1,婚姻手続は日本とペルーの両国でする必要がありますか?

 配偶者ビザは、日本国法及びペルー法の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とペルー人が国際結婚をする為には、日本国民法及びペルー法のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。

 ペルー法は婚姻年齢を、男女ともに18歳以上と定めています。日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。また、日本の民法は女性のみ再婚禁止期間(100日)を定めています。ペルー法も女性のみ再婚禁止期間(300日)を定めていますが、妊娠していないことの証明がある場合は、待婚期間を待つ必要はあります。

 日本の婚姻手続とペルー婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。ペルー人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかりません。逆に日本人がペルーに在住しているのであれば、先にペルーで婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。

2,先に日本で結婚する場合はどうしますか?

 先に日本で婚姻手続を行う場合は、以下のような流れになります。

手順1 ペルー人の独身の宣誓供述書と独身証明書、出生証明書の取得

 ペルーでは、婚姻要件具備証明書を発行していません。これに代わるものとして、ペルー人の独身を証明するため、「独身の宣誓供述書」「独身証明書」「出生証明書」を取得します。独身の宣誓供述書は、駐日ペルー大使館で取得することができます。しかし、独身証明書と出生証明書は駐日ペルー大使館で取得することができないため、本国から取り寄せる必要があります。

手順2 日本の婚姻手続

 手順1の書類を取得したら日本の市区町村役場で日本の婚姻手続を行います。以下の書類を提出し婚姻届が受理されたら、婚姻届受理証明書と婚姻の事実が記載された戸籍謄本を取得します。

「日本人の必要書類」

・婚姻届
・本人確認書類(運転免許書やパスポートなど写真付きのもの)
・戸籍謄本
・証人2人からの署名 ※離婚歴がある場合は離婚証明書

「ペルー人の必要書類」

・独身の宣誓供述書(日本語翻訳付き)
・独身証明書(日本語翻訳付き)
・出生証明書(日本語翻訳付き)
・パスポート
・在留カード(ある場合)
※離婚歴がある場合は、離婚証明書(日本語翻訳付き)

手順3 日本国外務省アポスティーユ認証の取得

 手順2で取得した婚姻届受理証明書と婚姻の事実が記載された戸籍謄本に、日本国外務省からアポスティーユ認証を取得します。アポスティーユ認証とは、日本の官公庁などから発行された証明書などの書類が、真正なものであることを外務省が認証する制度です。

手順4 ペルー大使館へ報告的婚姻届

 手順3で認証を取得したら、駐日ペルー大使館に認証を得た書類を提出して婚姻登録書にサインを行い、報告的婚姻届を行います。婚姻登録書に署名を行うと婚姻登録証明書が発行されます。

3,先にペルーで結婚する場合はどうしますか?

 ペルーでの婚姻手続は、婚姻手続を行う役所所在地の法律に基づくため、地域により婚姻手続が異なる場合があります。以下では、一般的なペルー婚姻手続について検討します。

手順1 日本人の婚姻要件具備証明書と戸籍謄本の取得

まずは、日本人の婚姻要件具備証明書と戸籍謄本を取得します。婚姻要件具備証明書は在ペルー日本国大使館で取得することができます。

「必要書類」

・申請書
・日本人の戸籍謄本
・日本人のパスポート

手順2 日本国外務省のアポスティーユ認証の取得

 手順1で取得した戸籍謄本に、日本国外務省からの認証を取得します。

手順3 ペルーの役場に結婚申請

 日本人の婚姻要件具備証明書を取得したら、ペルーの役場に結婚申請を行います。結婚申請が行われた後、役場の掲示板などで7日間当事者の婚姻について公示されます。この7日間の公示期間内に異議の申出がないことが必要です。

「日本人の必要書類」

・パスポート
・婚姻要件具備証明書(スペイン語翻訳文付き)
・戸籍謄本(スペイン語翻訳文付き、日本国外務省認証済み)
・ペルーの病院発行の健康診断書

「ペルー人の必要書類」

・出生証明書
・居住証明書
・ペルーの病院発行の健康診断書
・国家身分証明カード

手順4 結婚式の挙行

 手順3の公示期間内に異議の申出がない場合、役場や教会で結婚式を行います。結婚式後に婚姻登録書に署名を行うと、後日結婚登録証明書が発行されます。

手順5 ペルー外務省のアポスティーユ認証の取得

 手順4で取得した結婚登録証明書に、ペルー外務省から認証を取得します。

手順6 日本の婚姻手続

 結婚登録証明書にペルー外務省の認証を取得したら、在ペルー日本国大使館又は市区町村役場で日本の婚姻手続を行います。日本の婚姻手続は、ペルーでの婚姻成立日から3か月以内に行う必要があります。

「必要書類」

・婚姻届書
・戸籍謄(抄)本(日本人につき) 2通
・婚姻証明書(日本語翻訳文付き、ペルー外務省認証済)
・外国人の婚姻時の国籍を証明する書面(日本語翻訳文付き)
・当時者双方の身分証の写し 各1通
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法