1,婚姻手続は日本とノルウェーの両国でする必要がありますか?

 配偶者ビザは、日本国法及びノルウェー婚姻法の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とノルウェー人が国際結婚をする為には、日本国民法及びノルウェー婚姻法のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。

 ノルウェー婚姻法は婚姻年齢を、18歳以上と定めています。また、16歳以上18歳未満の場合は、知事の許可が必要です。同法は、婚姻年齢に関し男女を区別していません。日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。また、日本の民法は女性のみ再婚禁止期間(100日)定めていましたが、2024年4月1日から廃止されています。一方、ノルウェー婚姻法は再婚禁止期間を定めていません。

 ノルウェーでは、同性婚が法制化されています。他方で、日本民法は同性婚を認めていません。よってノルウェーで婚姻した同性カップルであっても、日本では同性婚が認められていないため、配偶者ビザを取得することはできません。

 日本の婚姻手続とノルウェー婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。ノルウェー人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。日本の婚姻手続を済ませることによって、両国の婚姻手続を済ませたことになります。逆に日本人がノルウェーに在住しているのであれば、先にノルウェーで婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。

2,先に日本で結婚する場合はどうしますか?

 先に日本で婚姻手続を行う場合は、以下のような流れになります。

手順1 ノルウェー人の婚姻要件具備証明書と出生証明書の取得

 まずは、本国の税務署から、ノルウェー人の婚姻要件具備証明書と出生証明書を取得します。郵送でも請求することができます。証明書の発行までは、約2~3週間かかります。申請書は、税務署のHPからダウンロードすることができます。

手順2 ノルウェー外務省のアポスティーユ認証取得

 ノルウェー人の婚姻要件具備証明書と出生証明書に対して、ノルウェー外務省からアポスティーユ認証を受けます。アポスティーユ認証とは、官公庁が発行した証明書などの書類を国外で使用する場合に、当該書類が真正なものであることを外務省が認証する制度です。

手順3 日本の婚姻手続

 ノルウェー人の婚姻要件具備証明書および出生証明書のアポスティーユ認証を取得したら、日本の市区町村役場で婚姻届を行います。

「日本人の必要書類」

・婚姻届
・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど写真付きのもの)
・戸籍謄本
・証人2人からの署名
※離婚歴がある場合は離婚証明書

「ノルウェー人の必要書類」

・婚姻要件具備証明書(アポスティーユ認証、日本語翻訳付き)
・出生証明書(アポスティーユ認証、日本語翻訳付き)
・パスポート
・在留カード(ある場合)
※離婚歴がある場合は離婚証明書(アポスティーユ認証、日本語翻訳付き)

手順4 ノルウェーの婚姻手続

 日本の婚姻手続が完了したら、ノルウェーの婚姻手続を行います。ノルウェーの婚姻手続は以下の流れになります。下記①②③の手続きを完了するとノルウェーの婚姻証明書が発行されます。

①婚姻の記載のある戸籍謄本の取得とアポスティーユ認証

 婚姻届が受理されたら、市区町村役場から婚姻の記載のある戸籍謄本を取得します。戸籍謄本を取得したら、当該書類に日本国外務省からアポスティーユ認証を受けます。アポスティーユ認証とは、日本の官公庁から発行された証明書などの書類が、真正な書類であることを日本国外務省が認証する制度です。

②駐日ノルウェー大使館の翻訳証明の取得

 日本の戸籍謄本をノルウェーに提出する場合には、ドイツ語翻訳文を付ける必要があります。そして、この翻訳文には、駐日ノルウェー大使館の翻訳証明を取得する必要があります。同大使館に、申請書、戸籍謄本及び翻訳文、婚姻当事者のパスポートを提出して翻訳証明を作成してもらいます

③ノルウェーの税務署へ提出

 上記①と②を経て翻訳証明を取得したら、ノルウェーの税務署に提出します。

必要書類
・婚姻の記載のある戸籍謄本(アポスティーユ認証、ドイツ語翻訳付き、翻訳証明)
・日本人のパスポートのコピー ・ノルウェー人のパスポートのコピー

3,先にノルウェーで結婚する場合はどうしますか?

 先にノルウェーで婚姻手続を行う場合は、以下のような流れになります。

手順1 日本人の戸籍謄本とアポスティーユ認証の取得

 まずは、日本人の戸籍謄本を在ノルウェー日本国大使館又は日本の市区町村役場で取得します。取得した戸籍謄本に対して日本国外務省からアポスティーユ認証を取得します。

手順2 在ノルウェー日本国大使館で出生証明書と婚姻要件具備証明書の作成、翻訳証明の取得

 在ノルウェー日本国大使館で出生証明書と婚姻要件具備証明書を作成してもらいます。また、戸籍謄本の翻訳文に対して、日本国大使館の翻訳証明を取得します。

「必要書類」

・申請書(大使館ホームページからダウンロード又は大使館備え付け)
・戸籍謄本(3か月以内、アポスティーユ付き、翻訳証明付き)
・婚姻当事者二人の旅券

手順3 ノルウェーの登録事務所で婚許可申請

 ノルウェー登録事務所に婚姻許可申請を行います。申請から婚姻許可が下りるまで、約2~3週間かかります。

「必要書類」

・Egenerklæring(税務署に備え付け、税務署HPから入手可)
※事前の婚姻許可。
・Forlovererklæring(税務署に備え付け、税務署HPから入手可)
※証人の陳述書。
・婚姻当事者2人のパスポート
・日本人の婚姻要件具備証明書(アポスティーユ、訳文付き)
・ノルウェー人の出生証明書
・日本人の出生証明書(アポスティーユ、訳文付き)
・結婚の証人2人の氏名と生年月日
※離婚歴(死別歴)がある場合には、ドイツ語の前婚の結婚証明書と離婚証明書(死亡証明書)が必要です

手順4 婚姻の宣言と結婚証明書の取得

 婚姻許可が下りたら裁判所又は教会などで婚姻の宣言をすることによって婚姻が成立します。婚姻が成立したら、登録事務所またはインターネットで婚姻証明書を申請し、交付を受けます。

手順5 日本の婚姻手続

 婚姻証明書の認証を取得したら、在ノルウェー日本国大使館又は日本の市区町村役場で婚姻届を行います。

「必要書類」

①婚姻届書  
※日本人の本籍と婚姻後の本籍が同じ場合は2通、異なる場合は3通
②戸籍謄本 2通
③婚姻証明書のコピー及び原本提示((日本語訳文付き)
※日本人の本籍と婚姻後の本籍が同じ場合は2通、異なる場合は3通
④外国人の婚姻時の国籍を証明する書面(パスポートなど)
※日本人の本籍と婚姻後の本籍が同じ場合は2通、異なる場合は3通
⑤婚姻当事者双方の身分証の写し 各1通

婚姻証明書、パスポートについて、原本を送付していただけない場合は、ノルウェー当局による「真正な写し(Rett Kopi)」である旨の証明を受けた写しを送付してください。

 
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

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