配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)外国人が離婚しても日本在留を続ける方法はありますか?
目次
1,日本人配偶者と離婚した場合、配偶者ビザはどうなりますか?
配偶者ビザを有する外国人が、日本人配偶者と離婚した場合でも、ただちに配偶者ビザが取り消されるということはありません。しかし、在留期限まで配偶者ビザで在留することが認めらえるわけではありません。また、日本人配偶者と離婚した場合は、日本人の配偶者ではなくなるため、配偶者ビザの更新をすることは出来ません。
日本人の配偶者を離婚した後も、日本での生活を希望する場合は、在留資格「日本人の配偶者等」から他の在留資格に変更する必要があります。入管法上は、配偶者ビザの外国人が日本人と離婚した場合は、6か月以内に他の在留資格に変更する必要があります。6か月以内に在留資格変更の手続きを行わない場合は、配偶者ビザが取り消される可能性があります。
2,日本人配偶者と離婚した場合に変更できるビザは何ですか?
(1)離婚定住者ビザ(日本国籍の子供がいない場合)
配偶者ビザ外国人が日本人と離婚した場合で在留を希望する場合に、変更を検討する代表的な在留資格は「定住者」ビザになります。もっとも、定住者ビザへの変更を希望すれば当然に変更が許可されるわけではありません。定住者ビザへの変更申請が許可されるか否かは、①日本人との婚姻期間②日本国籍の子供の有無が大きく影響します。離婚定住者ビザは、日本国籍の子供がいない場合なので、①日本人との婚姻期間が大きく影響します。離婚定住者ビザへ変更するためには、以下の要件を満たしている必要があります。
離婚定住者ビザへの変更要件 |
・同居を伴う婚姻期間が3年以上あること(別居していた期間は含まれません) ・日本で安定した生計を維持できること(日本での収入(生活基盤)の確保) |
離婚原因が日本人配偶者側にある場合(日本人配偶者の浮気やDV)は、同居期間が3年未満の場合でも変更が認められているケースもあります。
(2)日本人の実子扶養定住者ビザ(日本国籍の子供がいる場合)
離婚した外国人に日本国籍の実子がいる場合も、定住者ビザへの変更が可能です。日本国籍の子供がいる場合の日本人の実子扶養定住者ビザは、上記2(1)の離婚定住者ビザより緩やかな基準で変更が認められます。「日本国籍の子供の保護」という見地から、離婚定住者とは異なり、婚姻期間が3年以上といった要件はありません。日本人の実子扶養定住者ビザへの変更が認められるためには、以下の要件を充足する必要があります。
日本人の実子扶養定住者ビザへの変更要件 |
・日本国籍の実子の親権が外国人にあること ・日本人の子供が未成年者であること |
(3)日本人の配偶者ビザ、永住者の配偶者ビザ(再婚した場合)
日本人配偶者と離婚後に日本人と再婚した場合は、配偶者ビザを更新することができます。もっとも、保有する配偶者ビザは前婚を前提に許可されています。再婚後に配偶者ビザを更新する場合は、再婚が実体のある婚姻か否かが審査されます。よって、実質的には新たに配偶者ビザを取得する場合と審査の内容は異なりません。
日本人の配偶者と離婚後に永住者と再婚した場合は、在留資格「永住者の配偶者等」へ変更することが可能です。この場合も、永住者との間に婚姻の実体が認められるか否か厳しく審査されます。
上記の通り、離婚後に配偶者ビザを取得する場合は、再婚に婚姻の実体が認められるか厳しく審査されます。離婚後に在留を継続しながら再婚に至った場合は、交際期間が短いことが一般的です。また、不倫関係からの再婚の場合もあります。以上のような場合は入管の審査は慎重になりますので、婚姻に至った経緯については詳しく説明することが重要です。なお、不倫関係から婚姻に至った場合でも、絶対に不倫関係にあったことを隠さないで下さい。
(4)就労ビザ
婚姻期間3年以上ない場合や日本国籍の子供がいない場合は定住者ビザへ変更することはできません。また日本人や永住者と再婚していない場合は、配偶者ビザへ変更することはできません。この場合は、他の就労ビザに変更可能か否か検討する必要があります。
就労ビザには様々種類があり、各就労ビザによって許可要件が定められています。代表的な就労ビザは在留資格「技術・人文知識・国際業務」です。技術人文知識国際業務ビザには、学歴要件(大学や日本の専門学校卒業)または実務経験10年といった許可要件があります。また従事する業務は、学歴と関連性のある業務である必要があります。日本人と離婚した外国人が、これ就労ビザの許可要件を満たすことができなかった場合は、就労ビザに変更することはできません。
(5)経営・管理ビザ
日本で起業した場合は、経営管理ビザへ変更することはできます。もっとも、日本で会社を設立すれば当然に経営管理ビザを取得できるわけではありません。経営管理ビザの許可要件の1つとして、「資本金500万円以上」が求められます。500万円以上の出資ができない場合は、経営管理ビザの取得は難しくなります。また、経営管理ビザを取得するためには、事業の安定性や継続性が認められる必要があります。ペーパーカンパニーや赤字決済が続いているような場合は、経営管理ビザを取得することは難しくなります。
3,ビザ変更ができなかった場合はどうなりますか?
上記1で検討した通り、日本人配偶者と離婚した場合は、日本人の配偶者という配偶者ビザの前提を欠くことになるため、配偶者ビザを更新することはできません。6か月以内にビザを変更できなかった場合は、配偶者ビザの在留期間の満了をもって帰国するほかありません。また、在留期間満了前に配偶者ビザを取り消された場合は、その時点で帰国することになります。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |