経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)申請の事業計画書には何を書けば良いですか?
目次
1,経営管理ビザとは、どんなビザですか?
経営管理ビザとは、在留資格「経営・管理」のことで、就労ビザの1つです。入管法は経営管理ビザについて「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」(入管法別表1の2)と定め、外国人が日本で事業の経営や管理を行うことを認めています。経営管理には、新規事業を立ち上げる場合のみならず、既存の事業に参画する場合も含まれます。
経営管理ビザの許可要件の1つとして、事業の継続性が認められることを要求しています。そして、この事業の継続性を説明するものとして、「事業計画書」を提出する必要があります。この事業計画書は、経営管理ビザの許可不許可に大きな影響を及ぼします。
2,事業計画書とは何ですか?
経営管理ビザ申請において、事業計画書は必須の提出書類となります。この事業計画書では、日本で事業を安定継続的に経営していけることを明らかにします。日本で立ち上げる事業や経営方針を記載して、事業の継続性が認められることを入管の審査担当官を説得する必要があります。そのため、経営管理ビザ許可要件の1つ、事業の継続性に関わる書類で、許可不許可に大きく影響します。
事業計画書は、A4サイズで10枚以内にまとめることが理想的です。不必要な事項を記載して、事業計画書の焦点があいまいになると、事業の計画を入管の審査担当官に理解してもらうことが困難になります。事業の計画や目的を説明する上で、必要な事項に絞って記載することが、審査担当官の理解を得るためには重要と考えます。入管の審査担当官の理解を促進する為に、収益の予測やその根拠といった事項は、グラフや図形を用いて説明することも有益です。具体的な商品やサービスを理解させるため、提供する商品の写真を掲載することも有益です。
3,事業計画書には何を書けば良いですか?
上記2で検討した通り、経営管理ビザの事業計画書は、事業の継続性や安定性を入管の審査担当官に理解させ納得してもらうために提出します。以下では、経営管理ビザの事業計画書に記載すべき項目について検討していきます。
(1)経営管理ビザ許可要件の立証
これまで検討した通り、事業計画書は経営管理ビザの許可要件を充足していることを、入管の審査担当官を説得するために提出します。よって、まずは事業計画書に経営管理ビザの許可要件に関わる事項を説明し、立証していきます。以下のような経営管理ビザガイドラインに規定されている事項について充足していることを説明します。
・事業所が日本に所在していること ・事業の規模 ・資本金の額 ・従業員の人数 など |
(2)事業の実態を明確化する情報
次に事業の実態を明確化する情報を記載していきます。具体的には、いかなるビジネスを行うのか、経営理念、事業概要などを詳しく説明していきます。経営管理ビザの取得が、ビジネス目的であることを明確にする必要があります。下記に挙げる事項を箇条書きにして説明すると、分かりやすくなると考えます。
①事業内容 どのようなサービスや商品を提供する事業を行うのかを説明します。商品の写真や図などを添付して説明するとわかりやすくなります。 |
②収益予測とその根拠 収益予測は、商品の単価×販売個数というように明確に記載する必要があります。およそ○○円といった抽象的な記載では、不許可になってしまいます。既に事業を開始している場合は、試算表を作成して提出してください。 |
③取引先 商品の販売先やサービスの提供先、仕入れ先に関する情報(住所・電話番号・会社名・担当者名・年間の取引予定金額など)も詳しく記載してください。また、販売対象を説明してください。 |
④経営者の職歴・実務経験 経営者の職歴や実務経験を記載してください。過去に経営経験や事業に関する実務経験がある場合は有利に作用します。アルバイト時代のバイトリーダーであっても問題ありません。 |
⑤採用予定の従業員数 採用を予定している従業員(アルバイトを含む)の情報(住所・氏名・電話番号等)を記載してください。労働条件通知書を作成して、入管に提出する必要があります。 |
(3)事業の安定性・継続性に向けた計画
事業の継続性は経営管理ビザの許可要件の1つです。よって、どうやって事業を安定的に継続していくか、計画を立て入管の審査官に納得させる必要があります。この事業の継続性に関する計画を説明する為には、以下に挙げる事項を説明していくことが重要です。
・事業の概要 ・会社や事業の特徴 ・商品やサービスの内容 ・集客・宣伝の方法 ・取引先 ・販売先 ・事業の損益計画(1年分以上・3年分あればなおよい) ・従業員の採用計画 ・将来のビジョン |
4,事業計画書作成の注意点は何ですか?
(1)ペーパーカンパニーは不可
事業計画書を作成する際には、事業の実態が認められることが重要です。日本に住む目的だけをもって、会社を設立し経営管理ビザを申請しても許可は下りません。会社を設立すれば当然に経営管理ビザを取得できると考え、ペーパーカンパニーを設立し事業の実態のない相談もあります。事業の実態のないペーパーカンパニーでは絶対に経営管理ビザを取得することはできません。
(2)親族・知人の会社への招聘
親族や知人を会社に招聘するために経営管理ビザを申請する場合は、偽装による入国を疑われ、審査が非常に厳格になります。この背景として、知人や親族を日本に住まわせることを主たる目的として、実際には経営に携わっていないケースも報告されています。申請人が親や親戚などの場合は、事業の内容や経験・学歴・起業する目的や内容・日本語の理解度等、厳しく審査されます。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |