永住許可申請の審査期間はどのくらいですか?長いですか?

1,永住者とは何ですか?

 在留資格「永住者」では、外国人が在留期間や在留中の活動に制限されることなく日本に在留することが認められます。永住ビザを取得するためには、永住許可申請を行い許可を得ることが必要となります。

2,永住許可申請の審査期間はどのくらいですか?

 出入国在留管理庁は、永住許可申請の標準的な審査期間を4か月と公表しています。しかし、実際には、もっと審査に時間がかかるケースが多いのが一般的です。多くの永住申請では、結果が出るまで6か月以上かかっています。また、場合によっては8か月以上長い時は1年近く審査に時間がかかるケースもあります。

 永住許可申請の審査期間が長期化している背景には、2019年に「永住許可に関するガイドライン」が改訂され、審査が厳格化したことがあります。審査が厳格化したことによって、審査の対象となる範囲が拡大し、証明に必要な資料も多くなりました。そのため、永住許可申請の審査期間は長期化しています。

 配偶者ビザや就労ビザの審査期間が1か月~3か月であることと比較すると、永住許可申請の審査期間は半年以上かかることもあり長期化します。

永住許可に関するガイドライン
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyukan_nyukan50.html 

3,どんな場合に審査期間が長期化しますか?

 以下に挙げるような場合には、審査が長期化する傾向があります。審査期間を短くするためには、以下の点に気を付けることが重要だと考えます。

(1)申請書類の不備

 申請書類に不備がある場合は、追加資料を要求されます。この場合は、資料提出通知書が送られてきます。追加資料を提出してから、さらに審査されることになるので、その分、審査期間が長期化してしまします。追加資料は、永住許可要件を満たしているか判断するために必要という観点から要求されています。審査担当官に疑義が生じないように、永住許可要件を立証するために必要な資料はあらかじめ十分に提出していくことが重要です。

(2)永住理由書を提出していない場合

 永住申請する際には、在留資格「永住者」を必要とする理由を説明する必要があります。永住理由書は、申請に必須の書類ではありません。しかし、永住ビザを必要とする理由を、説得力をもって十分に説明するためには、永住理由書の提出が不可欠です。永住理由書を提出していない場合は、審査担当官に永住を必要とする理由を納得させることができません。また、十分な説明がないことにより、審査担当官に疑義を生じやすくなります。そのため、審査期間が長期化してしまします。

(3)審査期間中の転職

 永住申請の審査は、申請時に提出した証明資料などに基づいて行われます。永住申請後、審査期間中に転職その他の事情の変更があった場合は、事業変更があった旨を報告しなければなりません。

 永住申請中に転職した場合は、新たに転職先に関する資料を提出しなければいけません。その分、審査が長期化します。また、審査は転職後の仕事を基準に審査されることになります。前職を基準として進んでいた審査をやり直すことになるため、その分審査期間が長期化します。

 転職は、永住許可要件の1つ、独立生計要件に関わる事項です。独立生計要件では、生計が安定しているか否かが審査されます。審査期間中に転職した場合は、この生計の安定性という観点から疑義が生じやすくなり、慎重に審査される傾向にあります。もっとも、給与が大幅にアップする転職や大手企業への転職など圧倒的に安定した転職の場合は、永住申請に有利に働く可能性があります。

4,審査期間を短くする方法はありますか?

 永住申請の審査は、審査担当官の裁量の範囲です。よって、審査期間の長短について、特別な査期間を短くするという方法というものはありません。しかし、上記3で検討した点に注意を払うことによって、審査の長期化を防止するが一つの対策と考えます。十分な立証資料を提出し、説得力ある永住理由書を提出し、審査期間中に事情変更が生じるような行動を控えることが重要と考えます。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法