新規事業を立ち上げる場合のみならず、既存の事業に参画する場合も含まれます。

2,企業内転勤ビザと経営管理ビザの違いは何ですか?

 企業内転勤ビザを経営管理ビザには、以下のような違いがあります。

(1)在留できる期間

 経営管理ビザの場合は、在留期間に上限は設けられていません。在留期間の更新が認められる限り、永続的に在留することが認められます。

 これに対して企業内転勤ビザは、「期間を定めて」日本に転勤する場合に認められる在留資格です。現行の入管法上は「期間を定めて」について具体的な期間を明示してはいませんが、かつては「5年を超えない」と定められていました。よって、企業内転勤ビザは在留期間に上限のある在留資格になります。なお、企業内転勤ビザを取得するためには、外国の事業所で1年以上同種の業務に従事していることが要求されています。

(2)活動内容

 経営管理ビザで許容される活動は、経営と管理です。よって、申請する外国人が経営者又は管理者である必要があります。

 これに対して、企業内転勤ビザで許容される活動は、技術人文知識国際業務ビザと同じ内容になります。

(3)日本の事業所の形態

 経営管理ビザは、経営や管理に従事する事業所が日本に所在することが必要です。もっとも、当該事業所が外国の事業所との間に資本的関係があるといったことは要求されません。日本の事業所は、当該事業ができる施設を備えた事業所であるかどうかが問題となります。外国会社が日本法人を設立する場合などは経営管理ビザが適しているといえます。

 これに対して、企業内転勤ビザは外国人企業内転勤者に付与される在留資格です。よって、外国の事業所と日本の事業所には資本的関係性があることが必要となります。したがって、企業内転勤ビザを申請する場合は、日本の事業所と外国の事業所との資本的関係性を証明していく必要があります。外国会社が日本に駐在事務所を設立する場合などは、企業内転勤ビザが適しているといえます。

(4)要件の違い

 経営管理ビザでは、事業所要件として事業所に独立性が認められる必要があります。バーチャルオフィスや自宅兼事業所では、事業所の独立性が認められないとして不許可となる可能性が大きいと考えます。また、経営管理ビザの申請では事業の継続性や安定性が認められる必要があります。事業計画書などを作成して、事業の継続性や安定性が認められることを主張していく必要があります。

 企業内転勤ビザの場合は、外国の事業所において日本で従事する業務と同種の業務に従事していたことが要求されます。企業内転勤ビザで従事することができる業務は、技術人文知識国際業務ビザと同じ業務になります。よって、外国の事業所で単純労働をしている外国人を招聘して日本で単純労働に従事することができません。また、企業内転勤ビザは、企業内転勤者に認めらえるビザであるため、外国会社と日本の事業所との間に資本的関係性があることが必要となります。よって、企業内転勤ビザでは、何ら資本関係のない他の会社に転職することはできません。

3,企業内転勤ビザ申請の必要書類は何ですか?

 企業内転勤ビザ申請に必要な書類は、企業のカテゴリーによって異なってきます。企業内転勤ビザ申請に必要な書類は以下の通りです。

「すべてのカテゴリーの必要書類」

①在留資格認定証明書交付申請書
 地方出入国在留管理官署や、出入国在留管理庁のホームページから、取得することができます。
② 証明写真(縦4cm×横3cm)
  写真に不備があると、取り直しが必要になりますので、注意しましょう。
 帽子などは被らず、鮮明で背景のない、3か月以内に撮影されたもの。裏面に氏名を記載してください。
③ 返信用封筒
 返信先の住所を明記、404円分の切手を貼付。返信は、簡易書留での郵送。

「上場企業の場合の必要書類」

・上場していることを証明するための資料(写し)
・四季報(写し)

「前年分の源泉聴取税額1500万円以上の企業の場合の必要書類」

・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

「前年分の源泉聴取税額1500万円未満の企業の場合の必要書類」

①申請理由書
②直近の決算報告書
③事務所の不動産賃貸借契約書の写し
④外国法人及び日本法人の会社案内
⑤前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
⑥役員として転勤する場合
・役員報酬を決議した株主総会議事録の写し
⑦同一法人間での転勤の場合
・外国法人の支店の登記事項証明書
・転勤命令書又は辞令の写し
⑧日本法人への転勤の場合
・日本法人の登記事項証明書
・雇用契約書の写し
・日本法人と出向元の外国法人との出資関係を証明できる資料

「新設会社の場合の必要書類」

・申請理由書
・事業計画書
・事業所の不動産賃貸契約書の写し
・外国法人及び日本法人の会社案内
・給与支払事務所等の開設届書の写し
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の写し又は直近3か月分の給与所得
・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し)
 源泉徴収の免除を受ける場合は、外国法人の源泉徴収に対する免除証明書も必要になります。

4、企業内転勤ビザ申請の流れはどうなりますか?

 企業内転勤ビザ申請は、以下の手順で進むことになります。

手順1 書類収集と作成

 必要書類を収集し作成します。

手順2 在留資格認定証明書交付申請

 会社の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署へ、必要書類を提出して申請します。審査期間中に追加書類の提出を求められることもあります。提出期限までに提出してください。審査期間は1~3か月程度です。

手順3 在留資格認定証明書交付

 審査の結果許可された場合は、在留資格認定証明書が郵送されてきます。在留資格認定証明書の有効期間は3か月です。よって、3か月以内に入国する必要があります。

手順4 査証申請

 在留資格認定証明書を、外国の申請人の下に郵送します。郵送された在留資格認定証明書を、母国の日本国大使館又は領事館に提出して査証申請します。審査期間は1週間~2週間程度です。

手順5 日本入国

 査証申請が許可された場合は、パスポートに査証が貼られます。在留資格認定証明書の有効期間3か月以内に日本に入国してください。

5,経営管理ビザ申請の必要書類は何ですか?

 経営管理ビザ申請に必要な書類は、企業のカテゴリーによって異なってきます。経営管理ビザ申請に必要な書類は以下の通りです。

「すべてのカテゴリーの必要書類」

・在留資格認定証明書交付申請書
・証明写真(縦4cm×横3cm)
・返信用封筒

「上場企業の場合の必要書類」

・四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
・高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業であることを証明する文書
・上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書

「前年分の源泉徴収税額1500万円以上の企業の場合の必要書類」

・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
・在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書

「前年分の源泉徴収税額1500万円未満の企業の場合の必要書類」

・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
・申請人の活動内容等を明らかにする資料
・日本において管理者として雇用される場合、事業の経営又は管理について3年以上の経験を有することを証明する文書
・事業内容を明らかにする資料
・事業規模を明らかにする資料
・事業所用施設の存在を明らかにする資料
・直近の年度の決算文書の写し

「新設会社の場合の必要書類」

・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
・申請人の活動内容等を明らかにする資料
・日本において管理者として雇用される場合、事業の経営又は管理について3年以上の経験を有することを証する文書
・事業内容を明らかにする資料
・事業規模を明らかにする資料
・事業所施設の存在を明らかにする資料
・直近の年度の決算文書の写し
・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料