1,婚姻手続は日本とブラジルの両国でする必要がありますか?

 配偶者ビザは、日本国法及びブラジル民法の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とブラジル人が国際結婚をする為には、日本国民法及びブラジル民法のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。

 ブラジルの婚姻年齢は、男女ともに16歳以上と定められています。また、ブラジル人が18歳未満の場合は、両親又は法定代理人の同意が必要になります。日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。また、日本の民法は女性のみ再婚禁止期間(100日)を定めています。他方、ブラジルにおいても女性のみ再婚禁止期間(10か月)を定めています。

 日本の婚姻手続とブラジル婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。ブラジル人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。逆に日本人がブラジルに在住しているのであれば、先にブラジルで婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。

2,先に日本で結婚する場合はどうしますか?

 先に日本で婚姻手続を行う場合は、以下のような流れになります。

手順1 ブラジル人の婚姻要件具備証明書の取得

 まずは、駐日ブラジル連邦共和国大使館で、ブラジル人の「婚姻要件具備証明書」を取得します。必ずブラジル人本人が、大使館に出頭する必要があります。代理人による申請は認められていません。

「必要書類」

・ブラジル人のパスポート(原本、期限内のもの)
・出生証明書(6か月以内に発行されたもの)
・証人2人のパスポート(原本、期限内のもので、証人がブラジル人の場合)
※証人は18歳以上であれは誰でもかまいません。
※証人がブラジル人の場合は大使館への出頭が必要です。証人が外国人の場合は、公証人役場でのサイン認証が必要になります。その際は、写真付きの身分証明書のコピーが必要となります。

手順2 日本の婚姻手続

 ブラジル人の婚姻要件具備証明書を取得したら、日本の市区町村役場で婚姻届を行います。

「必要書類」

・婚姻届
・ブラジル人の婚姻要件具備証明書(日本語訳文付き)
・ブラジル人配偶者のパスポート
・日本人の戸籍謄本(本籍地の市役所に届出の場合は不要)

手順3 駐日ブラジル連邦共和国大使館への届出

 日本の婚姻届が受理されたら、ブラジル大使館へ報告的届出を行います。届出が受理されれば、両国での婚姻手続が完了します。

「必要書類」

・婚姻届受理証明書(ポルトガル語訳文付き)
・婚姻届出記載事項証明書と、市役所に提出した添付書類の写し
・戸籍謄本(ポルトガル語訳文付き)
・二人の身分証明書(パスポートや運転免許証等)

3,先にブラジルで結婚する場合はどうしますか?

 ブラジルで先に婚姻手続を行う場合は以下のような流れになります。

手順1 日本人の必要書類の取得

 日本人の「婚姻要件具備証明書」及び「戸籍謄本」を、日本の法務局または在ブラジル日本国大使館で取得します。

手順2 アポスティーユ認証の取得

 取得した戸籍謄本には、日本国外務省の認証を受ける必要があります。アポスティーユ認証とは、日本の官公庁が発行した証明書などの書類が真正な書類であることを、外務省が認証する制度です。

手順3 結婚の公示

 ブラジルの結婚予定の場所を管轄する市役所で、「結婚の公示」の申請を行います。結婚の公示がなされると、新聞に約1か月掲載されることとなります。

「必要書類」

・結婚する当事者の身分証明書
・日本人の婚姻要件具備証明書(ポルトガル語訳文付き)
・日本人の戸籍謄本(日本国外務省の認証及びポルトガル語訳文付き)
・ブラジル人の出生証明書

手順4 結婚式の挙行

 公示期間が終了したら、市役所で結婚式を予約します。結婚式が挙行されると、婚姻証明書を発行されるようになります。

手順5 日本大使館へ報告的届出

 ブラジルの婚姻証明書を取得したら、在ブラジル日本国大使館または日本の市区町村役場で婚姻届を行います。

「必要書類」

・婚姻届
・日本人配偶者の戸籍謄本
・婚姻証明書(和訳文付き)
・ブラジル人配偶者の出生証明書原本(和訳文付き)
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法