短大卒業者が技術人文知識国際業務ビザ(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)を取得する際の必要書類や注意点は何ですか?
目次
1,短大卒業でも技術人文知識国際業務ビザを取得できますか?
技術人文知識国際業務ビザを取得するための許可要件の1つとして、入管法の定める学歴要件を充足することが必要となります。この学歴要件を充足する為には、以下の学校を卒業していることが必要となります。
学歴要件 |
・大学(短大、大学院を含む)を卒業したもの 大学は日本の大学、海外の大学を問いません ・専門学校を卒業したもの 専門学校の場合は、日本国内の専門学校を卒業し、専門士の称号を取得している必要があります。 |
上記の通り、学歴要件の大学卒業には、短大を卒業した場合も含まれています。よって、短大卒業者も技術人文知識国際業務の学歴要件を充足することができます。もっとも、短大で専攻した科目と、従事する業務との間に関連性があることが必要となります。
2,短大卒業の場合の技術人文知識国際業務ビザ申請の必要書類は何ですか?
上記の学歴要件その他の技術人文知識国際業務ビザの要件を充足していることの証明責任は、申請者側にあります。この要件充足性の立証は、下記の必要書類を提出することによって立証していきます。
出入国在留管理庁は、企業規模などに応じて企業をカテゴリー分けしています。各々のカテゴリーによって必要書類は異なってきます。以下では、各カテゴリーに応じた必要書類を検討してきます。
(1)全てのカテゴリーに共通の必要書要
①申請書 申請人を本国から呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請書」、現に日本の短大に留学している場合は「在留資格変更許可申請書」が必要になります。申請書は、出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。 |
②写真(縦4cm×横3cm) 申請前3か月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明なもの。写真の裏面に申請人の氏名を記載し、申請書の写真欄に貼付してください。 |
③返信用封筒(定型封筒に宛先を明記の上、404円分の切手を貼付してください) |
④派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合) 申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書、雇用契約書等) |
(2)カテゴリー1の必要書類
所属機関がカテゴリー1に該当する場合は、以下の書類のいずれかが必要になります。
・四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し) ・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し) ・高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書(補助金交付決定通知書の写し等) ・上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(認定証等の写し等) |
(3)カテゴリー2の必要書類
所属機関がカテゴリー2に該当する場合は、以下の書類が必要になります。
・前年分の職員の給与総所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) ・在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等) |
(4)カテゴリー3の必要書類
所属機関がカテゴリー3に該当する場合は、以下の書類が必要になります。
①前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) |
②申請人の活動内容等を明らかにする次のいずれかの資料 ア、労働契約を締結する場合 労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書 イ、日本法人である会社の役員に就任する場合 役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し ウ、外国法人の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合 地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 |
③申請人の学歴又は職歴その他経歴等を証明する文書 申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書 ア、学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書 a,大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお、DOEACC制度の資格保有者の場合は、DOEACC資格の認定証(レベル「A」、「B」または「C」に限る) b,在職証明書等で関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学、高等専門学校、高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む) c,IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書 d,外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く)は、関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 |
④登記事項証明書 |
⑤事業内容を明らかにする次のいずれかの資料 A,勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む)等が詳細に記載された案内書 B,その他の勤務先等の作成した上記に準ずる文書 |
⑥直近の年度の決算文書の写し |
(5)カテゴリー4の必要書類
所属機関がカテゴリー4に該当する場合は、以下の書類が必要になります。
①前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) |
②申請人の活動内容等を明らかにする次のいずれかの資料 ア、労働契約を締結する場合 労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書 イ、日本法人である会社の役員に就任する場合 役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し ウ、外国法人の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合 地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 |
③申請人の学歴又は職歴その他経歴等を証明する文書 申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書 ア、学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書 a,大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお、DOEACC制度の資格保有者の場合は、DOEACC資格の認定証(レベル「A」、「B」または「C」に限る) b,在職証明書等で関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学、高等専門学校、高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む) c,IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書 d,外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く)は、関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 |
④登記事項証明書 |
⑤事業内容を明らかにする次のいずれかの資料 A,勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む)等が詳細に記載された案内書 B,その他の勤務先等の作成した上記に準ずる文書 |
⑥直近の年度の決算文書の写し(新規事業の場合は事業計画書) |
⑦前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料 ア、源泉徴収の免除を受ける機関の場合 ・外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 イ、上記を除く機関の場合 A,給与支払事務所等の開設届出書の写し B、次のいずれかの資料 a,直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し) b,納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料 |
3,短大卒業者の技術人文知識国際業務ビザ申請で許可・不許可とされるのはどんな場合ですか?
以下のような場合に、短大を卒業した者の技術人文知識国際業務ビザ申請が不許可とされています。
・従事する業務の内容に実態のあるものと認められない場合 ・会社の事業の実態が認められない場合 ・単純作業をする現場作業員として従事する場合 ・日本人と同等額以上の報酬を設定されていない場合 ・留学中に資格外活動許可の範囲を大きく超えた活動(規定時間以上のアルバイトなど)していた場合 |
なお、以下のような場合は短大卒業者の技術人文知識国際業務ビザ申請は許可されています。
・法学部を卒業した者が、法律事務所で弁護士補助業務に従事する場合 ・教育学部を卒業した者が、英会話講師をする場合 |
4,外国の短大卒業の場合は、学歴証明に特別な書類が必要ですか?
(1)外国の短大と日本の短大との相違
外国の短大を卒業した場合は、日本と外国の教育制度が異なるため、日本での学歴要件を充足するか注意を払う必要があります。学士以上の学位を有している場合は、問題となることは少ないですが、外国の短大の場合は日本教育制度上の短大相当とは認められないような学校が存在します。この場合、その国独自の学位や卒業証明書(DIPLOMA)では、大卒相当とは認められず不許可となる可能性が大きくなります。
(2)外国の短大卒の場合の学歴証明
卒業証明書(DIPLOMA)では、大学卒業程度と証明できない場合は、短大に関する補足資料を提出して立証していく必要があります。本国の教育を監督する省庁や大使館の発行する資料によって、本国の教育制度に関して説明する書類を提出する必要がある場合もあります。また、学校の概要を説明する資料や成績証明書などの提出も有益です。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |