目次
1,会社形態はどれが良いですか?
会社法上、会社の種類は「株式会社」と「持分会社」の2種類に大別されます。そして、持分会社には「合名会社」「合資会社」「合同会社」の3種類に分けられます。よって、会社法上設立できる会社は、「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」の4種類になります。
起業する場合には、「株式会社」又は「合同会社」の形態を選択することが一般的です。株式会社は、株式を発行して資金を集める会社形態です。よって、高額な継続的取引においては社会的信用を得やすいという利点があり、企業を取引相手とする場合は、株式会社の形態が好ましいといえます。他方で合同会社の場合は、設立費用が株式会社より安いという利点があります。合同会社の場合は、公証役場で定款認証を受ける必要がないため、定款認証手数料(5万円)は不要となります。また、法人登記の際に必要な登録免許税も、株式会社(15万円)と比較して6万円と安くなっています。しかし、株式会社と比較して知名度が低く社会的信用も低いため、小規模な飲食業や小売業といった一般消費者を対象としたビジネスに適していると考えられます。
起業において会社形態を選択する際には、資金調達や社会的信用、取引相手、設立費用などを考慮して、株式会社か合同会社かを検討することが重要と考えます。
2,外国人が会社設立する場合の流れはどうなりますか?
会社を設立する場合は、一般に以下の手順を踏むことになります。なお、外国人が会社設立する場合は、経営管理ビザの要件と関わるため、経営管理ビザ取得に向けて許可要件を充足できるように、設立手続きを行っていく必要があります。
「会社設立手順」
①同一商号の調査(法務局) ↓ ②会社の定款作成 ↓ ③定款認証(公証役場) ↓ ④資本金の払い込み ↓ ⑤法人設立登記申請(法務局) ↓ ⑥会社印鑑登録(法務局) ↓ ⑦登記事項証明書及び会社印鑑証明書の取得 ↓ ⑧会社名義口座の開設 |
(1)手順1 同一商号の調査(法務局)
同一の本店所在地に同一の商号を他の会社が既に登記している場合は、同一の商号で登記することはできません。また、株式会社を設立する際には「株式会社」という文言を必ず使用する必要があります。
(2)手順2 会社の定款作成
会社を設立する為には定款を作成する必要があります。定款とは会社の基本事項を定めたもの、つまり会社経営のルールです。定款には以下の絶対的記載事項を必ず記載する必要があります。
①商号(会社名) ②会社の事業目的(事業内容) ③会社本店の所在地住所(事業所の場所) ④発起人の氏名や住所(手続きを行う人の氏名や住所) ⑤発行可能株式総数(発行できる株式数の上限値) ⑥出資金や現物出資の内容(設立時の出資額) |
上記以外の事項も任意的な記載事項や会社設立後決まった時点で記載しなければならない事項もあります。
(3)手順3 定款認証(公証役場)
作成した会社定款を公証役場で認証してもらう必要があります。定款認証手続きを行う公証役場は、会社の所在地を管轄する公証役場です。定款認証では、会社定款に違反や間違いがないかチェックされ、問題がなければ認証されます。
(4)手順4 資本金の払込み
定款に記載した作成日後に、定款記載の資本金の払い込みを行います。会社の資本金として払い込まれる必要があるので、定款作成日後であれば問題ありませんが、定款認証後に払い込むことが確実と考えます。この資本金の払い込みは日本の金融機関で行う必要があります。
既に何らかの在留資格を持っている場合は、日本の金融機関で口座を持つことができます。この場合は利用しても問題ありません。海外在住や短期滞在ビザで来日している場合は、日本の金融機関で口座を持つことはできないため、口座を持つ協力者が必要になります。また、スタートアップビザを取得して会社設立準備を行う方法もあります。
資本金を払い込んだら、払込証明書を取得します。また、経営管理ビザの申請では、資本金の出所証明も必要になりますので、送金記録などは保管してください。
(5)手順5 法人設立登記申請(法務局)
法務局で法人登記申請を行います。登記の申請の代理は司法書士のみに認められています。法人登記申請を行った日が会社設立日となります。
法人登記に間違いや会社内容に問題があった場合は、経営管理ビザの許可が下りません。法人登記は司法書士に依頼することが好ましいと考えます。なお、行政書士は登記申請の代理は認められていないため、できません。
(6)手順6 会社印鑑登録(法務局)
法務局で会社印鑑登録を行います。外国人が取締役などの役員となる場合は、サイン証明書が必要となります。
(7)手順7 登記事項証明書及び会社印鑑証明書の取得
法人登記及び会社印鑑登録が完了したら、登記事項証明書及び会社印鑑証明書を取得します。登記申請から1~2週間程度で取得することが可能となります。なお、会社設立日は登記された日ではなく登記申請日です。
(8)手順8 会社名義口座の開設
会社名義口座の開設は、法人登記が完了してから開設することができます。なお、銀行によっては事業継続可能性があるか審査される場合もあります。よって、場合によっては会社名義口座を開設できないこともあります。メガバンクなどは審査が厳しい傾向があり、これに比べてネット銀行などは審査が緩い傾向があります。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |