永住申請と外国人の年金加入義務と未納のリスク|未加入は不許可の原因に?

はじめに

日本で長期的に生活する外国人の多くが目指す「永住ビザ(永住許可)」。永住権を取得すれば、在留期間の更新が不要になり、就労制限もなくなるため、多くの在留外国人にとって大きな目標です。

しかし、永住申請には「年金の加入・納付状況」が厳しくチェックされることをご存じでしょうか?
年金未納や未加入があると、永住許可が不許可となるケースも少なくありません。

本記事では、外国人の年金加入義務と、永住申請時における年金未納のリスクについて、行政書士の視点から詳しく解説します。


1. 外国人にも年金加入義務はあるのか?

日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人は、国民年金法・厚生年金保険法に基づき、年金制度に加入する義務があります。これは外国人も例外ではありません

主な年金制度と加入対象

年金制度加入対象管轄
国民年金(第1号被保険者)自営業者・学生・無職の人市区町村
厚生年金(第2号被保険者)会社員・公務員など勤務先を通じて加入

たとえば、留学生や短期滞在者であっても、住民票を有し、在留資格が3ヶ月を超える場合は、国民年金への加入が義務づけられます。

参考リンク:
日本年金機構「外国人の方の年金制度」


2. 永住申請と年金納付要件|どこまでチェックされる?

永住申請では、過去の年金保険料の納付状況が審査対象になります。具体的には:

  • 過去2年分の年金納付記録(原則)
  • 状況によっては過去5年~10年分の記録を提出するよう求められることも

年金納付が確認できない場合、永住許可が却下される可能性が高くなります。

審査時に求められる書類

  • 年金記録(ねんきん定期便/年金加入記録回答票)
  • 納付書・領収書の写し
  • 納付免除申請の結果通知

関連記事:
永住許可の必要書類を徹底解説|これで申請も安心!


3. 年金未納・未加入がある場合の永住審査リスク

年金未納がある場合、以下のようなリスクが考えられます:

審査で「社会保険義務違反」と判断される

加入義務があるにも関わらず未加入・未納であると、法令順守の意識が低いとみなされます。

納付状況の証明が困難

長期間未納が続いている場合、さかのぼって納付できないこともあり、申請のチャンスを逃すことに。

永住ではなく「在留期間更新」での対応を求められる

不許可になれば、永住申請を再チャレンジするまでに数年かかるケースも。


4. 年金未納がある場合の対処法とアドバイス

過去の未納分を確認する

ねんきんネット」や最寄りの年金事務所で自分の年金納付状況を確認しましょう。

ねんきんネット公式ページ

納付猶予・免除制度を活用

正当な理由がある場合、納付免除制度を利用することで、**未納ではなく「免除扱い」**となります。

日本年金機構|国民年金保険料の免除・猶予制度

行政書士・専門家に相談する

永住申請前に、専門家に相談して「リスクの棚卸し」と「改善方法」を明確にしておくことが重要です。


5. まとめ|永住を目指すなら年金対策は必須!

永住申請においては、年金加入・納付状況のチェックは非常に厳格です。未納や未加入があると、どれほど他の条件を満たしていても、不許可となるリスクが高まります。

早めに年金状況を確認し、必要があれば専門家に相談することが、永住許可への最短ルートです。


よくある質問(FAQ)

Q. 年金を未納のまま放置していたが、今からでも永住申請できますか?

→ 状況によります。過去2年分をすぐに納付・免除申請し、申請時に説明文書を添えることで審査に通る可能性はあります。

Q. 厚生年金は会社が手続きしてくれるはずでは?

→ 原則そうですが、一部の中小企業では未加入のケースも。会社に確認することが重要です。


関連リンク・参考資料

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法